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9話 騎士団長と魔道将軍
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「そ、そうだな……手合わせ、してみるか?」
クラウスはなぜか顔を赤らめながら言う。
もう、なんでこんな時まで恥ずかしそうなのよ。
「いいけど……私手加減しないわよ? あなたも手を抜いたら許さないんだから」
「もちろん全力で相手をする。だから、お前の疲労を回復するためにも、明日、手合わせしよう」
「ええ、分かったわ」
私が了承するとその場は更に大歓声が上がり、訓練を終えた魔道士さんたちは皆大興奮で宿舎へと戻っていった。
⸺⸺翌日。
私が『魔道将軍』になったという事実と、騎士団長と手合わせをするという噂は昨日のうちにまたたく間に騎士団中へ広がった。
そしてその噂を聞きつけたヨゼフ国王陛下が、急遽試合会場にコロシアムを設定し、コロシアムの観客席には騎士団だけではなく王都の人もたくさん押しかけた。
広い会場は満席となり、立って見ている人もたくさんいる中で、私はクラウスと舞台上で向かい合った。
「なんか……すごいことになってるんだけど……」
私は観客の熱気に少し怖気づく。
「お前は昨日の通りやればいいさ。俺の身にもなってみろ……騎士団長のくせに負けたら国中の笑いものだぞ?」
「そんなこと言っても私は手加減しないわよ?」
「あぁ、もちろん分かってるさ。さぁシェリー、心の準備はいいか?」
「ええ、いいわ。全力でお相手します」
私のその返事を聞いてクラウスが審判へ合図を送ると、審判の号令で私とクラウスの一騎打ちが始まった。
お互いに魔法杖と剣を構え、技を放つ。お互いに交わしつつ、次々に技を撃ち込んでいく。
その激しい一進一退の攻防に観客はわっと大盛り上がりを見せた。
「はぁ……はぁ……」
でも、私は気付いてしまった。呼吸を整えながら考える。
彼、手加減してる……。わざと私がかわせるギリギリのところを攻めてきている気がする。
もういいわ、特大の魔法をお見舞いしてあげる。
普通なら地面へ魔法陣を描いて隙を作って発動しなければならない上級魔法を、私は詠唱破棄をして即座に放った。
⸺⸺上級闇魔法⸺⸺
「ダークルイン!」
私が特大の闇魔法の塊をクラウスへお見舞いする。わぁぁと湧き上がる観客。
決まった。そう思った瞬間、私は彼に押し倒され、私の顔すれすれの地面へ彼の剣が突き刺さっていた。
覆いかぶさる彼に身体の四肢を固定され、身動きが取れない。これは……私の負けだ。
「勝負あり、そこまで! 勝者ヴェルマー騎士団長!」
審判がそうジャッジをした瞬間、会場は今日一番の盛り上がりをみせた。
私は負けたのに、彼に固定されて動けないこの状態にとてもドキドキしてしまっていた。
そして、いつもの照れている彼とは明らかに違う獅子のような気迫に、私は一層惚れ直した。
「……完敗だわ」
私は抑えられたままそう言って微笑んだ。
「詠唱破棄やその他技の数々……将軍として十分な実力を見せてもらった。だがしかし、俺も負けられないからな。最後は本気を出させてもらった」
「あーっ、やっぱり手、抜いてたんじゃない」
「あれ、バレてたのか……」
「っていうかいつまでこうしてるのよ!」
「え? あぁぁ、すまない!」
彼は顔を真っ赤にしながら慌てて離れる。どうやらいつもの彼に戻ったようだ。
⸺⸺
私は負けてしまったけど、会場は大盛り上がりで、ステリア王国に空前の魔道ブームが巻き起こったらしい。
クラウスはなぜか顔を赤らめながら言う。
もう、なんでこんな時まで恥ずかしそうなのよ。
「いいけど……私手加減しないわよ? あなたも手を抜いたら許さないんだから」
「もちろん全力で相手をする。だから、お前の疲労を回復するためにも、明日、手合わせしよう」
「ええ、分かったわ」
私が了承するとその場は更に大歓声が上がり、訓練を終えた魔道士さんたちは皆大興奮で宿舎へと戻っていった。
⸺⸺翌日。
私が『魔道将軍』になったという事実と、騎士団長と手合わせをするという噂は昨日のうちにまたたく間に騎士団中へ広がった。
そしてその噂を聞きつけたヨゼフ国王陛下が、急遽試合会場にコロシアムを設定し、コロシアムの観客席には騎士団だけではなく王都の人もたくさん押しかけた。
広い会場は満席となり、立って見ている人もたくさんいる中で、私はクラウスと舞台上で向かい合った。
「なんか……すごいことになってるんだけど……」
私は観客の熱気に少し怖気づく。
「お前は昨日の通りやればいいさ。俺の身にもなってみろ……騎士団長のくせに負けたら国中の笑いものだぞ?」
「そんなこと言っても私は手加減しないわよ?」
「あぁ、もちろん分かってるさ。さぁシェリー、心の準備はいいか?」
「ええ、いいわ。全力でお相手します」
私のその返事を聞いてクラウスが審判へ合図を送ると、審判の号令で私とクラウスの一騎打ちが始まった。
お互いに魔法杖と剣を構え、技を放つ。お互いに交わしつつ、次々に技を撃ち込んでいく。
その激しい一進一退の攻防に観客はわっと大盛り上がりを見せた。
「はぁ……はぁ……」
でも、私は気付いてしまった。呼吸を整えながら考える。
彼、手加減してる……。わざと私がかわせるギリギリのところを攻めてきている気がする。
もういいわ、特大の魔法をお見舞いしてあげる。
普通なら地面へ魔法陣を描いて隙を作って発動しなければならない上級魔法を、私は詠唱破棄をして即座に放った。
⸺⸺上級闇魔法⸺⸺
「ダークルイン!」
私が特大の闇魔法の塊をクラウスへお見舞いする。わぁぁと湧き上がる観客。
決まった。そう思った瞬間、私は彼に押し倒され、私の顔すれすれの地面へ彼の剣が突き刺さっていた。
覆いかぶさる彼に身体の四肢を固定され、身動きが取れない。これは……私の負けだ。
「勝負あり、そこまで! 勝者ヴェルマー騎士団長!」
審判がそうジャッジをした瞬間、会場は今日一番の盛り上がりをみせた。
私は負けたのに、彼に固定されて動けないこの状態にとてもドキドキしてしまっていた。
そして、いつもの照れている彼とは明らかに違う獅子のような気迫に、私は一層惚れ直した。
「……完敗だわ」
私は抑えられたままそう言って微笑んだ。
「詠唱破棄やその他技の数々……将軍として十分な実力を見せてもらった。だがしかし、俺も負けられないからな。最後は本気を出させてもらった」
「あーっ、やっぱり手、抜いてたんじゃない」
「あれ、バレてたのか……」
「っていうかいつまでこうしてるのよ!」
「え? あぁぁ、すまない!」
彼は顔を真っ赤にしながら慌てて離れる。どうやらいつもの彼に戻ったようだ。
⸺⸺
私は負けてしまったけど、会場は大盛り上がりで、ステリア王国に空前の魔道ブームが巻き起こったらしい。
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