【完結】隣国にスパイとして乗り込み故郷の敵である騎士団長様へ復讐をしようとしたのにうっかり恋をしてしまいました

るあか

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第四章 平和への軌跡

41話 赤鷹騎士団宿舎

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 帝国へ帰還した翌日。
 私は早速ラインハルト団長に呼び出され、任務の一環として彼に同行をした。

⸺⸺ヴァルトーマ城⸺⸺

「ラインハルト団長、お待たせしました」
「ん、じゃぁ行きますか」
 まるでデートの待ち合わせのような挨拶を交わし、城内の使用人の休憩室を訪ねる。

「すみませーん」
「はい、いかがなさいましたか?」
 メイドさんがすぐに顔を出す。
「メルヴィンさんって今居ますか?」
「はい、おりますよ。呼んで参りますので少々お待ち下さい」

 そして、少し待つとあの時城を案内してくれた使用人さんが廊下へと出てきた。
「昨日のアレ、どこいったか分かる?」
 私がそう尋ねると、メルヴィンさんは「こちらです。ご案内します」と言って廊下を歩き出す。

 彼についていくと、空き倉庫のような部屋へと案内された。
「ルカ……か?」
 と、メルヴィンさん。
「あ、そうです」
「数ヶ月前に女王陛下から名前だけは伺っている。俺に何か任務か?」

 ここで私は事の詳細を彼に伝えた。

「なるほど、承知した。その時噂をしていた2人の赤い騎士は気配まで全て記憶している。宿舎まで連れていってもらえればすぐに見つけよう」
「了解。じゃ、お二人さんを赤鷹せきおう騎士団の宿舎へとご案内しますよ。ただ、任務に出かけているかもだから、今居なかったら夜もう1回だからな」
「承知」
「はい!」

 私とメルヴィンさんは赤鷹騎士団のローブへと着替えると、今度はラインハルト団長について赤鷹騎士団の宿舎へと向かった。

⸺⸺赤鷹騎士団 宿舎⸺⸺

「ちょ、でか……」
 私はその巨大な建物を見て呆然と立ち尽くす。
「うち人数多いからさ……まぁ今回のことで人数増やしすぎるのも良くないと思い知らされたよ……」
 ラインハルト団長はずーんと沈む。いつも陽気なのに、今回のことで結構凹んでいるようだ。

「別にラインハルト団長が悪い訳でも、その団員さんが悪い訳でもないんですから、そんな落ち込まないでくださいよ。らしくないですよ?」
「俺らみたいに変装されていたら厄介だな」
 と、メルヴィンさん。
「でも俺はそうであってほしいとちょっと思ってる……」
 あぁ、ダメだ凹んでるわ。

⸺⸺

 何気ない会話をしながら3人でその大きな宿舎内を練り歩く。
 すると訓練場に差し掛かったところでメルヴィンさんが足を止めた。
「ここだ、この中にいる、2人共だ」
「マジで居やがったのか……今訓練場にいるっつーことは、3等級以下のやつだな……俺顔も忘れてるレベルかも……」

 そして訓練中の2人の騎士を呼び出して、応接室へと閉じ込めた。
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