7 / 30
7話 ダメアン撲滅大作戦
しおりを挟む
入学式でまたまた独り反省会をする私。
どうしても自室まで行かないと時を進められないから、学院長の話は避けては通れないんだよね。
でも実はその長い話の時間が、反省会にはもってこいな訳ですよ。
正門でも思ったけど、もうダメアンがエミリアに近付いた時点でアウトな気がするんだ。
私がどう行動するとかじゃなくて、ダメアンをどう攻略するかがカギになってるみたいだ。
一応エミリアには気を付けてって言っておいたけど、全然真に受けてなさそうだったしな……。
本来のゲームでは、エミリアのところにダメアンが話しかけてくるシーンがあるんだよね。
でもそこにディアナの姿はなかったから、普通にいっても私が止めることはできなくて、気付いたら婚約報告をされる感じになる。
でも私は悪役令嬢じゃなくて今やヒロインのディアナ。
エミリアが話しかけられるシーンに先回りをして、話しかけられる前に私がエミリアをどこかへ連れ去る。
よし、これで行こう。
⸺⸺学生寮 自室⸺⸺
入学式が終わって部屋に入ると、私は1ヶ月ほど時を進めた。
確かこの辺りで話しかけられるはずなんだよ。
それから数日、エミリアとは別の授業で別れたあとも、執念に彼女の後を追い続けた。
すると、彼女が中庭に差し掛かる頃、ダメアンが彼女へと近づく瞬間を捉えた。
「エミ……」
話しかけようとするダメアン。そこですかさず私がエミリアを見つけた体で強引に彼女をダメアンから引き離す。
「エミリア見ーっけ!」
「あっ、ディアナ! どうしたの? 確かディアナのさっきまでの授業って……正反対の教室じゃ……」
「エミリアに会いたくなってダッシュでこっち来ちゃった。ね、一緒にお昼食べよ」
「もちろんだよ! っていうか食堂で待ってたら良かったのに……」
「あはは、いいからいいから……」
よし、ダメアンはポツンと取り残された。作戦成功だ!
これで流れが変わったからきっといけるはず……!
⸺⸺翌日のお昼休み。
「ディアナ、あのね、私……バシュレ伯爵家の御子息のダミアン様に婚約を申し込まれたの……」
「なっ……何ですとー!?」
つまり、あの時点から話しかけられるまでダメアンは何度もエミリアを狙いに来るってこと!?
「あれ……どうしたの? ディアナ……」
「エミリア……私、罠の可能性があるって言ったよね……」
トホホ……っと、肩を落とす。
「うん、だからね、“私たちは貴族の家系。そういうのは私たちの親が決めることですので”って、言ったの」
エミリア! なんて良い子なの!?
「そうね、きっとご両親同士が決めたことなら大丈夫そうだしね……」
「うん、でも私がそんな声をかけてもらえるだなんて思ってなかったな~」
「エミリア可愛いから心配だったのよ~」
「もー、ディアナったら……」
エミリアはモジモジする。んもぅ、本当に可愛いんだから。
⸺⸺数日後。
「ディアナ、あのね、両家の親同士で相談して、正式にダミアン様と婚約をすることになったのよ」
「ぐはっ……」
私はテーブルに突っ伏した。
「あれ、ディアナ……私が婚約するの嫌だった……?」
はっ、いかんいかん。ここは友として祝福せねば……!
