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24話 何で?-エリーゼside-
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フローラを嫁がせてすぐに、皇帝から貢物を減らすようにとの命令があった。
何で? アイツをわたくしの身代わりとして嫁がせれば、今まで通りの生活が送れるんじゃないの?
まさか、アイツ拷問に耐えきれずに自分はエリーゼではないとしゃべったのでは?
1日も持たなかったじゃない。今まで妹として面倒見てやったのに、とんだ薄情者だわ。
お母様も命令なんて聞かなければいいのに、素直に少しだけ貢物の量を減らしていた。
それでもしばらくは、今まで通りの豪遊生活が送れていた。
だけど数ヶ月経ったある日、貢物を減らしたにも関わらず、国民はそれすらも献上できないと言い始めた。
何でもここ最近作物の出来が良くなく、自分たちの食べる物もないですって?
作物の出来が良いか悪いか、国民の食べる物があるかないかなんてどうでも良いのよ。
どうでもいいから今まで通りちゃんと貢ぎなさいよ!
わたくしが城門でそう言い放つと、急にお母様が割って入ってきて、わたくしの頬を思いっきり叩いた。
そして押しかけてきた国民へ一言。
「貢げる量だけで十分です。まずはあなた方の食べられる物を確保なさい」
「あぁ、王妃殿下ありがとうございます!」
国民は満足したように皆帰っていった。
「お母様……!? 何てことするの!?」
わたくしは初めて打たれて赤くなった頬を擦る。
しかしお母様から返ってきた言葉は冷たい物だった。
「お黙りなさい。わたくしはどうやら選択を間違えたようです。あなたがこの城に残っても何の恩恵もなかった。やはり、あなたをシュナイダー家へ嫁がせるべきだったのです。今からでも身代わりとして嫁がせたことを謝罪して、あなたとあの子を入れ替えてもらいましょうか」
「う、嘘でしょ……? お母様、なぜ急にそんなことを……」
「思い出したのです。25年前、あなたがまだ生まれて間もない頃です。この地は貧しくわたくしたちも国民と試行錯誤をしながら農業に取り組んでいました。ですがなかなか上手くは行かず、陛下はこの貧困を脱出する術を探るべく、他国へ遠征に行きました」
「そんな状態だったなんて……」
王族であればずっと華やかな生活を送れる物だと思っていた。現実はそうじゃないの?
「そして連れ帰ってきたのがあの子の母親フィオーレでした。それからと言うもの、フィオーレが祈る度に国は豊かになっていき、わたくしたちの生活も一変しました。ですがフィオーレはフローラを生んですぐに死んでしまいました。それからは陛下も塞ぎ込んでしまい、わたくしもまた前のような生活に戻ってしまうと思っていました。そう思ってフローラを目の敵のようにしてしまっていました」
「何で? それの何がいけないんですの?」
「少し考えれば分かることでした。フィオーレが死んでしまった後も、生活は特に変わることはなかった。つまり、フィオーレの不思議な加護の力がフローラにも継承されていたのです。この国は今まで、あの子の加護に支えられてきたのです。今のこの貧しい状況が、本来の姿だったのです」
「加護……? 何なのそれ、そんな力あの害虫にある訳がないじゃない。お母様どうしてしまったの? 目を覚まして、お願い!」
「お黙り!」
「痛っ!」
さっきよりも強く叩かれ、頬がジンジンとしていた。
「害虫はあなたの方よ。今からでもやるだけやってみましょう。シュナイダー家に行きます。準備なさい」
「嘘……そんな! わたくし拷問なんて嫌です! 何で? 何でこんなことになるのよ!」
何で? アイツをわたくしの身代わりとして嫁がせれば、今まで通りの生活が送れるんじゃないの?
まさか、アイツ拷問に耐えきれずに自分はエリーゼではないとしゃべったのでは?
1日も持たなかったじゃない。今まで妹として面倒見てやったのに、とんだ薄情者だわ。
お母様も命令なんて聞かなければいいのに、素直に少しだけ貢物の量を減らしていた。
それでもしばらくは、今まで通りの豪遊生活が送れていた。
だけど数ヶ月経ったある日、貢物を減らしたにも関わらず、国民はそれすらも献上できないと言い始めた。
何でもここ最近作物の出来が良くなく、自分たちの食べる物もないですって?
作物の出来が良いか悪いか、国民の食べる物があるかないかなんてどうでも良いのよ。
どうでもいいから今まで通りちゃんと貢ぎなさいよ!
わたくしが城門でそう言い放つと、急にお母様が割って入ってきて、わたくしの頬を思いっきり叩いた。
そして押しかけてきた国民へ一言。
「貢げる量だけで十分です。まずはあなた方の食べられる物を確保なさい」
「あぁ、王妃殿下ありがとうございます!」
国民は満足したように皆帰っていった。
「お母様……!? 何てことするの!?」
わたくしは初めて打たれて赤くなった頬を擦る。
しかしお母様から返ってきた言葉は冷たい物だった。
「お黙りなさい。わたくしはどうやら選択を間違えたようです。あなたがこの城に残っても何の恩恵もなかった。やはり、あなたをシュナイダー家へ嫁がせるべきだったのです。今からでも身代わりとして嫁がせたことを謝罪して、あなたとあの子を入れ替えてもらいましょうか」
「う、嘘でしょ……? お母様、なぜ急にそんなことを……」
「思い出したのです。25年前、あなたがまだ生まれて間もない頃です。この地は貧しくわたくしたちも国民と試行錯誤をしながら農業に取り組んでいました。ですがなかなか上手くは行かず、陛下はこの貧困を脱出する術を探るべく、他国へ遠征に行きました」
「そんな状態だったなんて……」
王族であればずっと華やかな生活を送れる物だと思っていた。現実はそうじゃないの?
「そして連れ帰ってきたのがあの子の母親フィオーレでした。それからと言うもの、フィオーレが祈る度に国は豊かになっていき、わたくしたちの生活も一変しました。ですがフィオーレはフローラを生んですぐに死んでしまいました。それからは陛下も塞ぎ込んでしまい、わたくしもまた前のような生活に戻ってしまうと思っていました。そう思ってフローラを目の敵のようにしてしまっていました」
「何で? それの何がいけないんですの?」
「少し考えれば分かることでした。フィオーレが死んでしまった後も、生活は特に変わることはなかった。つまり、フィオーレの不思議な加護の力がフローラにも継承されていたのです。この国は今まで、あの子の加護に支えられてきたのです。今のこの貧しい状況が、本来の姿だったのです」
「加護……? 何なのそれ、そんな力あの害虫にある訳がないじゃない。お母様どうしてしまったの? 目を覚まして、お願い!」
「お黙り!」
「痛っ!」
さっきよりも強く叩かれ、頬がジンジンとしていた。
「害虫はあなたの方よ。今からでもやるだけやってみましょう。シュナイダー家に行きます。準備なさい」
「嘘……そんな! わたくし拷問なんて嫌です! 何で? 何でこんなことになるのよ!」
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