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終話 真のエンディング
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「あなたはエミリア様のご友人で、あなた方お二人はエミリア様の護衛の方ですね」
フレディ様改めアルフレッド殿下はそう言って私たちへ微笑みかける。
「うっ……僕ら、前回も気付かれてたとは……」
アラン様は苦い顔をする。
「アーサー殿下の命により、密かにエミリア嬢の護衛をしておりました、クラースと、こちらアランと申します」
クラース様は冷静に言葉を返す。その隙に私は訓練室を覗いてエミリアを手招きする。
すると、エミリアは小走りでアルフレッド殿下の隣へと並んだ。
「ディアナ、待っててくれたの? あ、そちらのお方も……」
と、エミリア。
「そりゃ、親友なんだから当然待つよ。っていうかエミリア、このお方、隣国の第三王子様だって」
「えっ、ええ!? そんな、そうとも知らずに私、出しゃばった真似をしてしまい……」
エミリアがそう慌てていると、アルフレッド殿下がすぐに割って入ってきた。
「いいんです、エミリア様。壁を作られるのが嫌で、身分を黙っていたのは僕の方です。おかげでエミリア様の貴重なアドバイスをいただくことができました」
「いえ、そんな……」
「エミリア様、僕はあなたのおかげで自分を持ち、前を向く決意ができました。どうかこれからも、その天使のような笑顔で僕の側に居ていただけませんか? もっとあなたとたくさんお話したいし、一緒に魔道の訓練もしたいです」
みんなの前で“天使のような笑顔”とか普通に言えちゃうところがもう十分前を向けていると思いますけどね。
エミリアにはじーんと響いているよう。
「私ももっと、フレディ様と色んなお話、たくさんしたいです……! どうかお側にいさせてください!」
「うわぁぁぁ、おめでとうエミリア!」
私は思わずエミリアに抱きついた。
「ディアナ、おめでとうって……フレディ様はそんなおつもりでおっしゃられたんじゃ……」
エミリアはみるみるうちに顔が赤くなっていく。
「そんなつもりで申してみましたが、ご迷惑でしたでしょうか……」
と、アルフレッド様。
「えっ!? いえ! 嬉しいです……」
驚いていたエミリアであったが、すぐに涙をためながら満面の笑みを返した。
⸺⸺
それから私とエミリアは王子様たちとのお忍びダブルデートを繰り返し、アーサー殿下の卒業と共に、2人同時に婚約を発表。
3年になってすぐ、私とエミリアも学院を卒業して、無事2人の王子との婚姻も果たした。
アーサー殿下は同じくして卒業したアラン様とクラース様とともに予定通り騎士団を結成。私も魔道士として席を置いているが、過保護な殿下があまり危険な地には出撃させてくれないので、楽勝な任務ばかりで楽勝な生活を送っている。
アルフレッド殿下は白魔道士に進路を成長後、その実力をめきめきと発揮し、隣国の“白魔道将軍”として、回復の要となった。
アーサー殿下とアルフレッド殿下の交流が盛んな事から、彼らは同盟を更に確固たるものにするための架け橋となり、両国はお互いに支え合いながら切磋琢磨していった。
こうして私は、真のエンディング、最高のハッピーエンドを迎えることができたのである。
⸺⸺おしまい⸺⸺
フレディ様改めアルフレッド殿下はそう言って私たちへ微笑みかける。
「うっ……僕ら、前回も気付かれてたとは……」
アラン様は苦い顔をする。
「アーサー殿下の命により、密かにエミリア嬢の護衛をしておりました、クラースと、こちらアランと申します」
クラース様は冷静に言葉を返す。その隙に私は訓練室を覗いてエミリアを手招きする。
すると、エミリアは小走りでアルフレッド殿下の隣へと並んだ。
「ディアナ、待っててくれたの? あ、そちらのお方も……」
と、エミリア。
「そりゃ、親友なんだから当然待つよ。っていうかエミリア、このお方、隣国の第三王子様だって」
「えっ、ええ!? そんな、そうとも知らずに私、出しゃばった真似をしてしまい……」
エミリアがそう慌てていると、アルフレッド殿下がすぐに割って入ってきた。
「いいんです、エミリア様。壁を作られるのが嫌で、身分を黙っていたのは僕の方です。おかげでエミリア様の貴重なアドバイスをいただくことができました」
「いえ、そんな……」
「エミリア様、僕はあなたのおかげで自分を持ち、前を向く決意ができました。どうかこれからも、その天使のような笑顔で僕の側に居ていただけませんか? もっとあなたとたくさんお話したいし、一緒に魔道の訓練もしたいです」
みんなの前で“天使のような笑顔”とか普通に言えちゃうところがもう十分前を向けていると思いますけどね。
エミリアにはじーんと響いているよう。
「私ももっと、フレディ様と色んなお話、たくさんしたいです……! どうかお側にいさせてください!」
「うわぁぁぁ、おめでとうエミリア!」
私は思わずエミリアに抱きついた。
「ディアナ、おめでとうって……フレディ様はそんなおつもりでおっしゃられたんじゃ……」
エミリアはみるみるうちに顔が赤くなっていく。
「そんなつもりで申してみましたが、ご迷惑でしたでしょうか……」
と、アルフレッド様。
「えっ!? いえ! 嬉しいです……」
驚いていたエミリアであったが、すぐに涙をためながら満面の笑みを返した。
⸺⸺
それから私とエミリアは王子様たちとのお忍びダブルデートを繰り返し、アーサー殿下の卒業と共に、2人同時に婚約を発表。
3年になってすぐ、私とエミリアも学院を卒業して、無事2人の王子との婚姻も果たした。
アーサー殿下は同じくして卒業したアラン様とクラース様とともに予定通り騎士団を結成。私も魔道士として席を置いているが、過保護な殿下があまり危険な地には出撃させてくれないので、楽勝な任務ばかりで楽勝な生活を送っている。
アルフレッド殿下は白魔道士に進路を成長後、その実力をめきめきと発揮し、隣国の“白魔道将軍”として、回復の要となった。
アーサー殿下とアルフレッド殿下の交流が盛んな事から、彼らは同盟を更に確固たるものにするための架け橋となり、両国はお互いに支え合いながら切磋琢磨していった。
こうして私は、真のエンディング、最高のハッピーエンドを迎えることができたのである。
⸺⸺おしまい⸺⸺
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