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28話 正体不明の新キャラ
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⸺⸺アーサー殿下の自室⸺⸺
「大変ですアーサー殿下!」
転送装置で彼の部屋に向かうと、アラン様とクラース様が既に部屋へと来ていた。
「あぁ、ディアナ。来てくれたか。今彼らから謎の人物の報告を受けていたところだ」
と、アーサー殿下。
「アラン様、クラース様、あの時はあのままお別れしてしまい、すみませんでした」
私は彼らに頭を下げる。
「いえ、いいですよ。俺らもディアナ嬢が出てくださらなければエミリア嬢にバレてしまうところだったかもしれませんので」
と、クラース様。
「では僕らはお邪魔になりますのでこれで……」
「すまんな2人とも。ありがとう」
アラン様とクラース様が退室するのを見送ると、私と殿下はソファへと腰掛けた。
「ディアナも知らない人物の登場か……これは、真のルートの可能性が高いな……」
と、アーサー殿下。
「はい、お名前はフレディ様と言って学院服を着ていなかったのですが、ご存じないですか? 金髪の緩いパーマの男性で、魔道の訓練をされている方みたいなんですが……」
「フレディ……分からんな。学院服を着ていないということは、留学生だとは思うんだが……留学生にはあまり詳しくなくてな……せめて、騎士であれば分かったかもしれんが」
「そうですか……エミリア、一目惚れしたらしくて、なんとかもう少しお会い出来る機会があればいいんですが……」
「とにかくアランとクラースにも、彼の居場所を捜索してもらうとしよう。それでなんとか彼とエミリアを鉢合わせよう」
「そうですね、頑張りましょう!」
⸺⸺
それから、エミリアは上の空になることが増えた。よほど彼のことが気になっているのか、授業にも全然打ち込めてないようだった。
このままではエミリアの成績が落ちてしまう。どうしよう、私も暇さえあれば探してるんだけど、全然見つからない……。
授業も終わってエミリアと寮に戻ろうとしたその時、アーサー殿下からメッセージが入った。
『アランとクラースが見つけたらしい。魔道訓練室にいるそうだ』
「エミリア! フレディ様、今魔道訓練室にいるそうよ! 行きましょう!」
「え、本当なの!? でもディアナ、何でそんなこと……」
「今はそんなことどうでもいいでしょ? ほら、フレディ様がいなくなっちゃうかもだから早く早く!」
「う、うん……」
私はエミリアの手を引いて魔道訓練室へと急ぐ。
しかし、そこにスタンバっていたアラン様とクラース様に行く手を阻まれた。
「アラン様、クラース様? どうして……」
「えっと、この方たちは……?」
キョトンとするエミリア。
「今は、覗かないほうがいいかもしれません……」
と、アラン様。そうか、緊急性が高いと判断して、エミリアの前に姿を現してでも止めに入ってくれたんだ……。
「なぜ……ですか?」
私がそう尋ねると、クラース様がこそっと耳打ちする。
「魔法の扱いが上手くいかず、落ち込んでいらっしゃいます……」
更にアラン様が続く。
「エミリア嬢ががっかりされるか、あちらのフレディ様が誰にも来てほしくないか、そういった事態を想定したのでお止めしました」
「なるほど……って、エミリア!?」
「「あっ!」」
私たちが3人でコソコソ話している間に、エミリアは魔道訓練室へと入っていってしまった。
「大変ですアーサー殿下!」
転送装置で彼の部屋に向かうと、アラン様とクラース様が既に部屋へと来ていた。
「あぁ、ディアナ。来てくれたか。今彼らから謎の人物の報告を受けていたところだ」
と、アーサー殿下。
「アラン様、クラース様、あの時はあのままお別れしてしまい、すみませんでした」
私は彼らに頭を下げる。
「いえ、いいですよ。俺らもディアナ嬢が出てくださらなければエミリア嬢にバレてしまうところだったかもしれませんので」
と、クラース様。
「では僕らはお邪魔になりますのでこれで……」
「すまんな2人とも。ありがとう」
アラン様とクラース様が退室するのを見送ると、私と殿下はソファへと腰掛けた。
「ディアナも知らない人物の登場か……これは、真のルートの可能性が高いな……」
と、アーサー殿下。
「はい、お名前はフレディ様と言って学院服を着ていなかったのですが、ご存じないですか? 金髪の緩いパーマの男性で、魔道の訓練をされている方みたいなんですが……」
「フレディ……分からんな。学院服を着ていないということは、留学生だとは思うんだが……留学生にはあまり詳しくなくてな……せめて、騎士であれば分かったかもしれんが」
「そうですか……エミリア、一目惚れしたらしくて、なんとかもう少しお会い出来る機会があればいいんですが……」
「とにかくアランとクラースにも、彼の居場所を捜索してもらうとしよう。それでなんとか彼とエミリアを鉢合わせよう」
「そうですね、頑張りましょう!」
⸺⸺
それから、エミリアは上の空になることが増えた。よほど彼のことが気になっているのか、授業にも全然打ち込めてないようだった。
このままではエミリアの成績が落ちてしまう。どうしよう、私も暇さえあれば探してるんだけど、全然見つからない……。
授業も終わってエミリアと寮に戻ろうとしたその時、アーサー殿下からメッセージが入った。
『アランとクラースが見つけたらしい。魔道訓練室にいるそうだ』
「エミリア! フレディ様、今魔道訓練室にいるそうよ! 行きましょう!」
「え、本当なの!? でもディアナ、何でそんなこと……」
「今はそんなことどうでもいいでしょ? ほら、フレディ様がいなくなっちゃうかもだから早く早く!」
「う、うん……」
私はエミリアの手を引いて魔道訓練室へと急ぐ。
しかし、そこにスタンバっていたアラン様とクラース様に行く手を阻まれた。
「アラン様、クラース様? どうして……」
「えっと、この方たちは……?」
キョトンとするエミリア。
「今は、覗かないほうがいいかもしれません……」
と、アラン様。そうか、緊急性が高いと判断して、エミリアの前に姿を現してでも止めに入ってくれたんだ……。
「なぜ……ですか?」
私がそう尋ねると、クラース様がこそっと耳打ちする。
「魔法の扱いが上手くいかず、落ち込んでいらっしゃいます……」
更にアラン様が続く。
「エミリア嬢ががっかりされるか、あちらのフレディ様が誰にも来てほしくないか、そういった事態を想定したのでお止めしました」
「なるほど……って、エミリア!?」
「「あっ!」」
私たちが3人でコソコソ話している間に、エミリアは魔道訓練室へと入っていってしまった。
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