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第十章 解放軍
180話 噂の国王様
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「クロノおまっ、俺だって久々に会ったってのにあからさまに嫌そうな顔すんなよ」
マルクスはガーンと落ち込む。
「わわわ、出た……本物だ……」
「あのお方が噂のマルクス陛下……」
クライヴとミオはまるで神を崇めるかのような視線を送る。
「……なんかあっちの視線も逆にやり辛いな……」
マルクスはそう言いつつ、足元にやって来た2匹のぬいぐるみに視線を落とす。
『やぁ、マルクス、久しぶり』
『マルクス殿下、大きくなりましたね。いえ、今は陛下でしたね、すみません』
「……俺、ぬいぐるみの知り合いなんていたかな……」
彼は登場するなり様々なリアクションを取らされるはめになっていた。
⸺⸺
皆が落ち着いたところでマルクスの両サイドに騎士の青年と忍者の青年が並んだ。
「改めてルフレヴェの諸君、来てくれて感謝する。少し見ない間に初めましての人がたくさんいるみてぇだから、自己紹介させてくれ」
皆がマルクスに注目する。
「俺はブライリアント王国国王、マルクス・レオリア・ブライリアント。堅苦しいのは好きじゃねぇから気軽にマルクスって呼んでくれや」
「えぇ……」
「無理だろ……」
ミオとクライヴはボソッと引き気味な反応を示す。それに対しジンがコソッと耳打ちする。
「まぁ、そういう人も多くて、そういう人らは皆“マルクス様”って呼んでるよ」
「了解」
と、二人。
「で、俺の両サイドにいるこいつらは、こっちの鎧ガチガチの方がブライリアント王国軍大将のパーシヴァル。パーシーって呼んでくれや」
「……だから無理だろって……あの勇将パーシヴァル・ダグラス将軍だぞ……」
と、クライヴ。パーシヴァルが反応する。
「……マルクス。皆が困っているだろう。俺の事は皆パーシヴァル将軍と呼ぶ。このポンコツ王の言う事はあまり気にしなくていい」
「ポンコツって言うなぁ……」
マルクスが涙目になり、彼らと初めて会ったミオらはドン引きしていた。
「気を取り直して……こっちの軽装は虎丸。俺の密偵だ。ブライリアントからは俺らとパーシーの私兵が参加するからよろしくな」
マルクスの紹介に合わせて虎丸がサッとお辞儀をしたため、ミオらも合わせて頭を下げた。
「ルフレヴェはうちの国の王都ライヴィリアを拠点に活動しててくれていたクランで、その頑張りを見たフランツが俺に紹介をしてくれたのが、俺とルフレヴェの出会いだ」
「会長さんは色んな人と人を繋いでいるんだね」
と、ミオ。フランツは「結果的にそうなってますなぁ」と照れて笑っていた。
「クロノが妖刀を手に入れてから一度ライヴィリアに帰ってきてな。そん時に丁度コロシアムで武闘大会をやっていたんだ。クロノは飛び入りでそれに参加して、決勝戦で当時中将だったパーシーを倒して優勝してる。パーシーにとっちゃ因縁の相手って訳だ」
マルクスがそう説明をすると、パーシヴァルは不機嫌そうにふんっと鼻を鳴らし、クロノは彼を嘲笑うように不敵な笑みを浮かべた。
「その頃からクロノの最強伝説は始まっていたのかぁ……」
クライヴがそう染み染みと言うと、チャドとケヴィンが当時を懐かしむようにうんうんと頷いた。
⸺⸺
マルクスらの紹介が終わったところで、マルクスが再び口を開く。
「で、ジンからルフレヴェの事情は軽く聞いていたが……ジンと別れてからだいぶ状況が変わったみてぇだな?」
「それな」
と、ジン。
「とりあえずクロノお前、その魔力どうした?」
マルクスがそう尋ねると、皆は口を揃えて「それな」と相槌を打った。
「まぁ、話すべきだろうな……」
