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2話 バッドエンドと決意
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「うーん……」
私はガンガンする頭を抱えながら起き上がる。すると、ここは寮の私の部屋だった。ちゃんとベッドで布団をかぶって寝ていたらしい。
あれ、私あそこから自力で帰ったんだ。しかも裸じゃん。せめてなんか着て寝てよ。そう思っていると、すぐ隣からイケボが聞こえてくる。
「ディアナ……昨日は最高だったよ……」
「えっ!? ダミアン!? 何で!?」
私の隣には、同じく真っ裸のダミアンが寝ていた。
その瞬間、私の頭の中に昨夜の記憶が次々に蘇ってくる。
酔った私をダミアンが抱えて、エミリアと3人で寮に帰宅。エミリアの部屋の前で彼女と別れてダミアンと共に私の部屋へ入室。
それからは……うわぁぁぁ思い出したくない! 私の処女……ダミアンに奪われた!
最悪、結局寝取ってしまった……。でも、今ならこいつを部屋から追い出せば……。
「ディアナ……もう1回、しちゃう?」
ダミアンがそう言って抱きついてくる。
「やめて、しないってば!」
私が彼を引き剥がそうともがいていると、最悪の瞬間が訪れる。
「ディアナー? 大丈夫? 開けるよー?」
「エミリア、まって……!」
⸺⸺ガチャ⸺⸺
「えっ……?」
エミリアはパリンッという音を立てて持っていた水のグラスを廊下へ落とした。
私のこと心配して水持ってきてくれたのか……。
「エミリア、違うの、これは……!」
「何が……違うの……?」
エミリアは静かに涙を流していた。
そして、グラスの割れる音を聞きつけて寮の人たちが次々に私の部屋を訪れ、皆引きつった表情を浮かべていた。
⸺⸺終わった。
そう思った瞬間、場面が急に実家の風景へと移り変わる。
その“元実家”だった屋敷の前で呆然と立ち尽くす私。屋敷の中からは、高価な家具が次々に運び出されていた。
そうか、バッドエンドが確定したから場面がスキップされたんだ。
そんなことを考えていると、隣から幼い声が次々に聞こえてくる。
「パパー、僕のおうちは?」
「あたちのくまちゃんつれていかないで……」
「ママおなかすいた……」
「うぇーん……」
「うわぁぁぁん」
「おぎゃー、おぎゃー」
ちょっと待って! ディアナって7人姉弟の長女だったの!? しかも私以外みんなチビなんですけど。
「行こう……ここはもう私たちの家ではない……」
ディアナの父親、エイデン元男爵は、私の方を一切見ることなく、トボトボと歩き出した。
ここでどこからともなく、悲しげな音楽が流れてくる。
~ヒュルリラ~♪ ヒュルルリラ~♪~
ちょっと! エミリアがルート間違えてバッドエンドになっちゃう時の音楽流すんじゃないわよ!
そこで私はハッとする。
エミリアの時の音楽が流れるなら……。
私はカバンをガサゴソとあさると、1つの懐中時計を取り出した。
あった! ヒロインの魔法アイテム『時戻りの懐中時計』
これがあれば時を戻せるはず。
私は藁にもすがる思いでその時計の突起をポチッと押した。
⸺⸺⸺
⸺⸺
⸺
チュンチュン……チュン。
「念願の、王宮学院だね。頑張ろうね、ディアナ」
あ、入学式の朝だ……!
戻ってる! 本当に時が戻ったんだ!
「ディアナ?」
エミリアが心配そうに私を覗き込んでくる。
「あっ、ごめんごめん、ちょっと緊張しちゃってた。行こっか」
「そっかぁ、そうだよねぇ。私もちょっと緊張する」
「ねー……」
私は適当に会話を成立させながら、自分のカバンの中に手を突っ込む。
やっぱり『時戻りの懐中時計』が私のカバンの中にある。
ここで私は確信する。ヒロインしか持っていないはずの懐中時計を私が持っていて、音楽も私を追って流れてくる。
つまり、この物語のヒロインは私だ!
これは、悪役令嬢がなんとかしてバッドエンドを回避する物語なんだ。
この懐中時計があれば何回だってやり直せる。
よし、やってやる!
私はこのディアナで絶対にハッピーエンドを迎えてみせる!
