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15話 彼の想い
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クラウスは顔を未だに赤らめながら、口を開く。
「俺も、お前と同じだ。お前がリーテン王国に行く前から、ずっとお前のことが好きだった」
「えっ、嘘……」
「嘘じゃない。だが、俺の家系は貴族の底辺。お前と結ばれることはないだろうと思って、俺はその気持ちをぐっとこらえてきた」
「待って待って、私がリーテン王国へ行く前って、私11歳よ? 19歳の青年のあなたが、私を……?」
「ぐっ……す、好きになってしまったものはしょうがないだろう。ロリコンとでもなんとでも思うがいいさ……」
クラウスはそう言ってうつむいた。
「あ、ごめんなさい、そんなつもりで言ったんじゃ……。本当ならいいの、嬉しいわ、ありがとうクラウス……」
クラウスは顔上げて再び口を開く。
「俺も同じなんだ。お前がリーテン王国へ行ってからも、お前のことが忘れられなくて、お前が幸せなのかずっと気がかりだった。俺は、もしお前が向こうで幸せならそれでいいと思ってたんだ」
「そうね、それは、さっきの食事のときに教えてくれたわね……」
「あぁ、だが、そう思っていたはずなのに、俺は、この10年間でお前以外誰も好きになることはできなかった」
「そう、だったの……」
「俺も貴族の端くれだから、縁談の話は数えられないほどきたし、何度かお見合いもした」
「お、お見合い……!?」
私はヒヤッとする。クラウスが他の女性と将来を決める話を……うわぁ、ちょっと嫌だな……。自分は他国の王子と婚約してたくせに……私って結構自分勝手なんだな……。
「あぁ、けどな、シェリー安心してくれ。俺がお見合い中もお前のことばかり考えていたせいで、相手の女性全員からビンタを食らって、即刻破談になっている……」
「うっ……それはそれでクラウスがかわいそうだけど……」
「それから前に話したとおり、騎士団本部に女性が尋ねてくるようになったが、お前のことを思うあまり、彼女らが鬱陶しくなってしまってな……女性嫌いの噂を流してもらったんだ」
「え、女性嫌いの理由って……私のせいなの!? だから、私は平気なの……?」
「そうだ。再会当初は俺はまだお前がジョン王子の婚約者だと思っていたから打ち明けられずにそのままになってしまった」
「もぅ……それ、早く知りたかったわ……」
私はクラウスの胸へポスっと顔を埋めた。
「それは、すまない。まさかお前がそんなふうに思ってくれているなんて思わなかったからな……俺も、お前に迷惑かけまいと黙っていたんだ……」
「なんか、私たちはお互いに同じようなことしてたのね……」
「あぁ……。そして、お前がジョン王子のもとへは戻りたくないと聞いて、例え国に歯向かってお前を連れて国を出ることになっても、お前を守ろうと誓ったんだ」
「あっ、騎士団長の座を降りることになってもお前を守るって……駆け落ちするって意味!?」
「そうだ……」
「……あの頃、駆け落ちしていたらどうなっていたのかしら……」
「それは、考えるのはよそう。きっと後悔しか生まれない。それよりも、俺はこれからのお前を全力で幸せにすると誓おう」
「そうね、ありがとう、クラウス……」
私たちは、どちらからともなく、唇を重ねた。
「俺も、お前と同じだ。お前がリーテン王国に行く前から、ずっとお前のことが好きだった」
「えっ、嘘……」
「嘘じゃない。だが、俺の家系は貴族の底辺。お前と結ばれることはないだろうと思って、俺はその気持ちをぐっとこらえてきた」
「待って待って、私がリーテン王国へ行く前って、私11歳よ? 19歳の青年のあなたが、私を……?」
「ぐっ……す、好きになってしまったものはしょうがないだろう。ロリコンとでもなんとでも思うがいいさ……」
クラウスはそう言ってうつむいた。
「あ、ごめんなさい、そんなつもりで言ったんじゃ……。本当ならいいの、嬉しいわ、ありがとうクラウス……」
クラウスは顔上げて再び口を開く。
「俺も同じなんだ。お前がリーテン王国へ行ってからも、お前のことが忘れられなくて、お前が幸せなのかずっと気がかりだった。俺は、もしお前が向こうで幸せならそれでいいと思ってたんだ」
「そうね、それは、さっきの食事のときに教えてくれたわね……」
「あぁ、だが、そう思っていたはずなのに、俺は、この10年間でお前以外誰も好きになることはできなかった」
「そう、だったの……」
「俺も貴族の端くれだから、縁談の話は数えられないほどきたし、何度かお見合いもした」
「お、お見合い……!?」
私はヒヤッとする。クラウスが他の女性と将来を決める話を……うわぁ、ちょっと嫌だな……。自分は他国の王子と婚約してたくせに……私って結構自分勝手なんだな……。
「あぁ、けどな、シェリー安心してくれ。俺がお見合い中もお前のことばかり考えていたせいで、相手の女性全員からビンタを食らって、即刻破談になっている……」
「うっ……それはそれでクラウスがかわいそうだけど……」
「それから前に話したとおり、騎士団本部に女性が尋ねてくるようになったが、お前のことを思うあまり、彼女らが鬱陶しくなってしまってな……女性嫌いの噂を流してもらったんだ」
「え、女性嫌いの理由って……私のせいなの!? だから、私は平気なの……?」
「そうだ。再会当初は俺はまだお前がジョン王子の婚約者だと思っていたから打ち明けられずにそのままになってしまった」
「もぅ……それ、早く知りたかったわ……」
私はクラウスの胸へポスっと顔を埋めた。
「それは、すまない。まさかお前がそんなふうに思ってくれているなんて思わなかったからな……俺も、お前に迷惑かけまいと黙っていたんだ……」
「なんか、私たちはお互いに同じようなことしてたのね……」
「あぁ……。そして、お前がジョン王子のもとへは戻りたくないと聞いて、例え国に歯向かってお前を連れて国を出ることになっても、お前を守ろうと誓ったんだ」
「あっ、騎士団長の座を降りることになってもお前を守るって……駆け落ちするって意味!?」
「そうだ……」
「……あの頃、駆け落ちしていたらどうなっていたのかしら……」
「それは、考えるのはよそう。きっと後悔しか生まれない。それよりも、俺はこれからのお前を全力で幸せにすると誓おう」
「そうね、ありがとう、クラウス……」
私たちは、どちらからともなく、唇を重ねた。
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