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第五章 聖女の奇跡
54話 魔女の森へ
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巫女様と私を狙って襲撃してきた緑鮫騎士団のフリーデン団長。
彼はヴェイン団長とは違って“見た目通り悪い人”だった。
ヴェイン団長は前々からフリーデン団長のことを疑っていたらしく、以前にアベルとチェスターが聞いた会話は、緑鮫騎士団へ攻めいる提案をしていたものだったらしい。
セシル皇帝陛下曰く「アヴァリスがアベルさんとチェスターさんを脅して口止めしたのは、関係のない赤鷹の団員を巻き込みたくなかっただけなんです」とのこと。
また、ラインハルト団長とアベルとチェスターに関しては、オーウェン団長が「ラインハルトを信じる」と言ったので、皆も彼を信じることにした。
そしてフリーデン団長が死に際に言った「もうすぐアイツがこの島をひっくり返すところが見れると思った」という言葉に不安を覚えた私たちは、馬を全速力で走らせて魔女の森へと向かっている。
彼の共犯者を見つけるためには、巫女様の力で魔女の森の過去のビジョンを見る必要があるからだ。
ちなみにルトガー殿下は気絶から復帰後、エルフの里の復興支援のため、シュタイン城へと援軍の要請に向かい、別行動となった。
⸺⸺魔女の森への道中で。
オーウェン団長がヴェイン団長の馬へと近付いて口を開く。
「ヴェイン団長、俺はあの時からずっと、あなたが皆を殺したものだと思っていました。ですが、どうやら違うようですね。勘違いをしており申し訳ありません」
更にラスさんも「俺も同じです。すみませんでした」と続いた。
「……アドルフを殺したのは俺だ。親の敵になぞ頭を下げるなみっともない」
アドルフとはオーウェン団長のお父上であり、前白狼騎士団の団長だった人だ。
「そう、ですか……。ですが、何かそうしなければならなかった事情があるのでしょう?」
と、オーウェン団長。
「ふん、どんな理由であれ、俺はお前の親の敵だ。馴れ合うつもりはない。本当はお前にだけは過去のビジョンは見せたくないのだがな……」
ヴェイン団長はそれだけ言うと馬を加速させてオーウェン団長の馬から離れていってしまった。
「オーウェン、ルカも覚悟できてる?」
と、ラスさん。
「あぁ、彼の言葉である程度予測はできる。大丈夫だ、覚悟はできてる」
「私も、大丈夫です」
「マジ? じゃぁ俺も覚悟決めないとだなー……」
ラスさんもそう言ってヴェイン団長の後を追うように馬を走らせた。
魔女の森は原則立ち入り禁止だったため、訪れるのはあの日以来になる。
私の本当の里帰りだ。
彼はヴェイン団長とは違って“見た目通り悪い人”だった。
ヴェイン団長は前々からフリーデン団長のことを疑っていたらしく、以前にアベルとチェスターが聞いた会話は、緑鮫騎士団へ攻めいる提案をしていたものだったらしい。
セシル皇帝陛下曰く「アヴァリスがアベルさんとチェスターさんを脅して口止めしたのは、関係のない赤鷹の団員を巻き込みたくなかっただけなんです」とのこと。
また、ラインハルト団長とアベルとチェスターに関しては、オーウェン団長が「ラインハルトを信じる」と言ったので、皆も彼を信じることにした。
そしてフリーデン団長が死に際に言った「もうすぐアイツがこの島をひっくり返すところが見れると思った」という言葉に不安を覚えた私たちは、馬を全速力で走らせて魔女の森へと向かっている。
彼の共犯者を見つけるためには、巫女様の力で魔女の森の過去のビジョンを見る必要があるからだ。
ちなみにルトガー殿下は気絶から復帰後、エルフの里の復興支援のため、シュタイン城へと援軍の要請に向かい、別行動となった。
⸺⸺魔女の森への道中で。
オーウェン団長がヴェイン団長の馬へと近付いて口を開く。
「ヴェイン団長、俺はあの時からずっと、あなたが皆を殺したものだと思っていました。ですが、どうやら違うようですね。勘違いをしており申し訳ありません」
更にラスさんも「俺も同じです。すみませんでした」と続いた。
「……アドルフを殺したのは俺だ。親の敵になぞ頭を下げるなみっともない」
アドルフとはオーウェン団長のお父上であり、前白狼騎士団の団長だった人だ。
「そう、ですか……。ですが、何かそうしなければならなかった事情があるのでしょう?」
と、オーウェン団長。
「ふん、どんな理由であれ、俺はお前の親の敵だ。馴れ合うつもりはない。本当はお前にだけは過去のビジョンは見せたくないのだがな……」
ヴェイン団長はそれだけ言うと馬を加速させてオーウェン団長の馬から離れていってしまった。
「オーウェン、ルカも覚悟できてる?」
と、ラスさん。
「あぁ、彼の言葉である程度予測はできる。大丈夫だ、覚悟はできてる」
「私も、大丈夫です」
「マジ? じゃぁ俺も覚悟決めないとだなー……」
ラスさんもそう言ってヴェイン団長の後を追うように馬を走らせた。
魔女の森は原則立ち入り禁止だったため、訪れるのはあの日以来になる。
私の本当の里帰りだ。
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