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5話 キャッチ&リリース
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私も馬車に乗り、町の外まで出てもらった。
その中で、商人さんからもらった“腕輪のカギ”を使って、1人1人の電撃の腕輪のカギを外していく。
「あの……どうして……」
その高かった彼がそう尋ねる。
「どうしてって……間違えて電流が流れちゃったら大変じゃない」
「えっと……俺らは奴隷ですし、当然のことかと……」
「奴隷の前に、あなた王族なんでしょ? 王子様?」
「はい……ルーセリア王国の第一王子、カミユと申します。あの、ご主人様は?」
「ご主人様って、もしかして私のこと?」
「もちろんです、我が主」
「そう、調教されてるってことね……可哀想に。私はサキよ。ご主人様なんかじゃなくて、サキって呼んでくれたらいい」
「サキ……様……」
私は全員の腕輪のカギを外すと、馬車を降り、馬に跨っている御者へ、追加の運賃を渡した。
「これでルーセリア王国の王都まで行けるかしら?」
「ええ、十分すぎるくらいですよ」
「なら、そこまで彼らをお願い。お釣りは彼らに渡して」
「承知致しました」
「ま、待って下さい、サキ様!」
カミユが馬車を飛び降りる。
「どうしたの?」
「これは一体、どういうことなんでしょう? 俺らは、あなたに買われたのではないのですか?」
「もちろん私が買ったのよ。でも、別にあなたたちを私の奴隷にしようと思って買った訳じゃないの。だから、あなたたちは国に帰りなさい」
「そんな……! なぜ、あんな大金を払ってまで、そうしてくれたのですか?」
「最初は、あなたを私の家来にでもしようと思った。でも、あなたを見るたびに仕事が頑張れて、そのおかげで商売も大成功をしているの。だから、これは私からの恩返し。私の支えでいてくれてありがとう。カミユ、幸せになってね。さようなら」
「サ、サキ様……!」
私は彼らに背を向けて、自分の家へと帰宅した。
⸺⸺
はぁ、これからはまた新たな目標を見つけないと……。
そう思ったが、中々そそられる奴隷はおらず、私の唯一の楽しみは“シュウヤ”という奴隷の値段がだんだんと下がっていくのを見ることだけだった。
⸺⸺あれから2ヶ月。
燃え尽き症候群で商売のモチベも上がらず停滞気味になってきたとき、隣国からある手紙が届いた。
その中で、商人さんからもらった“腕輪のカギ”を使って、1人1人の電撃の腕輪のカギを外していく。
「あの……どうして……」
その高かった彼がそう尋ねる。
「どうしてって……間違えて電流が流れちゃったら大変じゃない」
「えっと……俺らは奴隷ですし、当然のことかと……」
「奴隷の前に、あなた王族なんでしょ? 王子様?」
「はい……ルーセリア王国の第一王子、カミユと申します。あの、ご主人様は?」
「ご主人様って、もしかして私のこと?」
「もちろんです、我が主」
「そう、調教されてるってことね……可哀想に。私はサキよ。ご主人様なんかじゃなくて、サキって呼んでくれたらいい」
「サキ……様……」
私は全員の腕輪のカギを外すと、馬車を降り、馬に跨っている御者へ、追加の運賃を渡した。
「これでルーセリア王国の王都まで行けるかしら?」
「ええ、十分すぎるくらいですよ」
「なら、そこまで彼らをお願い。お釣りは彼らに渡して」
「承知致しました」
「ま、待って下さい、サキ様!」
カミユが馬車を飛び降りる。
「どうしたの?」
「これは一体、どういうことなんでしょう? 俺らは、あなたに買われたのではないのですか?」
「もちろん私が買ったのよ。でも、別にあなたたちを私の奴隷にしようと思って買った訳じゃないの。だから、あなたたちは国に帰りなさい」
「そんな……! なぜ、あんな大金を払ってまで、そうしてくれたのですか?」
「最初は、あなたを私の家来にでもしようと思った。でも、あなたを見るたびに仕事が頑張れて、そのおかげで商売も大成功をしているの。だから、これは私からの恩返し。私の支えでいてくれてありがとう。カミユ、幸せになってね。さようなら」
「サ、サキ様……!」
私は彼らに背を向けて、自分の家へと帰宅した。
⸺⸺
はぁ、これからはまた新たな目標を見つけないと……。
そう思ったが、中々そそられる奴隷はおらず、私の唯一の楽しみは“シュウヤ”という奴隷の値段がだんだんと下がっていくのを見ることだけだった。
⸺⸺あれから2ヶ月。
燃え尽き症候群で商売のモチベも上がらず停滞気味になってきたとき、隣国からある手紙が届いた。
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