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第九章 人魚姫と刻の解放
158話 この気配は……
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⸺⸺ベルトラム公爵の屋敷⸺⸺
「お、みんな来たね~」
塀に登っているチャドが合流した皆へと手を振っていた。ミオとエルヴィスがおーいと振り返す。
「倒しちゃっても良かったんだけど、一応確認だけって言われてたからやめておいたよ」
クライヴが塀から飛び降りてクロノへと報告する。
「あぁ、分かってる。って、アイツだよな……この気配どっかで……」
「だよな、だよな! 船長誰だと思う?」
と、ケヴィン。クロノは「うーん……」と考え込んでいた。
ここでポールが口を挟む。
『あ、オイラ分かっちゃった。オイラの顔を汚い靴で踏んづけて、大勢の前で表舞台から引きずり降ろされたアホ』
「あー! アルノーだ! “幻想”のリーダーだった!」
チャドがそう叫ぶと、皆一斉に「あぁ!」と声を上げた。
「何だ、さっさと討伐しちゃえば良かった」
クライヴは呆れ顔で言う。
「アイツ逃げたと思ったが、捕まって暗黒種にされていたんだな……」
と、クロノ。
「魔物になったのにこんなに覇気がないのはウケんな」
ケヴィンがそう言って笑うと、チャドも「ねー」と一緒になって笑っていた。
「マキナを恨んでるって……私じゃんそれ!」
ミオはハッとする。「確かに」と一同。
「恨みたいのはマキナの方だっての」
と、エルヴィス。「確かに」と一同。
「よし、誰が行く?」
クロノは皆を見渡す。
「ジャンケンで決めるか?」
と、ケヴィン。
「なんじゃお前さんら皆そやつを恨んでおるようじゃのう。それならばここは公平にワシが行こう」
そう名乗り出る国綱に皆は「えっ!?」と驚きを顕にする。
「国綱って戦えるの!?」
と、ミオ。
「ほう、ワシもなめられたもんじゃのう。むしろ人であった頃より戦えるわい」
「マジか……」
クロノはアメノカク諸島で人であった頃の国綱と刀の稽古をした事を思い出す。そして、静かに鬼丸を彼へと差し出した。
「国綱に任せよう」
「うむ、皆はそこで見ておれ」
国綱は屋敷の庭へと入っていく。皆もわくわくしながら後を付いていき、少し離れたところで彼を見守った。
アンネリーゼも出窓から身を乗り出して国綱を見つめている。
皆の注目を浴びる中、魔物は国綱に気付くと立ち上がり『マキナ……ダセェ!』と襲い掛かった。
国綱はサッと腰をかがめ、鬼丸の柄に手をかける。そして魔物が大きく振りかぶった懐に潜り込み、居合術を決めた。
⸺⸺月影⸺⸺
いつの間にか抜いた鬼丸をキンッと鞘に収めると、国綱の抜刀をする残像と共に魔物の身体が真っ二つに切り裂かれ、黒い霧となって消えていった。
「えっ! 刀を抜く前に魔物が斬れたんだけど!」
と、ミオ。クロノはふっと吹き出しこう答える。
「お前が見てんのは国綱の残像だ。本物の国綱はとっくに斬り終わって納刀していたぞ」
「ええええ~!?」
「俺の抜刀術はアイツから教わったんだ。アイツは俺の刀の師匠みてぇなもんなんだ。妖になってそういうのはやらなくなったかと思ったが、まだ健在だったな」
「ビックリなんですけど……」
唖然とするミオへクライヴが「それな」と共感を示した。
2階の出窓からアンネリーゼが国綱へと呼びかける。
「あ、あの……! お名前は……!?」
「ワシか? ワシは国綱じゃぁ。アンネリーゼ、もうお前さんは自由じゃて」
「国綱……様……」
