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第三章 誤解と和解
39話 里帰り
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⸺⸺次のオフの日。
私はオーウェン団長にラスさん、同期の2人にラインハルト団長も連れて、メドナ王国へと帰還した。
「ちょっと待てよ? 何で俺も?」
と、ラインハルト団長。
「ヴェイン団長の秘密を共有した以上、お前ももうこちら側の人間だ。クリスティア女王陛下に紹介しなくてはな」
そう答えるオーウェン団長に対し、彼は「お前が勝手にしゃべったんだろ!?」とツッコんでいた。
「いやぁ、ルカは自分の故郷の事以外にもそんな使命を背負っていたんですね」
と、テオ。
「大変だったな。自分の行動一つで戦争するかしないか決まっちゃうなんて、荷が重いよな」
と、ブラッド。
「うん……みんなに話せて良かった……」
「大丈夫だルカ。白狼騎士団はいつでもお前の味方だ」
「オーウェン団長……ありがとうございます」
⸺⸺メドナ城 玉座の間⸺⸺
「オーウェン団長、急ぎの連絡ありがとうございます。皆さん、お待ちしておりましたよ」
クリスティア女王陛下がそう言って私たちを出迎える。
「女王陛下、あの、私……」
「ルカ、やはりあなたをスパイに選んで正解でした。わたくしが思っていた以上の味方を連れてきて下さいました」
女王陛下はそう言ってテオとラインハルト団長へ視線を送った。
彼らは目が合うと、サッと会釈をした。
「ルカ、いつものようにまずはあなたの日記を見たいので、場所を移動しましょうか」
「日記?」
オーウェン団長が首を傾げる。
「あの、日記じゃなくて……一応日報です」
私がそう反論すると、周りからはクスクスと笑いが起こる。
「ルカの書き方が日記みたいなんですね」
と、テオ。
「ええ、面白いですよ。テオバルト殿下も後で見ますか?」
「良いんですか? ぜひ、拝見させていただきます」
テオがそう言うと、周りも次々に「俺も見たーい」「俺も、俺もー」と名乗り出てくる。
「うぅ、恥ずかしい……」
私は赤面しながら応接間へと入った。
応接間には既におもてなしの料理が用意されており、女王陛下が私の日記……もとい日報を確認している間、みんなで料理を堪能した。
「陽キャ、陰キャとは何ですか?」
と、クリスティア女王陛下。それに対しみんなは「日報に使う単語じゃない」と大爆笑をしていた。
「女王陛下、陽キャっていうのは明るい人柄の人……褒めてるかなと思います。ですが陰キャっていうのは大人しめの人……陰キャはほぼ悪口ですね」
ラスさんがそう笑いながら回答をした。
「なるほど、それを聞いて安心しました。あなた方白狼と赤鷹、それから青熊の団長は陽キャらしいですが、残りの黒豹と緑鮫の団長は陰キャのようです」
「何の報告!?」
と、爆笑する一同。
「だ、だって、見たままを報告してって……」
私は顔を真っ赤にしてうつむく。
「あぁ、もっと面白い報告がありますよ。ルカは当初白狼騎士団の団長も皇帝陛下も、“デブでハゲのキモいおっさん”だと想像していたらしいですよ」
女王陛下がそう言った瞬間、爆笑が更に大爆笑へと膨れ上がる。
「ちょ、俺もう無理……死ぬ……」
ラインハルト団長は料理を食べるのも忘れてお腹を抱えて悶ている。
「女王陛下もうやめて下さい~!」
私はその場から消えてしまいたいくらいの羞恥心に襲われていた。
「いいえ、ルカ。あなたがこうだからこそ、ここにいる皆はあなたに力を貸してくれているのですよ。わたくしはそんなあなたを……ふふふっ、誇りに思って……ふふふふっ……いますよ?」