「そんなことある訳ないよ! まだちょっと心配になっちゃっただけ。でもご両親が決めたのなら大丈夫よね。良かった、おめでとう!」
「もう、ディアナは心配症なんだから~。でも、ありがと」
はぁ、結局ダメだった。その後いつもの理由でダメアンと会うのだけは避けれたけど……。こうなったらもう、パーティ会場に顔を出す訳にはいかないな……。
⸺⸺中間考査後。
「ごめんね私、徹夜で勉強頑張りすぎたせいか体調悪くてパーティ出るのはやめておくわ」
エミリアの誘いを断る私。
「えっ、大丈夫なの!? 私もパーティ行かないでディアナの看病する!」
「そ、そんな悪いよ……」
と、思ったけど、大事な分岐点でエミリアを確保しておけるのはチャンスかもしれない。そのため私はこう続けた。
「でも、やっぱエミリアに側にいてほしいな。今夜は一緒に部屋でゆっくりしよ」
「うん、それがいいよ。あったかいココアでも飲みながらテストの反省会でもしよ」
そう、これでいいんだ。パーティに出なかったらアーサー殿下とは会えないけど、パーティに出ればエミリアが傷付く。
私は彼への気持ちをぐっと飲み込んで、親友との時間を過ごした。
どうしても自室まで行かないと時を進められないから、学院長の話は避けては通れないんだよね。
でも実はその長い話の時間が、反省会にはもってこいな訳ですよ。
正門でも思ったけど、もうダメアンがエミリアに近付いた時点でアウトな気がするんだ。
私がどう行動するとかじゃなくて、ダメアンをどう攻略するかがカギになってるみたいだ。
一応エミリアには気を付けてって言っておいたけど、全然真に受けてなさそうだったしな……。
本来のゲームでは、エミリアのところにダメアンが話しかけてくるシーンがあるんだよね。
でもそこにディアナの姿はなかったから、普通にいっても私が止めることはできなくて、気付いたら婚約報告をされる感じになる。
でも私は悪役令嬢じゃなくて今やヒロインのディアナ。
エミリアが話しかけられるシーンに先回りをして、話しかけられる前に私がエミリアをどこかへ連れ去る。
よし、これで行こう。
⸺⸺学生寮 自室⸺⸺
入学式が終わって部屋に入ると、私は1ヶ月ほど時を進めた。
確かこの辺りで話しかけられるはずなんだよ。
それから数日、エミリアとは別の授業で別れたあとも、執念に彼女の後を追い続けた。
すると、彼女が中庭に差し掛かる頃、ダメアンが彼女へと近づく瞬間を捉えた。
「エミ……」
話しかけようとするダメアン。そこですかさず私がエミリアを見つけた体で強引に彼女をダメアンから引き離す。
「エミリア見ーっけ!」
「あっ、ディアナ! どうしたの? 確かディアナのさっきまでの授業って……正反対の教室じゃ……」
「エミリアに会いたくなってダッシュでこっち来ちゃった。ね、一緒にお昼食べよ」
「もちろんだよ! っていうか食堂で待ってたら良かったのに……」
「あはは、いいからいいから……」
よし、ダメアンはポツンと取り残された。作戦成功だ!
これで流れが変わったからきっといけるはず……!
⸺⸺翌日のお昼休み。
「ディアナ、あのね、私……バシュレ伯爵家の御子息のダミアン様に婚約を申し込まれたの……」
「なっ……何ですとー!?」
つまり、あの時点から話しかけられるまでダメアンは何度もエミリアを狙いに来るってこと!?
「あれ……どうしたの? ディアナ……」
「エミリア……私、罠の可能性があるって言ったよね……」
トホホ……っと、肩を落とす。
「うん、だからね、“私たちは貴族の家系。そういうのは私たちの親が決めることですので”って、言ったの」
エミリア! なんて良い子なの!?
「そうね、きっとご両親同士が決めたことなら大丈夫そうだしね……」
「うん、でも私がそんな声をかけてもらえるだなんて思ってなかったな~」
「エミリア可愛いから心配だったのよ~」
「もー、ディアナったら……」
エミリアはモジモジする。んもぅ、本当に可愛いんだから。
⸺⸺数日後。
「ディアナ、あのね、両家の親同士で相談して、正式にダミアン様と婚約をすることになったのよ」
「ぐはっ……」
私はテーブルに突っ伏した。
「あれ、ディアナ……私が婚約するの嫌だった……?」
はっ、いかんいかん。ここは友として祝福せねば……!
