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8話 胸の高鳴り
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「痣なんてあるはずないですよ。こんな、ブスでモブの私なんかに……」
「ブス……? モブ……?」
シャルル殿下は不思議そうに首を傾げる。
「えっと、シャルル殿下……?」
何で、首傾げてるの?
「ファフニール。ジェニーは……ブスか?」
彼は隣の巨竜へとそう尋ねる。この巨竜はファフニールって名前が付いているんだ。それにしても何て質問……。
『我に人間の価値観は良く分からないが……。我の見てきた人間らと比較をすると、目は細く、顔に茶色い点のようなものがたくさんあるな』
「何っ!? そうか、あの言い伝えも本当だったのか……つまり……そう言う事か……」
彼は興味深げにそうブツブツと独り言を言っており、段々と頬が赤くなってきている。
「シャルル殿下……? 大丈夫ですか? お顔が赤く……」
私がそう言うと、彼は更に顔を赤らめた。
「だ、大丈夫だ。気にするな。これは……その……。まぁ、俺の事はいい。ジェニー、お前はその容姿にコンプレックスを持っているのだな?」
「はい……」
「そうか……。だ、だがしかし、やはりお前の気持ちを確認してからでなくては……」
シャルル殿下は勝手にどんどんテンパっていく。村を歩いている時のあの堂々さは今は欠片もない。
「私の気持ち、ですか?」
「俺は、その……。今まで生きてきて、女性に対して好意を持つような、そんな感情は全く湧いてこなかった。しかし、4年前のあの日。お前を一目見た瞬間に今まで感じた事のないような胸の高鳴りを感じた」
「ええっ!? まさか!」
「こんな照れくさいカミングアウト、冗談でするはずがないだろう……」
シャルル殿下は顔を真っ赤にしてそう言う。
「でも、でも……私……」
「容姿が、と言いたいのか? それはひとまず置いておいて、もちろん容姿だけではない。お前の魔力や気配、お前から感じる全てのものにおいて、俺は……一目惚れをしてしまった」
「ありえません、そんなの……」
「容姿は頼むからひとまず置いておいてくれないか。その上で、正直に答えて欲しい。お前は、俺と初めて会った時、何も感じなかったか?」
「あの……何て素敵な方なのだろうって、見惚れてしまいました……」
「では、今……俺の事は嫌いか?」
「そんな、とんでもないです! あ、あの……お慕いしています……」
頬が一気に熱くなるのを感じた。シャルル殿下も顔を真っ赤にしながら言ってくれているのだから、私だって誤魔化すわけにはいかない。
「それを聞いて安心した……。では、少しの間目を閉じて我慢していてくれ」
「目を……? はい……」
言われた通りに目を閉じると、彼の大きな両手が私の頭をそっと包み込み、柔らかいものが私の唇に当てられた。
「!?」
これって、まさか……! シャルル殿下にキスされてる!?
初めてのキス。それは、温かくて、安心して、頭が溶けてしまいそうな、そんな感覚だった。
「ブス……? モブ……?」
シャルル殿下は不思議そうに首を傾げる。
「えっと、シャルル殿下……?」
何で、首傾げてるの?
「ファフニール。ジェニーは……ブスか?」
彼は隣の巨竜へとそう尋ねる。この巨竜はファフニールって名前が付いているんだ。それにしても何て質問……。
『我に人間の価値観は良く分からないが……。我の見てきた人間らと比較をすると、目は細く、顔に茶色い点のようなものがたくさんあるな』
「何っ!? そうか、あの言い伝えも本当だったのか……つまり……そう言う事か……」
彼は興味深げにそうブツブツと独り言を言っており、段々と頬が赤くなってきている。
「シャルル殿下……? 大丈夫ですか? お顔が赤く……」
私がそう言うと、彼は更に顔を赤らめた。
「だ、大丈夫だ。気にするな。これは……その……。まぁ、俺の事はいい。ジェニー、お前はその容姿にコンプレックスを持っているのだな?」
「はい……」
「そうか……。だ、だがしかし、やはりお前の気持ちを確認してからでなくては……」
シャルル殿下は勝手にどんどんテンパっていく。村を歩いている時のあの堂々さは今は欠片もない。
「私の気持ち、ですか?」
「俺は、その……。今まで生きてきて、女性に対して好意を持つような、そんな感情は全く湧いてこなかった。しかし、4年前のあの日。お前を一目見た瞬間に今まで感じた事のないような胸の高鳴りを感じた」
「ええっ!? まさか!」
「こんな照れくさいカミングアウト、冗談でするはずがないだろう……」
シャルル殿下は顔を真っ赤にしてそう言う。
「でも、でも……私……」
「容姿が、と言いたいのか? それはひとまず置いておいて、もちろん容姿だけではない。お前の魔力や気配、お前から感じる全てのものにおいて、俺は……一目惚れをしてしまった」
「ありえません、そんなの……」
「容姿は頼むからひとまず置いておいてくれないか。その上で、正直に答えて欲しい。お前は、俺と初めて会った時、何も感じなかったか?」
「あの……何て素敵な方なのだろうって、見惚れてしまいました……」
「では、今……俺の事は嫌いか?」
「そんな、とんでもないです! あ、あの……お慕いしています……」
頬が一気に熱くなるのを感じた。シャルル殿下も顔を真っ赤にしながら言ってくれているのだから、私だって誤魔化すわけにはいかない。
「それを聞いて安心した……。では、少しの間目を閉じて我慢していてくれ」
「目を……? はい……」
言われた通りに目を閉じると、彼の大きな両手が私の頭をそっと包み込み、柔らかいものが私の唇に当てられた。
「!?」
これって、まさか……! シャルル殿下にキスされてる!?
初めてのキス。それは、温かくて、安心して、頭が溶けてしまいそうな、そんな感覚だった。
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