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第二章 真実と恋の探求
24話 知る勇気
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テオが問う。
「ルカは気絶した後どうやって助かったか覚えていますか?」
「私は覚えてないけど、駆けつけたメドナ王国軍によって保護されたって女王陛下がおっしゃってたよ」
「そうですか……。その白い鎧には見つからなかったのですね」
「うん、多分……」
ここでブラッドが口を挟む。
「もし、その白い鎧の騎士が、先輩らみてぇに実力ある騎士だったら、ルカのその魔力を見過ごすと思うか?」
「俺もそれを思っていました。当時のルカが気配を隠す術を身に着けていないのであれば、ルカの魔力は膨大なので家の前を通っただけで分かるんじゃないでしょうか?」
「え、じゃぁ……私がいるのを分かってて見逃したってこと?」
「絶対とは言い切れませんが、そうかもしれませんよね」
ブラッドが私へと向かい合う。
「なぁ、ルカ。きっと大丈夫だ。勇気を出して一緒に12年前のことを調べてみようぜ」
「だ、大丈夫かな……」
「大丈夫ですよ。もし仮に残酷な事実だったとしても、俺もブラッドもついています。ルカは一人じゃありませんよ」
と、テオ。
「そっか、うん、そうだよね。お願い、一緒に調べて!」
私は手を顔の前でパンと合わせた。
「おう、調べようぜ!」
「はい、調べましょう!」
「ありがとう!」
私、この2人と同期で本当に良かったと思う。ずっと今まで一人で頑張ってきたから、こんなふうに心を許せる仲間ができたのは初めてだった。
ずっと勇気が出なくて踏み出せなかった12年前への一歩。今ようやく踏み出せそう。
⸺⸺
私たちは資料室中の資料を引き出して確認し、12年前の『ヴァース暦1714年』前後の資料をかき集める。
「おぉ、ルカ。この棚はもう全部見たぜ。100年前くらいのやつばっかだった」
私が通りかかると、ブラッドがそう言って脚立から降りてくる。
「了解。じゃぁ私あっちの棚見てくるから」
「おうよ」
「ルカ、そっちはどのくらいの年代ですか?」
と、テオ。
「1700年くらいかな~。1710年くらいまでは見つかったんだけど……」
「分かりました。では俺はこっちを見てみます」
「うん、お願い」
⸺⸺そして日も暮れる頃。
テーブルにドサッと資料の山を作り、ふぅ~っと一息ついた私たちは、中を調べる前に先に『三毛猫亭』で晩御飯を食べることにした。
そして再び資料室に戻ってきて遅くまでその資料を確認し、驚きの事実が発覚する。
「ルカは気絶した後どうやって助かったか覚えていますか?」
「私は覚えてないけど、駆けつけたメドナ王国軍によって保護されたって女王陛下がおっしゃってたよ」
「そうですか……。その白い鎧には見つからなかったのですね」
「うん、多分……」
ここでブラッドが口を挟む。
「もし、その白い鎧の騎士が、先輩らみてぇに実力ある騎士だったら、ルカのその魔力を見過ごすと思うか?」
「俺もそれを思っていました。当時のルカが気配を隠す術を身に着けていないのであれば、ルカの魔力は膨大なので家の前を通っただけで分かるんじゃないでしょうか?」
「え、じゃぁ……私がいるのを分かってて見逃したってこと?」
「絶対とは言い切れませんが、そうかもしれませんよね」
ブラッドが私へと向かい合う。
「なぁ、ルカ。きっと大丈夫だ。勇気を出して一緒に12年前のことを調べてみようぜ」
「だ、大丈夫かな……」
「大丈夫ですよ。もし仮に残酷な事実だったとしても、俺もブラッドもついています。ルカは一人じゃありませんよ」
と、テオ。
「そっか、うん、そうだよね。お願い、一緒に調べて!」
私は手を顔の前でパンと合わせた。
「おう、調べようぜ!」
「はい、調べましょう!」
「ありがとう!」
私、この2人と同期で本当に良かったと思う。ずっと今まで一人で頑張ってきたから、こんなふうに心を許せる仲間ができたのは初めてだった。
ずっと勇気が出なくて踏み出せなかった12年前への一歩。今ようやく踏み出せそう。
⸺⸺
私たちは資料室中の資料を引き出して確認し、12年前の『ヴァース暦1714年』前後の資料をかき集める。
「おぉ、ルカ。この棚はもう全部見たぜ。100年前くらいのやつばっかだった」
私が通りかかると、ブラッドがそう言って脚立から降りてくる。
「了解。じゃぁ私あっちの棚見てくるから」
「おうよ」
「ルカ、そっちはどのくらいの年代ですか?」
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「1700年くらいかな~。1710年くらいまでは見つかったんだけど……」
「分かりました。では俺はこっちを見てみます」
「うん、お願い」
⸺⸺そして日も暮れる頃。
テーブルにドサッと資料の山を作り、ふぅ~っと一息ついた私たちは、中を調べる前に先に『三毛猫亭』で晩御飯を食べることにした。
そして再び資料室に戻ってきて遅くまでその資料を確認し、驚きの事実が発覚する。
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