8 / 23
8話 魔道士としての実力
しおりを挟む
翌日から、私も騎士団の一員として、訓練に参加することになった。
その模擬戦闘で、私は自分の意外な実力を知ることとなる。
「そこまで、勝者、シェリー様!」
「わぁ、また私の勝ち……?」
「つ、強すぎる……まるで歯が立たない……お手合わせありがとうございました!」
私の対戦相手の魔道士さんは、そう言って深く礼をして去っていた。
「次、俺いいですか?」
「次は私とお願いします!」
「ええ、もちろんみんなとお手合わせしたいわ。えっと……順番に並んでくれる?」
「はい!」
そして私は、その列に並んだ魔道士さんたちを次々に魔法で吹きとばしていく。
すると、クラウスが様子を見に魔道士の訓練場へと顔を出した。
「……シェリー……やるな……」
クラウスはそう言って呆気にとられていた。
⸺⸺
「ふぅ、ちょっと休憩いいかしら? 残りのみんなは30分後に再開するわ」
「はい、お願いします!」
私は魔法杖を背に収めながら、見ていたクラウスの元へと駆け寄る。
「シェリー、見ていたぞ。お前すごいじゃないか!」
クラウスが満面の笑みで迎えてくれる。
「そう、なのかしら……私ちょっと思っちゃったんだけど、一応王族だから、手を抜かれているんじゃないかしら……」
私がそう不安を打ち明けると、クラウスは首を大きく横に振った。
「俺が見ている限りでは皆手など抜いていない。むしろ、この強者に一矢報いたいという気迫が伝わってきているけどな……」
「ほ、本当に? 実はリーテン王国にいる時、あんまりジョン王子と話したくなくてずっと魔法の訓練をしていたのよ。いつの間にかこんな実力がついていたなんて、自分でもビックリよ」
「なっ……ジョン王子と話したくないなんて……あまり言わないほうがいいぞ……」
クラウスは苦い顔をする。
「だってぇ……」
私はぷくーっと頬を膨らませて不満を顕にする。
そんな私たちのやり取りを遠くで見守っていた魔道士さんたちは、口々に「美男美女だ……」とか「あのヴェルマー団長が女性とあんなに楽しそうに……」等々、好き勝手言いまくっていた。
⸺⸺
そして休憩を終えて残りの魔道士さんたちと全員手合わせをして、見事全員に打ち勝った私は、その場で騎士団長様から急遽『魔道将軍』の称号を得ることとなった。
「え、これって……魔道士のトップってことでしょ? 他にもここにいない魔道士さんたちとお手合わせしなくていいの?」
「実は、彼がこの騎士団の魔道士の中のトップだったんだ」
クラウスが1人の男性を指差してそう言う。彼も私が例外なく吹き飛ばしたうちの1人だ。
その指差された彼は申し訳なさそうにペコペコしていた。
「この国は魔法の力が少し低く、将軍に値する実力の者がまだいなかったんだ。そこへお前が来てくれて、皆の士気もグッと上がった。お前は『魔道将軍』にふさわしいよ」
と、クラウス。彼がそう言うと、その場にいた皆から拍手が送られる。
「そ、そうなのね……。それなら、これから皆で頑張ってレベルアップしていきましょう」
私がそう言うと、大歓声が上がった。
そして魔道士さんの1人の何気ない一言から大変なことに……。
「ヴェルマー団長とディアノーグ将軍はどっちが強いんですかね?」
「えっ?」
私たちは顔を見合わせ固まった。
その模擬戦闘で、私は自分の意外な実力を知ることとなる。
「そこまで、勝者、シェリー様!」
「わぁ、また私の勝ち……?」
「つ、強すぎる……まるで歯が立たない……お手合わせありがとうございました!」
私の対戦相手の魔道士さんは、そう言って深く礼をして去っていた。
「次、俺いいですか?」
「次は私とお願いします!」
「ええ、もちろんみんなとお手合わせしたいわ。えっと……順番に並んでくれる?」
「はい!」
そして私は、その列に並んだ魔道士さんたちを次々に魔法で吹きとばしていく。
すると、クラウスが様子を見に魔道士の訓練場へと顔を出した。
「……シェリー……やるな……」
クラウスはそう言って呆気にとられていた。
⸺⸺
「ふぅ、ちょっと休憩いいかしら? 残りのみんなは30分後に再開するわ」
「はい、お願いします!」
私は魔法杖を背に収めながら、見ていたクラウスの元へと駆け寄る。
「シェリー、見ていたぞ。お前すごいじゃないか!」
クラウスが満面の笑みで迎えてくれる。
「そう、なのかしら……私ちょっと思っちゃったんだけど、一応王族だから、手を抜かれているんじゃないかしら……」
私がそう不安を打ち明けると、クラウスは首を大きく横に振った。
「俺が見ている限りでは皆手など抜いていない。むしろ、この強者に一矢報いたいという気迫が伝わってきているけどな……」
「ほ、本当に? 実はリーテン王国にいる時、あんまりジョン王子と話したくなくてずっと魔法の訓練をしていたのよ。いつの間にかこんな実力がついていたなんて、自分でもビックリよ」
「なっ……ジョン王子と話したくないなんて……あまり言わないほうがいいぞ……」
クラウスは苦い顔をする。
「だってぇ……」
私はぷくーっと頬を膨らませて不満を顕にする。
そんな私たちのやり取りを遠くで見守っていた魔道士さんたちは、口々に「美男美女だ……」とか「あのヴェルマー団長が女性とあんなに楽しそうに……」等々、好き勝手言いまくっていた。
⸺⸺
そして休憩を終えて残りの魔道士さんたちと全員手合わせをして、見事全員に打ち勝った私は、その場で騎士団長様から急遽『魔道将軍』の称号を得ることとなった。
「え、これって……魔道士のトップってことでしょ? 他にもここにいない魔道士さんたちとお手合わせしなくていいの?」
「実は、彼がこの騎士団の魔道士の中のトップだったんだ」
クラウスが1人の男性を指差してそう言う。彼も私が例外なく吹き飛ばしたうちの1人だ。
その指差された彼は申し訳なさそうにペコペコしていた。
「この国は魔法の力が少し低く、将軍に値する実力の者がまだいなかったんだ。そこへお前が来てくれて、皆の士気もグッと上がった。お前は『魔道将軍』にふさわしいよ」
と、クラウス。彼がそう言うと、その場にいた皆から拍手が送られる。
「そ、そうなのね……。それなら、これから皆で頑張ってレベルアップしていきましょう」
私がそう言うと、大歓声が上がった。
そして魔道士さんの1人の何気ない一言から大変なことに……。
「ヴェルマー団長とディアノーグ将軍はどっちが強いんですかね?」
「えっ?」
私たちは顔を見合わせ固まった。
21
お気に入りに追加
283
あなたにおすすめの小説