「全然誇られてる気がしないんですけど!?」
私がそうツッコむと、周りは再び笑いに包まれた。
私はオーウェン団長にラスさん、同期の2人にラインハルト団長も連れて、メドナ王国へと帰還した。
「ちょっと待てよ? 何で俺も?」
と、ラインハルト団長。
「ヴェイン団長の秘密を共有した以上、お前ももうこちら側の人間だ。クリスティア女王陛下に紹介しなくてはな」
そう答えるオーウェン団長に対し、彼は「お前が勝手にしゃべったんだろ!?」とツッコんでいた。
「いやぁ、ルカは自分の故郷の事以外にもそんな使命を背負っていたんですね」
と、テオ。
「大変だったな。自分の行動一つで戦争するかしないか決まっちゃうなんて、荷が重いよな」
と、ブラッド。
「うん……みんなに話せて良かった……」
「大丈夫だルカ。白狼騎士団はいつでもお前の味方だ」
「オーウェン団長……ありがとうございます」
⸺⸺メドナ城 玉座の間⸺⸺
「オーウェン団長、急ぎの連絡ありがとうございます。皆さん、お待ちしておりましたよ」
クリスティア女王陛下がそう言って私たちを出迎える。
「女王陛下、あの、私……」
「ルカ、やはりあなたをスパイに選んで正解でした。わたくしが思っていた以上の味方を連れてきて下さいました」
女王陛下はそう言ってテオとラインハルト団長へ視線を送った。
彼らは目が合うと、サッと会釈をした。
「ルカ、いつものようにまずはあなたの日記を見たいので、場所を移動しましょうか」
「日記?」
オーウェン団長が首を傾げる。
「あの、日記じゃなくて……一応日報です」
私がそう反論すると、周りからはクスクスと笑いが起こる。
「ルカの書き方が日記みたいなんですね」
と、テオ。
「ええ、面白いですよ。テオバルト殿下も後で見ますか?」
「良いんですか? ぜひ、拝見させていただきます」
テオがそう言うと、周りも次々に「俺も見たーい」「俺も、俺もー」と名乗り出てくる。
「うぅ、恥ずかしい……」
私は赤面しながら応接間へと入った。
応接間には既におもてなしの料理が用意されており、女王陛下が私の日記……もとい日報を確認している間、みんなで料理を堪能した。
「陽キャ、陰キャとは何ですか?」
と、クリスティア女王陛下。それに対しみんなは「日報に使う単語じゃない」と大爆笑をしていた。
「女王陛下、陽キャっていうのは明るい人柄の人……褒めてるかなと思います。ですが陰キャっていうのは大人しめの人……陰キャはほぼ悪口ですね」
ラスさんがそう笑いながら回答をした。
「なるほど、それを聞いて安心しました。あなた方白狼と赤鷹、それから青熊の団長は陽キャらしいですが、残りの黒豹と緑鮫の団長は陰キャのようです」
「何の報告!?」
と、爆笑する一同。
「だ、だって、見たままを報告してって……」
私は顔を真っ赤にしてうつむく。
「あぁ、もっと面白い報告がありますよ。ルカは当初白狼騎士団の団長も皇帝陛下も、“デブでハゲのキモいおっさん”だと想像していたらしいですよ」
女王陛下がそう言った瞬間、爆笑が更に大爆笑へと膨れ上がる。
「ちょ、俺もう無理……死ぬ……」
ラインハルト団長は料理を食べるのも忘れてお腹を抱えて悶ている。
「女王陛下もうやめて下さい~!」
私はその場から消えてしまいたいくらいの羞恥心に襲われていた。
「いいえ、ルカ。あなたがこうだからこそ、ここにいる皆はあなたに力を貸してくれているのですよ。わたくしはそんなあなたを……ふふふっ、誇りに思って……ふふふふっ……いますよ?」
「全然誇られてる気がしないんですけど!?」
私がそうツッコむと、周りは再び笑いに包まれた。
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