71 / 228
第四章 氷の女王と氷の少女
71話 部隊合流
しおりを挟む
休息を取り元気いっぱいになったミオらは、地下空洞をぐんぐん進んでいく。そして……。
「あの扉の先だ! マールージュ島のアルバウスと同じ感じがする!」
ミオが指差した先には頑丈そうな金属の扉があった。
「でも、黒い気の気配もすごいね……」
と、チャド。
「扉の向こうだけじゃなくて、手前にもまだデカイのがいるな? 上か」
ケヴィンが天井を見上げると、バサッバサッと翼をはためかせながら真っ黒な炎をまとった竜がゆっくりと地面へ降り立った。
「こいつは、ジョズ島で船長が仮想戦闘したダークサラマンダー! ってかクラン支部さ、ここが閉鎖されてるからって亜種の通知サボってたでしょ。あとで訴えて報酬がっぽりもらわないと」
チャドはそう言ってニヤッと笑い双剣の柄に手をかける。
「確かSランク亜種だったな? けど最強クラスの亜種だとか、んなのは関係ねー。もう俺らに枷はなんもねーんだから」
ケヴィンも余裕の笑みを浮かべて前髪を掻き上げ、メイスを構えた。
「よぉし、私も上級魔法頑張っちゃうもんね~」
「せーれーぱわー!」
ミオは意気揚々と杖を地面に突き立て魔法陣を描き、パウラもありったけの魔力をボウガンに詰めた。
そしてケヴィンとチャドは同時に血昇のアウラを発動させると、同じ低いトーンで唸るように吠えた。
「「いくぞてめぇら!」」
ケヴィンとチャドは高く飛び上がり巨大な氷塊と稲妻の斬撃を、ミオは炎の上級魔法“エルフレイム”を、そしてパウラは竜の足元へボウガンを撃ち込み大量の茨で竜を貫いた。
やがてそれは竜の元で一つに重なり、大爆発を引き起こす。
⸺⸺連携奥義 ヘルフレア⸺⸺
凄まじい爆発音と共に爆風が彼らにも襲いかかる。
ミオとパウラはミオの構えた魔法障壁でそれに耐え、ケヴィンとチャドも遠くに退くことでなんとか防いだ。
爆風が収まり煙も消え去ると竜がいたはずのその場所は何もおらず、黒い霧がチリチリと天へ昇っていた。
その霧は紛れもなく竜を倒した証拠であり、あっけなく討伐が完了した。
「いやぁすごかったなぁ! 俺らの連携奥義! 名付けてヘルフレア!」
上機嫌でケヴィンがミオの元へと合流する。
「自由って気持ちいい~!」
チャドも伸びをしながらそう言い合流した。
「ケヴィンとチャド、血昇のアウラ発動したら全く同じ目つきと声になったよ! 普段の陽気な感じから一変、迫力満点のオラオラ系になってギャップがカッコ良かった!」
ミオが興奮気味に話す。
「「そうなの?」」
双子は声を揃えてそう言うと、顔を見合わせて微笑み、グータッチをした。
⸺⸺その時、奥から懐かしい声が聞こえてくる。
「おい、扉吹っ飛んできたぞ……大丈夫か!?」
そう言ってクロノが扉があったであろうはずの穴から駆け込んできた。
「「船長~!」」
「クロノ~! ほら、パウラも」
「クロノ~!」
皆がわいわいとクロノを出迎えたため、彼は呆気にとられてポカンとしていた。
「な、なんか思ったよりも元気そうだな……」
「ダークサラマンダーぶっ飛ばして元気百倍だぜ!」
と、ケヴィン。
「ついでに扉もぶっ飛ばしてテンションMAXだぜぇ!」
「だぜぇ!」
ミオがケヴィンの真似をして言い、手を顔の前でクロスさせポーズを取ると、パウラも何かも分からずに同じようにポーズを取っていた。
「ダークサラマンダーだと? 扉の向こうから感じた気配はそれだったか……何だそのポーズは俺にどうしてほしいんだ」
クロノは深くため息をつく。
「真似してほしい」
「まねっこ~」
「却下」
「ガーン」
「がーん」
ミオとパウラは時間差で項垂れた。
「パウラは……何があった?」
クロノの知っている彼女とは雰囲気が全く異なっていたため、流石の彼も聞かずにはいられなかった。
「パウラ、心の氷がとけて緑の聖霊なのおもいだした!」
パウラはそう言ってもう一度手をクロスさせてポーズを取った。
どうやらそのポーズが気に入ったようである。
「! そうだったのか……。あそこでお前が気にかけていなかったら、すれ違うところだったな」
「そのようですな」
ミオはうんうんと頷いた。
「で、船長。この先が例の楽園なんだよな? なんかすげー禍々しいけど……」
ケヴィンが穴の先を見つめながら問う。
「そうだ。黒魔症を5年間放置するとアルバウスも手に負えないくらいの黒い気が発生するらしい。本来光が射し込んでいるはずのそこは、一瞬通って来たが地獄の風景みてぇだったぞ」
「な、なんか5年間放置したお風呂の黒カビみたい……」
ミオは地獄絵図の風呂場を想像した。
「その地獄を普通に通ってきちゃう船長って……」
と、チャド。
「俺は魔力がねぇからな。あいつらもガン無視だった」
「あ、そうだった……」