「そんなことある訳ないよ! まだちょっと心配になっちゃっただけ。でもご両親が決めたのなら大丈夫よね。良かった、おめでとう!」
「もう、ディアナは心配症なんだから~。でも、ありがと」
はぁ、結局ダメだった。その後いつもの理由でダメアンと会うのだけは避けれたけど……。こうなったらもう、パーティ会場に顔を出す訳にはいかないな……。
⸺⸺中間考査後。
「ごめんね私、徹夜で勉強頑張りすぎたせいか体調悪くてパーティ出るのはやめておくわ」
エミリアの誘いを断る私。
「えっ、大丈夫なの!? 私もパーティ行かないでディアナの看病する!」
「そ、そんな悪いよ……」
と、思ったけど、大事な分岐点でエミリアを確保しておけるのはチャンスかもしれない。そのため私はこう続けた。
「でも、やっぱエミリアに側にいてほしいな。今夜は一緒に部屋でゆっくりしよ」
「うん、それがいいよ。あったかいココアでも飲みながらテストの反省会でもしよ」
そう、これでいいんだ。パーティに出なかったらアーサー殿下とは会えないけど、パーティに出ればエミリアが傷付く。
私は彼への気持ちをぐっと飲み込んで、親友との時間を過ごした。
10
お気に入りに追加
240
あなたにおすすめの小説
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
悪役令嬢がキレる時
リオール
恋愛
この世に悪がはびこるとき
ざまぁしてみせましょ
悪役令嬢の名にかけて!
========
※主人公(ヒロイン)は口が悪いです。
あらかじめご承知おき下さい
突発で書きました。
4話完結です。
逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます
黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。
ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。
目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが……
つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも?
短いお話を三話に分割してお届けします。
この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。
悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい
砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。
風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。
イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。
一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。
強欲悪役令嬢ストーリー(笑)
二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。
男装の公爵令嬢ドレスを着る
おみなしづき
恋愛
父親は、公爵で騎士団長。
双子の兄も父親の騎士団に所属した。
そんな家族の末っ子として産まれたアデルが、幼い頃から騎士を目指すのは自然な事だった。
男装をして、口調も父や兄達と同じく男勝り。
けれど、そんな彼女でも婚約者がいた。
「アデル……ローマン殿下に婚約を破棄された。どうしてだ?」
「ローマン殿下には心に決めた方がいるからです」
父も兄達も殺気立ったけれど、アデルはローマンに全く未練はなかった。
すると、婚約破棄を待っていたかのようにアデルに婚約を申し込む手紙が届いて……。
※暴力的描写もたまに出ます。
茜坂病院前バス停にて・拝島ぼたんの退魔録─壱─ 僕の彼女は幽霊で胸に秘める九つの秘密
杏樹まじゅ
恋愛
茜坂病院前バス停にて。僕は生まれて初めて恋に落ちた……。茜坂病院。がんを抱える人々の最後の砦。十四歳の倉敷博巳は、脳腫瘍を患い、その病院に入院していた。抗がん剤治療の辛く苦しい日々。そんな時、白血病で入院する、一つ年上の逢沢瞳と病室で出会う。そんな彼女は、よく病院を抜け出しては近くのバス停で、停りもしないバスをいつも待っていた。そしてある夏の日、博巳は瞳と約束をする。明日、彼女が待っているバスに乗せて、彼女の望む場所に行こう、と──
※この作品は「小説家になろう」様、「カクヨム」様、「ノベルデイズ」様、「ノベルアップ+」様、「エブリスタ」様、「ステキブンゲイ」様にも連載しております。
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
大嫌いな令嬢
緑谷めい
恋愛
ボージェ侯爵家令嬢アンヌはアシャール侯爵家令嬢オレリアが大嫌いである。ほとんど「憎んでいる」と言っていい程に。
同家格の侯爵家に、たまたま同じ年、同じ性別で産まれたアンヌとオレリア。アンヌには5歳年上の兄がいてオレリアには1つ下の弟がいる、という点は少し違うが、ともに実家を継ぐ男兄弟がいて、自らは将来他家に嫁ぐ立場である、という事は同じだ。その為、幼い頃から何かにつけて、二人の令嬢は周囲から比較をされ続けて来た。
アンヌはうんざりしていた。
アンヌは可愛らしい容姿している。だが、オレリアは幼い頃から「可愛い」では表現しきれぬ、特別な美しさに恵まれた令嬢だった。そして、成長するにつれ、ますますその美貌に磨きがかかっている。
そんな二人は今年13歳になり、ともに王立貴族学園に入学した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる