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15話 お尋ね者

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 ノエルはハーブティーを一口飲み、口を開いた。

「ドム王子とバルド宰相は、今回の一連の召喚行為から召喚者の失踪までを、全てローレンツ騎士団長様の単独犯だと主張してる」

「え、召喚まで!?」
 私は愕然とする。

「なるほどな、ドム王子は俺が邪魔だったんだな」
 オスカーはある程度予想をしていたのか、落ち着いてそう返事をした。

「それに対し、ローレンツ侯爵とローレンツ伯爵が猛抗議をしてる」

「あ、オスカーの弟さん!」
「やっぱ動いてくれてたか……」

「けど、彼らも城に居たんじゃねぇから証拠が掴めないらしくて、俺は彼らに接触してドム王子とバルド宰相の魔力痕まりょくこんが残ってる地下室の話をしたんだが……。地下室が動かせない以上、どうやってその部屋をおおやけにするかで行き詰まってる」

「弟らと会ってくれたんだな。元気だったか?」

「お前……こんな時まで自分よりも弟の心配かよ。それなら大丈夫、めちゃくちゃ元気で、なんとかしてドム王子を落としてやろうと闘志に燃えてる」

 ノエルがそう答えるとオスカーは大笑いしていた。
「それなら俺自身の心配もいらなさそうだな」

「幸い、諸国の権力者らはお前の今までの功績を高く評価して、お前寄りの奴らが多い。後はフォーリア内部で誰か味方につけられるといいんだけどな……」

「エマを担当した召使いらは皆ドム王子の召喚の事実を知っているだろうが、なんせ公での権力はつげんりょくがないからな……」

「ま、そういう訳で、オスカーは今や国のお尋ね者。周辺諸国も誰がどのくらいお前の味方か分からない以上、お前はもうしばらくこの孤島でエマと隔離生活だ」
 ノエルはそう結論を述べた。

 その結論を聞くなり、私とオスカーは顔を見合わせて「やったー!」と喜んだ。

「お前ら……この孤島生活、んなに楽しいのかよ……」

「「楽しい」」

「くっ……なんか羨ましいな……」
 ノエルはそう悔しそうな表情を浮かべる。すると、オスカーは真面目な表情に戻り、彼へこう告げた。

「ノエル。お前には本当に苦労をかけているな」
「全くだぜ、ったく、報酬は何倍にしてもらおうかな……」

「この事が終わったら、お前もちゃんと表舞台の地位が得られないか尽力すると約束するよ」
「……いや、表舞台はもう懲り懲りだぜ。俺の願いはお前に早く表舞台に復帰してもらって、今まで通りお前の影になることだ。その為なら何だってしてやるさ」

「ははっ、そうか。なら頑張ってくれたまえ」
 オスカーはそう言って意地悪そうに微笑んだ。
「ったく、人使いの荒いご主人様だぜ……」

 “表舞台はもう懲り懲り”。そのノエルの発言で、私はノエルも昔は貴族の家系だったんだなと悟る。
 そしてオスカーとノエルの間に、確かな絆を感じた。


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