「そか、だからとりあえず船長だけが来てくれたんだな。みんな上の入り口で待ってるってことか?」
ケヴィンがそう尋ねると、クロノは軽く頷いた。
「そういうことだ。お前らも元気そうだし、このまま予定通りに事を進めるぞ。いいかよく聞け……」
こうして無事に合流を果たしたルフレヴェは、いよいよ緊急クエストの本題へと入っていくのであった。
「あの扉の先だ! マールージュ島のアルバウスと同じ感じがする!」
ミオが指差した先には頑丈そうな金属の扉があった。
「でも、黒い気の気配もすごいね……」
と、チャド。
「扉の向こうだけじゃなくて、手前にもまだデカイのがいるな? 上か」
ケヴィンが天井を見上げると、バサッバサッと翼をはためかせながら真っ黒な炎をまとった竜がゆっくりと地面へ降り立った。
「こいつは、ジョズ島で船長が仮想戦闘したダークサラマンダー! ってかクラン支部さ、ここが閉鎖されてるからって亜種の通知サボってたでしょ。あとで訴えて報酬がっぽりもらわないと」
チャドはそう言ってニヤッと笑い双剣の柄に手をかける。
「確かSランク亜種だったな? けど最強クラスの亜種だとか、んなのは関係ねー。もう俺らに枷はなんもねーんだから」
ケヴィンも余裕の笑みを浮かべて前髪を掻き上げ、メイスを構えた。
「よぉし、私も上級魔法頑張っちゃうもんね~」
「せーれーぱわー!」
ミオは意気揚々と杖を地面に突き立て魔法陣を描き、パウラもありったけの魔力をボウガンに詰めた。
そしてケヴィンとチャドは同時に血昇のアウラを発動させると、同じ低いトーンで唸るように吠えた。
「「いくぞてめぇら!」」
ケヴィンとチャドは高く飛び上がり巨大な氷塊と稲妻の斬撃を、ミオは炎の上級魔法“エルフレイム”を、そしてパウラは竜の足元へボウガンを撃ち込み大量の茨で竜を貫いた。
やがてそれは竜の元で一つに重なり、大爆発を引き起こす。
⸺⸺連携奥義 ヘルフレア⸺⸺
凄まじい爆発音と共に爆風が彼らにも襲いかかる。
ミオとパウラはミオの構えた魔法障壁でそれに耐え、ケヴィンとチャドも遠くに退くことでなんとか防いだ。
爆風が収まり煙も消え去ると竜がいたはずのその場所は何もおらず、黒い霧がチリチリと天へ昇っていた。
その霧は紛れもなく竜を倒した証拠であり、あっけなく討伐が完了した。
「いやぁすごかったなぁ! 俺らの連携奥義! 名付けてヘルフレア!」
上機嫌でケヴィンがミオの元へと合流する。
「自由って気持ちいい~!」
チャドも伸びをしながらそう言い合流した。
「ケヴィンとチャド、血昇のアウラ発動したら全く同じ目つきと声になったよ! 普段の陽気な感じから一変、迫力満点のオラオラ系になってギャップがカッコ良かった!」
ミオが興奮気味に話す。
「「そうなの?」」
双子は声を揃えてそう言うと、顔を見合わせて微笑み、グータッチをした。
⸺⸺その時、奥から懐かしい声が聞こえてくる。
「おい、扉吹っ飛んできたぞ……大丈夫か!?」
そう言ってクロノが扉があったであろうはずの穴から駆け込んできた。
「「船長~!」」
「クロノ~! ほら、パウラも」
「クロノ~!」
皆がわいわいとクロノを出迎えたため、彼は呆気にとられてポカンとしていた。
「な、なんか思ったよりも元気そうだな……」
「ダークサラマンダーぶっ飛ばして元気百倍だぜ!」
と、ケヴィン。
「ついでに扉もぶっ飛ばしてテンションMAXだぜぇ!」
「だぜぇ!」
ミオがケヴィンの真似をして言い、手を顔の前でクロスさせポーズを取ると、パウラも何かも分からずに同じようにポーズを取っていた。
「ダークサラマンダーだと? 扉の向こうから感じた気配はそれだったか……何だそのポーズは俺にどうしてほしいんだ」
クロノは深くため息をつく。
「真似してほしい」
「まねっこ~」
「却下」
「ガーン」
「がーん」
ミオとパウラは時間差で項垂れた。
「パウラは……何があった?」
クロノの知っている彼女とは雰囲気が全く異なっていたため、流石の彼も聞かずにはいられなかった。
「パウラ、心の氷がとけて緑の聖霊なのおもいだした!」
パウラはそう言ってもう一度手をクロスさせてポーズを取った。
どうやらそのポーズが気に入ったようである。
「! そうだったのか……。あそこでお前が気にかけていなかったら、すれ違うところだったな」
「そのようですな」
ミオはうんうんと頷いた。
「で、船長。この先が例の楽園なんだよな? なんかすげー禍々しいけど……」
ケヴィンが穴の先を見つめながら問う。
「そうだ。黒魔症を5年間放置するとアルバウスも手に負えないくらいの黒い気が発生するらしい。本来光が射し込んでいるはずのそこは、一瞬通って来たが地獄の風景みてぇだったぞ」
「な、なんか5年間放置したお風呂の黒カビみたい……」
ミオは地獄絵図の風呂場を想像した。
「その地獄を普通に通ってきちゃう船長って……」
と、チャド。
「俺は魔力がねぇからな。あいつらもガン無視だった」
「あ、そうだった……」
「そか、だからとりあえず船長だけが来てくれたんだな。みんな上の入り口で待ってるってことか?」
ケヴィンがそう尋ねると、クロノは軽く頷いた。
「そういうことだ。お前らも元気そうだし、このまま予定通りに事を進めるぞ。いいかよく聞け……」
こうして無事に合流を果たしたルフレヴェは、いよいよ緊急クエストの本題へと入っていくのであった。
2
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが
アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。
右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。
青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。
そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。
青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。
三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。
【登場人物紹介】
マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。
ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。
クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。
ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。
デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。
ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。
ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。
ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。
ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。
【お知らせ】
◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。
◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。
◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。
◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。
◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。
◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。
◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。
※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。
udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。
他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。
その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。
教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。
まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。
シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。
★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ)
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる