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20話 セイラの真実
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アンジェリカはハーブティーを用意し、席に着くとフードを外した。
『アンジェリカ、その幼い姿は一体……!?』
驚くファフニール。
「……今は18歳の女の子なの。その子と同じくらいかしら」
彼女は私の方を見てそう言う。てっきり私より若いくらいだと思ったけど。
というか、普通に400年前に生きていた人が目の前にいるってどういう事? 幽霊なのかな?
物珍しそうにアンジェリカを見てしまっていたせいか、彼女は私の顔を見てクスッと笑った。
「まずは私の紹介からね。私はアンジェリカ・フーリエ。今から約400年ほど前の勇者の代の聖女だったの」
「俺はシャルル・グランデ。このグランデ王国の王太子であり、今代の勇者だ。こちらはジェニーで、俺と同様に今代の聖女だ」
シャルル殿下の紹介に合わせて私も会釈をする。アンジェリカは私が聖女だと聞いた瞬間悲しそうな視線を送ってきた。
「思った通り、その子が聖女なのね。戦えないのに可哀想……。まず、本題に入りましょう。セイラという女の子だけど、確かに私が“勇者の痣”を魔力で彫ったわ」
「やはり、そうなのか……。なぜ、聖女ではなく勇者の痣を彫ったんだ?」
「そんなの、あの子が勇者と同じ痣を付けてって言うからその通りにしただけよ。なんでも自分の事を聖女だと思ってたみたいだけど、勇者とキスを済ませたかって聞いてもまだだって言うし、顔を見れば違う事は一目瞭然だった」
「やっぱり、セイラは聖域には行ってなかったんだ……」
私はその事実に愕然とする。
聖女の禊を済ませて帰ってきた。そう言う彼女のドヤ顔は今でも脳裏に焼き付いている。よくもあんな堂々とそんなとんでもない大嘘を言えたものだ。
「あんな何もできない様な子、聖域になんて辿り着けるはずがないわ。私はあの子に対して、あなたは聖女じゃないわよって事は言わなかったの。でもあの子は、私やサンクの町の人々の反応から、自分は聖女ではないかもしれないと言う事に薄々気付いてたと思うわ。それでも、ここまで来た以上後には引けなくなったって、感じかしらね」
「じゃぁセイラは、嘘を吐いたままシャルと結婚しようとしてたんだ……」
私がそう呟くと、アンジェリカはこくんと頷いた。
「そんな事をしてしまえば国は繁栄しない。でも、あの子は当時まだ14歳だった。その事の重大さが分かっていなかったのね」
「あの女に施した魔法はそれだけか? 俺は他にも何か違和感を感じたが……」
首を傾げるシャルル殿下。その言葉にアンジェリカはハッとした。
「そう……あなた、そこまで微細な魔力も感じ取れるのね。そこまで繊細な勇者が後の王になるのなら……私が生きている意味ももうないのかも」
「えっ!? 一体どういう……!?」
セイラにはまだ何か魔法がかかっているの?
それに、生きている意味がないって……?
私が独りでテンパっていると、アンジェリカは「私の昔話でも聞いてもらえるかしら?」と優しい表情で問いかけてきた。
『アンジェリカ、その幼い姿は一体……!?』
驚くファフニール。
「……今は18歳の女の子なの。その子と同じくらいかしら」
彼女は私の方を見てそう言う。てっきり私より若いくらいだと思ったけど。
というか、普通に400年前に生きていた人が目の前にいるってどういう事? 幽霊なのかな?
物珍しそうにアンジェリカを見てしまっていたせいか、彼女は私の顔を見てクスッと笑った。
「まずは私の紹介からね。私はアンジェリカ・フーリエ。今から約400年ほど前の勇者の代の聖女だったの」
「俺はシャルル・グランデ。このグランデ王国の王太子であり、今代の勇者だ。こちらはジェニーで、俺と同様に今代の聖女だ」
シャルル殿下の紹介に合わせて私も会釈をする。アンジェリカは私が聖女だと聞いた瞬間悲しそうな視線を送ってきた。
「思った通り、その子が聖女なのね。戦えないのに可哀想……。まず、本題に入りましょう。セイラという女の子だけど、確かに私が“勇者の痣”を魔力で彫ったわ」
「やはり、そうなのか……。なぜ、聖女ではなく勇者の痣を彫ったんだ?」
「そんなの、あの子が勇者と同じ痣を付けてって言うからその通りにしただけよ。なんでも自分の事を聖女だと思ってたみたいだけど、勇者とキスを済ませたかって聞いてもまだだって言うし、顔を見れば違う事は一目瞭然だった」
「やっぱり、セイラは聖域には行ってなかったんだ……」
私はその事実に愕然とする。
聖女の禊を済ませて帰ってきた。そう言う彼女のドヤ顔は今でも脳裏に焼き付いている。よくもあんな堂々とそんなとんでもない大嘘を言えたものだ。
「あんな何もできない様な子、聖域になんて辿り着けるはずがないわ。私はあの子に対して、あなたは聖女じゃないわよって事は言わなかったの。でもあの子は、私やサンクの町の人々の反応から、自分は聖女ではないかもしれないと言う事に薄々気付いてたと思うわ。それでも、ここまで来た以上後には引けなくなったって、感じかしらね」
「じゃぁセイラは、嘘を吐いたままシャルと結婚しようとしてたんだ……」
私がそう呟くと、アンジェリカはこくんと頷いた。
「そんな事をしてしまえば国は繁栄しない。でも、あの子は当時まだ14歳だった。その事の重大さが分かっていなかったのね」
「あの女に施した魔法はそれだけか? 俺は他にも何か違和感を感じたが……」
首を傾げるシャルル殿下。その言葉にアンジェリカはハッとした。
「そう……あなた、そこまで微細な魔力も感じ取れるのね。そこまで繊細な勇者が後の王になるのなら……私が生きている意味ももうないのかも」
「えっ!? 一体どういう……!?」
セイラにはまだ何か魔法がかかっているの?
それに、生きている意味がないって……?
私が独りでテンパっていると、アンジェリカは「私の昔話でも聞いてもらえるかしら?」と優しい表情で問いかけてきた。
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