クロノは覚悟を決めて皆に自身の出生やぬいぐるみの中身の話をする。皆は終始驚き、クロノの話に釘付けになっていた。
マルクスはガーンと落ち込む。
「わわわ、出た……本物だ……」
「あのお方が噂のマルクス陛下……」
クライヴとミオはまるで神を崇めるかのような視線を送る。
「……なんかあっちの視線も逆にやり辛いな……」
マルクスはそう言いつつ、足元にやって来た2匹のぬいぐるみに視線を落とす。
『やぁ、マルクス、久しぶり』
『マルクス殿下、大きくなりましたね。いえ、今は陛下でしたね、すみません』
「……俺、ぬいぐるみの知り合いなんていたかな……」
彼は登場するなり様々なリアクションを取らされるはめになっていた。
⸺⸺
皆が落ち着いたところでマルクスの両サイドに騎士の青年と忍者の青年が並んだ。
「改めてルフレヴェの諸君、来てくれて感謝する。少し見ない間に初めましての人がたくさんいるみてぇだから、自己紹介させてくれ」
皆がマルクスに注目する。
「俺はブライリアント王国国王、マルクス・レオリア・ブライリアント。堅苦しいのは好きじゃねぇから気軽にマルクスって呼んでくれや」
「えぇ……」
「無理だろ……」
ミオとクライヴはボソッと引き気味な反応を示す。それに対しジンがコソッと耳打ちする。
「まぁ、そういう人も多くて、そういう人らは皆“マルクス様”って呼んでるよ」
「了解」
と、二人。
「で、俺の両サイドにいるこいつらは、こっちの鎧ガチガチの方がブライリアント王国軍大将のパーシヴァル。パーシーって呼んでくれや」
「……だから無理だろって……あの勇将パーシヴァル・ダグラス将軍だぞ……」
と、クライヴ。パーシヴァルが反応する。
「……マルクス。皆が困っているだろう。俺の事は皆パーシヴァル将軍と呼ぶ。このポンコツ王の言う事はあまり気にしなくていい」
「ポンコツって言うなぁ……」
マルクスが涙目になり、彼らと初めて会ったミオらはドン引きしていた。
「気を取り直して……こっちの軽装は虎丸。俺の密偵だ。ブライリアントからは俺らとパーシーの私兵が参加するからよろしくな」
マルクスの紹介に合わせて虎丸がサッとお辞儀をしたため、ミオらも合わせて頭を下げた。
「ルフレヴェはうちの国の王都ライヴィリアを拠点に活動しててくれていたクランで、その頑張りを見たフランツが俺に紹介をしてくれたのが、俺とルフレヴェの出会いだ」
「会長さんは色んな人と人を繋いでいるんだね」
と、ミオ。フランツは「結果的にそうなってますなぁ」と照れて笑っていた。
「クロノが妖刀を手に入れてから一度ライヴィリアに帰ってきてな。そん時に丁度コロシアムで武闘大会をやっていたんだ。クロノは飛び入りでそれに参加して、決勝戦で当時中将だったパーシーを倒して優勝してる。パーシーにとっちゃ因縁の相手って訳だ」
マルクスがそう説明をすると、パーシヴァルは不機嫌そうにふんっと鼻を鳴らし、クロノは彼を嘲笑うように不敵な笑みを浮かべた。
「その頃からクロノの最強伝説は始まっていたのかぁ……」
クライヴがそう染み染みと言うと、チャドとケヴィンが当時を懐かしむようにうんうんと頷いた。
⸺⸺
マルクスらの紹介が終わったところで、マルクスが再び口を開く。
「で、ジンからルフレヴェの事情は軽く聞いていたが……ジンと別れてからだいぶ状況が変わったみてぇだな?」
「それな」
と、ジン。
「とりあえずクロノお前、その魔力どうした?」
マルクスがそう尋ねると、皆は口を揃えて「それな」と相槌を打った。
「まぁ、話すべきだろうな……」
クロノは覚悟を決めて皆に自身の出生やぬいぐるみの中身の話をする。皆は終始驚き、クロノの話に釘付けになっていた。
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