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第十章 解放軍
188話 わずかな希望
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「どうやら嫌な予感が当たってしまったようですね……」
そう言って海岸から魔道浮遊で滑るようにミオのもとへと駆け付けたのは、海底に居たはずの聖獣セイレーンであった。
その後ろからはマリンを含めた人魚らも続々と集まってくる。
「えっ、人じゃ……ない!?」
ロジェとパティは彼女らの下半身に釘付けになっていた。
「セイレーン……来てくれたんだな……」
クロノが力なくそう返す。
「死……? いえ、違うようですね……」
セイレーンは注意深くミオを観察し、そう言った。それに対しポールが答える。
『裏魔法と刻魔法の融合技だ……相手に刻の状態異常を付与した……って、感じだね』
「刻魔法……ミオの他にも使える者が? その者は今どこに?」
と、セイレーン。
『死んだよ。恐らく禁術魔法の対価を払ったんだ。暗黒に手を染めていたらしく、魔物みたいに消えていった』
「術者が死んだのに術が解けていないのですか?」
『刻魔法には生命の対価を払う禁術がある。それは術者が死んでも術の効果は続くんだよ』
「そうでしたか……。では、“刻の封印”のように、その術を解く者の存在が必要ですね」
そのセイレーンの言葉にクロノがハッとする。
「そうか、あくまで状態異常だからそれを解除できる奴がいれば……!」
セイレーンは頷いたが、ナディアがゆっくり首を横に振った。
『その解除できる者が、もうこの世にはミオしかいないかもしれない……』
「その“隠れ里”と言うところには?」
と、クロノ。ポールが答える。
『多分サリアが仲間を売ったんだ。奴の最後の言葉から推測するに、ユリウスと結婚して皇族になれるとかって甘い言葉に惑わされたんだろ。恐らく隠れ里はもう、滅んで……』
「里は滅んだかもしんねぇけど、人間はまだ生きてる奴がいるかもしれねぇだろ?」
『それは……そうだけど……。クロノ、めちゃくちゃ前向きになったね』
「俺はその隠れ里ってところにミオを連れていく。こいつが元に戻る可能性が少しでもあるなら、俺はそれに賭けたい」
その言葉にナディアも頷く。
『そうね。諦めずに出来る限りのことをしてみましょう』
他の皆もうんうんと頷いたところで、霊廟の中へ偵察に行っていたクライヴとチャドが帰還した。早速クライヴが皆へ報告する。
「アトラスには逃げられたみたいだ。セシリアの魔力痕があったから転移魔法を使ったんだ、きっと」
「って、人魚のみんなも来てくれたんだ」
と、チャド。セイレーンが代表で頷く。
「その転移魔法は厄介ですね。妾がこの島全体に結界を張って、暗黒の力を通さないようにしましょうか」
「それは助かる。あのアトラスって奴に簡単に入り込まれたら、ロジェたちが危ないからな」
と、クロノ。
「あれ、クロノ、元気になってる。ミオちゃんを戻す方法見つかったとか?」
「まだ見つかってはねぇけど、出来そうな事は見つけた。とりあえず解放軍のアジトに戻ってマルクスらと相談したい。計画も変わってくるだろうからな」
「出来る事が見つかったんだ、良かった……。僕も何か出来るなら何でもするよ」
と、チャド。クロノは頷いてミオを抱き上げた。
「この島はロジェとセイレーンに任せるぞ」
「任せてくれ!」
「えぇ、聖獣の力でこの地を守って見せましょう」
「えっ、セイレーンさんって聖獣なのか!?」
ロジェは目をパチクリとする。
「はい。まずはお互いに自己紹介ですね。拠点へ案内してもらえますか?」
⸺⸺
こうしてサクルム島の拠点に人魚らが合流し、ルフレヴェの一行は大急ぎでヴィーラ島へと帰還した。
そう言って海岸から魔道浮遊で滑るようにミオのもとへと駆け付けたのは、海底に居たはずの聖獣セイレーンであった。
その後ろからはマリンを含めた人魚らも続々と集まってくる。
「えっ、人じゃ……ない!?」
ロジェとパティは彼女らの下半身に釘付けになっていた。
「セイレーン……来てくれたんだな……」
クロノが力なくそう返す。
「死……? いえ、違うようですね……」
セイレーンは注意深くミオを観察し、そう言った。それに対しポールが答える。
『裏魔法と刻魔法の融合技だ……相手に刻の状態異常を付与した……って、感じだね』
「刻魔法……ミオの他にも使える者が? その者は今どこに?」
と、セイレーン。
『死んだよ。恐らく禁術魔法の対価を払ったんだ。暗黒に手を染めていたらしく、魔物みたいに消えていった』
「術者が死んだのに術が解けていないのですか?」
『刻魔法には生命の対価を払う禁術がある。それは術者が死んでも術の効果は続くんだよ』
「そうでしたか……。では、“刻の封印”のように、その術を解く者の存在が必要ですね」
そのセイレーンの言葉にクロノがハッとする。
「そうか、あくまで状態異常だからそれを解除できる奴がいれば……!」
セイレーンは頷いたが、ナディアがゆっくり首を横に振った。
『その解除できる者が、もうこの世にはミオしかいないかもしれない……』
「その“隠れ里”と言うところには?」
と、クロノ。ポールが答える。
『多分サリアが仲間を売ったんだ。奴の最後の言葉から推測するに、ユリウスと結婚して皇族になれるとかって甘い言葉に惑わされたんだろ。恐らく隠れ里はもう、滅んで……』
「里は滅んだかもしんねぇけど、人間はまだ生きてる奴がいるかもしれねぇだろ?」
『それは……そうだけど……。クロノ、めちゃくちゃ前向きになったね』
「俺はその隠れ里ってところにミオを連れていく。こいつが元に戻る可能性が少しでもあるなら、俺はそれに賭けたい」
その言葉にナディアも頷く。
『そうね。諦めずに出来る限りのことをしてみましょう』
他の皆もうんうんと頷いたところで、霊廟の中へ偵察に行っていたクライヴとチャドが帰還した。早速クライヴが皆へ報告する。
「アトラスには逃げられたみたいだ。セシリアの魔力痕があったから転移魔法を使ったんだ、きっと」
「って、人魚のみんなも来てくれたんだ」
と、チャド。セイレーンが代表で頷く。
「その転移魔法は厄介ですね。妾がこの島全体に結界を張って、暗黒の力を通さないようにしましょうか」
「それは助かる。あのアトラスって奴に簡単に入り込まれたら、ロジェたちが危ないからな」
と、クロノ。
「あれ、クロノ、元気になってる。ミオちゃんを戻す方法見つかったとか?」
「まだ見つかってはねぇけど、出来そうな事は見つけた。とりあえず解放軍のアジトに戻ってマルクスらと相談したい。計画も変わってくるだろうからな」
「出来る事が見つかったんだ、良かった……。僕も何か出来るなら何でもするよ」
と、チャド。クロノは頷いてミオを抱き上げた。
「この島はロジェとセイレーンに任せるぞ」
「任せてくれ!」
「えぇ、聖獣の力でこの地を守って見せましょう」
「えっ、セイレーンさんって聖獣なのか!?」
ロジェは目をパチクリとする。
「はい。まずはお互いに自己紹介ですね。拠点へ案内してもらえますか?」
⸺⸺
こうしてサクルム島の拠点に人魚らが合流し、ルフレヴェの一行は大急ぎでヴィーラ島へと帰還した。
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