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第六章 白鳥の姫と7人の小人

106話 白鳥の姫と7人の小人

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 しばらく扉の前で待ちぼうけを食らう。
「そういやクライヴだけ居ねーな」
 と、ケヴィン。

「あはは、なんか聞き込みしてるのは見かけたけど、ここには辿り着かなかったみたいだね」
 チャドがヘラヘラと笑いながらそう答えた。
「まぁ、そのうち来るでしょ。おっと、グリーン君戻ってきたみたいね」
 と、エルヴィス。皆の視線が扉へと集まると、扉がゆっくりと開き、小さな手がちょこんと顔を出し、おいでおいでと手招きをされた。

「お邪魔しまーす……」
 クロノに続いてミオが入り、その後に3人続いて入る。
 そこはシェアハウスのような作りになっており、広いリビングに入ると7人のドワーフ族と、綺麗な白い翼のプラム族の女性が出迎えてくれた。

「良く来たね客人。ワシはホワイト。このカーラー7人兄弟の長男であり、一応パドヴァリアの首長をしている者だ」
 白い帽子のドワーフ族が1歩前へ出てそう名乗った。

「7人の小人に白雪姫……」
 ミオがポツンとそう呟く。
「白雪姫?」
 と、チャド。
「確かに白いけどな」
 と、ケヴィン。

『その白鳥さん、聖霊さんかも』
 ポールがリュックからニョキッと顔を出してそう言った。
「マジ……?」
 と、ルフレヴェの一同。

「なんと、それは魔法生物なのか!?」
「ぬいぐるみがしゃべってはるわ……」
「興味深いデス」
 7人の小人たちはそれぞれ驚きの反応を見せる。

「白雪姫……聖霊さん……」
 白い翼のプラム族の女性は何かを思い出そうとするようにうーんと考え込む。
「シスネ、どうした?」
 と、ホワイト。すると、そのシスネと呼ばれた女性はハッと閃いたように両手をポンッと合わせた。

「そうでした。わたくし、光の聖霊ですの! ミオ、お待ちしておりましたわ!」
「いや絶対待ってなかったでしょ!」
 皆で一斉にそうツッコむ。

「今、思い出したようにそう言ったよね……。忘れてたよね……?」
 と、ミオ。
「すみません。国から落とされた衝撃で忘れてしまっていました」
 シスネはそう言って、てへっとはにかむ。

「国から落とされた!?」
 ミオが顔を引きつらせながら反応する。
「うーん……やっぱここも穏やかじゃないね……」
 と、エルヴィス。
「あ~、大人の事情だ~!」
 なぜかチャドは嬉しそうに言う。

 ここでホワイトが口を挟む。
「ふむ、シスネ。この方たちはお前の知り合いなのだね? それも、国外の」
「はい、ホワイトさん! 殿方は分かりませんが、このマキナ族のミオとぬいぐるみのポールはわたくしの仲間です。わたくしがお会いしなければならなかった人、まさにその人なのです」

「うむ、あい分かった。であれば客人よ。一度お互いに情報を共有しようではないか。コーヒーを淹れよう、適当にその辺りに座ってくれ」
 ホワイトはそう言って何人かの小人とキッチンへと向かった。

「こちらとしても願ってもないことだ。ホワイト、感謝する」
 クロノがそう言ってふかふかのラグの上であぐらをかき始めたので、ルフレヴェの皆もそれぞれお礼を言い、思い思いの場所に腰を下ろした。

 コーヒーが揃うと、クロノが口を開く。
「妖刀のことはひとまず置いておいて、俺らの説明をする」
 彼はそのままメンバーの名前と、旅の目的を小人らへと話した。

⸺⸺

「なんと興味深い旅をしている者たちだ……。異世界人というのも気になるな。うむ、お前たちの事情と、シスネが聖霊という人知を超えし存在だということも理解した」
 と、ホワイト。

「意外にあっさり受け入れるんだな」
 クロノはそう言ってコーヒーをすする。

「シスネに関しては不思議な雰囲気の人だと思っていた。聖霊と言われてどこかスッキリすらしているよ」
「ミオも不思議な魔力デス。異世界人、納得デス」
 と、グリーン。

「では、次は我々の番だな。ワシはさっきも名乗ったが、カーラー兄弟の長男ホワイト、パドヴァリアの首長だ」
「ボクは次男のブラック、黒魔道士」
 黒い帽子の小人。
「ワイは三男のレッド、刀鍛冶やってんで!」
 赤い帽子の小人。
「アタシは四男のブルー、装飾魔具職人よん♡」
 青い帽子の小人。いわゆるオネエだ。
「ジブンは五男のイエロー、結界技師であります」
 黄色い帽子の小人。
「オラ六男のパープル。魔導武器職人だよ」
 紫の帽子の小人。
「ウチは七男、末っ子のグリーンデス。魔剣鍛冶師デス」

「なるほど……誰が何やってんのかはサッパリ覚えらんねーけど、名前は帽子の色と一緒で分かりやすいな」
 と、ケヴィン。

「まぁ、我々の事はそこまで気にとめないで良いだろう。ただの色んな分野のオタクの集合体だ。問題はシスネ、お前だな。ルフレヴェの皆に事情を説明するんだ」
「はい、ホワイトさん!」
 
 シスネはこくんと頷くと崩していた足を正し、背筋をピンと伸ばした。
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