アンネリーゼの頬はポッと赤くなり、それを見た国綱の顔は引きつっていた。
「なんじゃ……嫌な予感がするのう……」
「お、みんな来たね~」
塀に登っているチャドが合流した皆へと手を振っていた。ミオとエルヴィスがおーいと振り返す。
「倒しちゃっても良かったんだけど、一応確認だけって言われてたからやめておいたよ」
クライヴが塀から飛び降りてクロノへと報告する。
「あぁ、分かってる。って、アイツだよな……この気配どっかで……」
「だよな、だよな! 船長誰だと思う?」
と、ケヴィン。クロノは「うーん……」と考え込んでいた。
ここでポールが口を挟む。
『あ、オイラ分かっちゃった。オイラの顔を汚い靴で踏んづけて、大勢の前で表舞台から引きずり降ろされたアホ』
「あー! アルノーだ! “幻想”のリーダーだった!」
チャドがそう叫ぶと、皆一斉に「あぁ!」と声を上げた。
「何だ、さっさと討伐しちゃえば良かった」
クライヴは呆れ顔で言う。
「アイツ逃げたと思ったが、捕まって暗黒種にされていたんだな……」
と、クロノ。
「魔物になったのにこんなに覇気がないのはウケんな」
ケヴィンがそう言って笑うと、チャドも「ねー」と一緒になって笑っていた。
「マキナを恨んでるって……私じゃんそれ!」
ミオはハッとする。「確かに」と一同。
「恨みたいのはマキナの方だっての」
と、エルヴィス。「確かに」と一同。
「よし、誰が行く?」
クロノは皆を見渡す。
「ジャンケンで決めるか?」
と、ケヴィン。
「なんじゃお前さんら皆そやつを恨んでおるようじゃのう。それならばここは公平にワシが行こう」
そう名乗り出る国綱に皆は「えっ!?」と驚きを顕にする。
「国綱って戦えるの!?」
と、ミオ。
「ほう、ワシもなめられたもんじゃのう。むしろ人であった頃より戦えるわい」
「マジか……」
クロノはアメノカク諸島で人であった頃の国綱と刀の稽古をした事を思い出す。そして、静かに鬼丸を彼へと差し出した。
「国綱に任せよう」
「うむ、皆はそこで見ておれ」
国綱は屋敷の庭へと入っていく。皆もわくわくしながら後を付いていき、少し離れたところで彼を見守った。
アンネリーゼも出窓から身を乗り出して国綱を見つめている。
皆の注目を浴びる中、魔物は国綱に気付くと立ち上がり『マキナ……ダセェ!』と襲い掛かった。
国綱はサッと腰をかがめ、鬼丸の柄に手をかける。そして魔物が大きく振りかぶった懐に潜り込み、居合術を決めた。
⸺⸺月影⸺⸺
いつの間にか抜いた鬼丸をキンッと鞘に収めると、国綱の抜刀をする残像と共に魔物の身体が真っ二つに切り裂かれ、黒い霧となって消えていった。
「えっ! 刀を抜く前に魔物が斬れたんだけど!」
と、ミオ。クロノはふっと吹き出しこう答える。
「お前が見てんのは国綱の残像だ。本物の国綱はとっくに斬り終わって納刀していたぞ」
「ええええ~!?」
「俺の抜刀術はアイツから教わったんだ。アイツは俺の刀の師匠みてぇなもんなんだ。妖になってそういうのはやらなくなったかと思ったが、まだ健在だったな」
「ビックリなんですけど……」
唖然とするミオへクライヴが「それな」と共感を示した。
2階の出窓からアンネリーゼが国綱へと呼びかける。
「あ、あの……! お名前は……!?」
「ワシか? ワシは国綱じゃぁ。アンネリーゼ、もうお前さんは自由じゃて」
「国綱……様……」
アンネリーゼの頬はポッと赤くなり、それを見た国綱の顔は引きつっていた。
「なんじゃ……嫌な予感がするのう……」
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