【完結】傷跡に咲く薔薇の令嬢は、辺境伯の優しい手に救われる。
朝日みらい
恋愛
セリーヌ・アルヴィスは完璧な貴婦人として社交界で輝いていたが、ある晩、馬車で帰宅途中に盗賊に襲われ、顔に深い傷を負う。
傷が癒えた後、婚約者アルトゥールに再会するも、彼は彼女の外見の変化を理由に婚約を破棄する。
家族も彼女を冷遇し、かつての華やかな生活は一転し、孤独と疎外感に包まれる。
最終的に、家族に決められた新たな婚約相手は、社交界で「醜い」と噂されるラウル・ヴァレールだった―――。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。

【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
殿下の婚約者は、記憶喪失です。
有沢真尋
恋愛
王太子の婚約者である公爵令嬢アメリアは、いつも微笑みの影に疲労を蓄えているように見えた。
王太子リチャードは、アメリアがその献身を止めたら烈火の如く怒り狂うのは想像に難くない。自分の行動にアメリアが口を出すのも絶対に許さない。たとえば結婚前に派手な女遊びはやめて欲しい、という願いでさえも。
たとえ王太子妃になれるとしても、幸せとは無縁そうに見えたアメリア。
彼女は高熱にうなされた後、すべてを忘れてしまっていた。
※ざまあ要素はありません。
※表紙はかんたん表紙メーカーさま

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる