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11話 求められていたのは-エメリーヌ視点-
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姉の子は姉の財産を全て手に入れるために生かしておいた。
姉の子にも感染したらマズいと思い心配しているふりをして隔離をしたかったけど、姉の子は必死に自分の親を看病していた。
あの子にもかかってしまってもし死んでしまったら、わたくしの財産が……そうヒヤヒヤしていたが、幸いにもあの子に病が移ることはなかった。
姉には致死量の3倍のウイルスを送り込んだから、日に日に死に近づいていき、わたくしの計画通りにわたくしに富を託し、あっけなく死んでいった。その後娘もウイルスを注入してやろうかと思い再び研究所へ向かったが、病原体を手に入れる事は出来なかった。
まぁ、餓鬼を処分する方法なんて沢山ある。焦る必要はない。
それにしても姉が死んで皆悲しみに暮れる中、お父様と国王陛下だけはなぜか焦っているようだった。婚姻が出来なくなってしまったから体裁を気にしているのか。でも、まだ世間には婚約の発表すらしていないし、一体なぜ……? それに、姉がいなくなってもわたくしがいる。
それからはしばらくその話は出て来なくなってしまった。
わたくしはお父様の会社で働いているが、取引先に姉の子を育てているという話をすると商談が上手く行ったので、あの子は将来わたくしの仕事をサポートさせる形で立派な貴族に育て上げよう。まぁ、姉の面影があってウザいけど……。
そんな新たな目標も出来たところで、やっとわたくしのもとへ王太子との縁談がきたのである。やはりエイムズ伯爵家との縁談だったのだ。つまり、本来のあるべき縁談の姿へと戻っただけ。わたくしは自力で自分の地位を守ったのですわ。
⸺⸺エイムズ伯爵の屋敷⸺⸺
「ただいま戻りましたわ」
「おぉ、エメリーヌ。商談はどうだったかね?」
と、お父様。そう言えば隣町まで商談に行くって言っておいたのでしたわ。
「そ、それが……」
わたくしは迫真の演技で落ち込んでみせる。
「何っ、破談になったのかね!? というかティニーはどうしたのだ?」
「そう、その事で残念なお話がございますの。実は……城下で昼食を取っていたところ、気付いたらティニーが勝手にいなくなってしまい、城下の民から“魔の森”の方へ走っていく女の子を見たと伺い、慌ててわたくしも馬を飛ばして森の入り口の方まで見に行ったのですが……見つからなかったのです……商談もそのせいで遅れてしまったため破談に……申し訳ありません」
「なっ、何だと!?」
お父様は絶望の表情を浮かべている。1つ商談が破談になっただけで何て顔をするのでしょう。
「ティニーがいなくなってしまったというのに、お前は見つけもせずに諦めて商談なんかに行ったのか!?」
「えっ……?」
そっち……? あの子がいなくなった事にそんな絶望しているの? 一体なぜですの?
「商談なんかどうだっていい! 早くティニーを見つけなくては! あぁ、大変な事になった! まだ7つの子どもだぞ。それにもう、“あの子しかいないというのに”」
「一体なぜそんなに慌てているのですか? 魔の森に行ったのですよ。もう、きっとあの子は……」
「魔の森ならきっとまだ生きている! 何をしているのだ、早く見つけて来ないか! ティニーを見つけてくるまでお前は帰ってこなくていい!」
お父様の表情は今までにないほど険しかった。一体あの子が何だと言うのでしょう。
「そ、そんな……! あの魔の森ですよ!? 魔除けも持たずに行ったのですよ!? それにわたくしは王族になる身です! なぜその王族のわたくしが、勝手にいなくなってしまった赤の他人の問題児を探しに行かなくてはならないのですか?」
その後のお父様の一言は、わたくしの顔を真っ青にするのに十分だった。
「うるさい黙れ! お前が王太子殿下と婚約出来たのはティニーのおかげだぞ!? あの子がいなければ今回の婚約の話もなしになるぞ!」
「嘘、嘘ですわ……。そ、そんなはずありません!」
求められていたのはわたくしではなく、あの子の方!?
わたくしは屋敷を飛び出して、城の王太子殿下のもとへと向かった。
姉の子にも感染したらマズいと思い心配しているふりをして隔離をしたかったけど、姉の子は必死に自分の親を看病していた。
あの子にもかかってしまってもし死んでしまったら、わたくしの財産が……そうヒヤヒヤしていたが、幸いにもあの子に病が移ることはなかった。
姉には致死量の3倍のウイルスを送り込んだから、日に日に死に近づいていき、わたくしの計画通りにわたくしに富を託し、あっけなく死んでいった。その後娘もウイルスを注入してやろうかと思い再び研究所へ向かったが、病原体を手に入れる事は出来なかった。
まぁ、餓鬼を処分する方法なんて沢山ある。焦る必要はない。
それにしても姉が死んで皆悲しみに暮れる中、お父様と国王陛下だけはなぜか焦っているようだった。婚姻が出来なくなってしまったから体裁を気にしているのか。でも、まだ世間には婚約の発表すらしていないし、一体なぜ……? それに、姉がいなくなってもわたくしがいる。
それからはしばらくその話は出て来なくなってしまった。
わたくしはお父様の会社で働いているが、取引先に姉の子を育てているという話をすると商談が上手く行ったので、あの子は将来わたくしの仕事をサポートさせる形で立派な貴族に育て上げよう。まぁ、姉の面影があってウザいけど……。
そんな新たな目標も出来たところで、やっとわたくしのもとへ王太子との縁談がきたのである。やはりエイムズ伯爵家との縁談だったのだ。つまり、本来のあるべき縁談の姿へと戻っただけ。わたくしは自力で自分の地位を守ったのですわ。
⸺⸺エイムズ伯爵の屋敷⸺⸺
「ただいま戻りましたわ」
「おぉ、エメリーヌ。商談はどうだったかね?」
と、お父様。そう言えば隣町まで商談に行くって言っておいたのでしたわ。
「そ、それが……」
わたくしは迫真の演技で落ち込んでみせる。
「何っ、破談になったのかね!? というかティニーはどうしたのだ?」
「そう、その事で残念なお話がございますの。実は……城下で昼食を取っていたところ、気付いたらティニーが勝手にいなくなってしまい、城下の民から“魔の森”の方へ走っていく女の子を見たと伺い、慌ててわたくしも馬を飛ばして森の入り口の方まで見に行ったのですが……見つからなかったのです……商談もそのせいで遅れてしまったため破談に……申し訳ありません」
「なっ、何だと!?」
お父様は絶望の表情を浮かべている。1つ商談が破談になっただけで何て顔をするのでしょう。
「ティニーがいなくなってしまったというのに、お前は見つけもせずに諦めて商談なんかに行ったのか!?」
「えっ……?」
そっち……? あの子がいなくなった事にそんな絶望しているの? 一体なぜですの?
「商談なんかどうだっていい! 早くティニーを見つけなくては! あぁ、大変な事になった! まだ7つの子どもだぞ。それにもう、“あの子しかいないというのに”」
「一体なぜそんなに慌てているのですか? 魔の森に行ったのですよ。もう、きっとあの子は……」
「魔の森ならきっとまだ生きている! 何をしているのだ、早く見つけて来ないか! ティニーを見つけてくるまでお前は帰ってこなくていい!」
お父様の表情は今までにないほど険しかった。一体あの子が何だと言うのでしょう。
「そ、そんな……! あの魔の森ですよ!? 魔除けも持たずに行ったのですよ!? それにわたくしは王族になる身です! なぜその王族のわたくしが、勝手にいなくなってしまった赤の他人の問題児を探しに行かなくてはならないのですか?」
その後のお父様の一言は、わたくしの顔を真っ青にするのに十分だった。
「うるさい黙れ! お前が王太子殿下と婚約出来たのはティニーのおかげだぞ!? あの子がいなければ今回の婚約の話もなしになるぞ!」
「嘘、嘘ですわ……。そ、そんなはずありません!」
求められていたのはわたくしではなく、あの子の方!?
わたくしは屋敷を飛び出して、城の王太子殿下のもとへと向かった。
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