私のざまぁ回避奮闘の日々がここに始まる。
私はガンガンする頭を抱えながら起き上がる。すると、ここは寮の私の部屋だった。ちゃんとベッドで布団をかぶって寝ていたらしい。
あれ、私あそこから自力で帰ったんだ。しかも裸じゃん。せめてなんか着て寝てよ。そう思っていると、すぐ隣からイケボが聞こえてくる。
「ディアナ……昨日は最高だったよ……」
「えっ!? ダミアン!? 何で!?」
私の隣には、同じく真っ裸のダミアンが寝ていた。
その瞬間、私の頭の中に昨夜の記憶が次々に蘇ってくる。
酔った私をダミアンが抱えて、エミリアと3人で寮に帰宅。エミリアの部屋の前で彼女と別れてダミアンと共に私の部屋へ入室。
それからは……うわぁぁぁ思い出したくない! 私の処女……ダミアンに奪われた!
最悪、結局寝取ってしまった……。でも、今ならこいつを部屋から追い出せば……。
「ディアナ……もう1回、しちゃう?」
ダミアンがそう言って抱きついてくる。
「やめて、しないってば!」
私が彼を引き剥がそうともがいていると、最悪の瞬間が訪れる。
「ディアナー? 大丈夫? 開けるよー?」
「エミリア、まって……!」
⸺⸺ガチャ⸺⸺
「えっ……?」
エミリアはパリンッという音を立てて持っていた水のグラスを廊下へ落とした。
私のこと心配して水持ってきてくれたのか……。
「エミリア、違うの、これは……!」
「何が……違うの……?」
エミリアは静かに涙を流していた。
そして、グラスの割れる音を聞きつけて寮の人たちが次々に私の部屋を訪れ、皆引きつった表情を浮かべていた。
⸺⸺終わった。
そう思った瞬間、場面が急に実家の風景へと移り変わる。
その“元実家”だった屋敷の前で呆然と立ち尽くす私。屋敷の中からは、高価な家具が次々に運び出されていた。
そうか、バッドエンドが確定したから場面がスキップされたんだ。
そんなことを考えていると、隣から幼い声が次々に聞こえてくる。
「パパー、僕のおうちは?」
「あたちのくまちゃんつれていかないで……」
「ママおなかすいた……」
「うぇーん……」
「うわぁぁぁん」
「おぎゃー、おぎゃー」
ちょっと待って! ディアナって7人姉弟の長女だったの!? しかも私以外みんなチビなんですけど。
「行こう……ここはもう私たちの家ではない……」
ディアナの父親、エイデン元男爵は、私の方を一切見ることなく、トボトボと歩き出した。
ここでどこからともなく、悲しげな音楽が流れてくる。
~ヒュルリラ~♪ ヒュルルリラ~♪~
ちょっと! エミリアがルート間違えてバッドエンドになっちゃう時の音楽流すんじゃないわよ!
そこで私はハッとする。
エミリアの時の音楽が流れるなら……。
私はカバンをガサゴソとあさると、1つの懐中時計を取り出した。
あった! ヒロインの魔法アイテム『時戻りの懐中時計』
これがあれば時を戻せるはず。
私は藁にもすがる思いでその時計の突起をポチッと押した。
⸺⸺⸺
⸺⸺
⸺
チュンチュン……チュン。
「念願の、王宮学院だね。頑張ろうね、ディアナ」
あ、入学式の朝だ……!
戻ってる! 本当に時が戻ったんだ!
「ディアナ?」
エミリアが心配そうに私を覗き込んでくる。
「あっ、ごめんごめん、ちょっと緊張しちゃってた。行こっか」
「そっかぁ、そうだよねぇ。私もちょっと緊張する」
「ねー……」
私は適当に会話を成立させながら、自分のカバンの中に手を突っ込む。
やっぱり『時戻りの懐中時計』が私のカバンの中にある。
ここで私は確信する。ヒロインしか持っていないはずの懐中時計を私が持っていて、音楽も私を追って流れてくる。
つまり、この物語のヒロインは私だ!
これは、悪役令嬢がなんとかしてバッドエンドを回避する物語なんだ。
この懐中時計があれば何回だってやり直せる。
よし、やってやる!
私はこのディアナで絶対にハッピーエンドを迎えてみせる!
私のざまぁ回避奮闘の日々がここに始まる。
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