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第二章 真実と恋の探求
16話 騎士団総会
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今日は騎士団総会の日。騎士団総会は年に3回あり、5つの騎士団の中の3等級以上の騎士に参加権がある。
5つの騎士団が皇帝陛下の下に集う数少ない機会であり、皇帝陛下だけではなく他の騎士団を見る良い機会でもある。
⸺⸺白狼騎士団 宿舎ロビー⸺⸺
「あぁー、初めての騎士団総会、ちょっと緊張すんなぁ!」
ブラッドはそう言ってその場で足踏みをしている。
彼はこの日初めて、白狼騎士団の正装である『白い鎧』を着用していた。
ちなみに私やテオのような中衛から後衛の正装は、白いローブにマントである。
「もうブラッド、他の騎士団の前でそんなことしないでくださいよ、恥ずかしい……」
と、テオ。
「うぅ、でも僕もちょっと緊張してきたかも……」
私はブラッドの足踏みをしたくなる気持ちが少し分かってしまっている。
「あははっ、大丈夫大丈夫。君らはホールの椅子に座って皇帝陛下と騎士団長らのやり取りをボーッと見てるだけだからさ」
ラスさんがそう言って私たちを励ましてくれる。
「でも、他の騎士団はもっとたくさんいるんですよね……何だか人数の気迫に押しつぶされそうで……」
私はそう言って小さく縮こまる。
すると、オーウェン団長が私のもとへと寄ってきて、頭をポンポンと撫でてくれた。
「っ!?」
急な出来事に私は顔を赤くして唖然とする。
「そういう心配なら無用だぞ。多分参加人数は、どの騎士団もそんなに変わらないからな」
「えっ、どういう……?」
「ウチが全員参加してるから、他の騎士団も全員参加すると思った? 参加資格があるのは、“3等級以上の騎士”だけだからね」
と、ラスさん。
「なるほど……」
「まぁ、行ってみれば分かるさ」
オーウェン団長にそう言われ、私はこくんとうなずいた。
そして、団長の合図のもと、全員で整列をして『ヴァルトーマ城』へと入城した。
⸺⸺ヴァルトーマ城 講演ホール⸺⸺
ガランとしたすり鉢上の広い円形のホール。
白狼騎士団は左奥のスペースが陣地らしく、先輩方が前から順番に座っていく。
私たち新人同期組は先輩たちの後ろの1列に3人で座り、更にその後ろにラスさんとオーウェン団長が腰掛けた。
私たちが入って5分もしないうちに真っ黒な正装の騎士団が入ってくる。
人数は100人ほどで、確かに私たちとあまり変わらなかった。
次に赤い騎士団、そして青い騎士団、最後に緑の騎士団が入ってきて、それぞれ着席をする。
赤色は数が多く200人くらいるかなという感じであったが、青と緑に関しては50人もいないほどであった。
「ルカ、分かる? ここにいる人らが、3等級以上の騎士ってこと。他の団、意外に少ないでしょ?」
後ろからラスさんがそう耳打ちしてくる。
「はい、お二人の言っている意味がやっと分かりました」
私がそう言って後ろを向くとラスさんもオーウェン団長も揃ってうなずいてくれた。
「恐らくお前たちの同期で参加しているのはお前たちのみだ。だからルカ、お前は胸を張って堂々としていればいい」
「はい、オーウェン団長!」
そして開始の時刻になる頃には、オーウェン団長は他の色の団長と共にステージへと上がっていた。
彼は赤や青の団長と何やら談笑している。この2人の団長も迫力があって強そうだ。
ここで司会の人による団長の紹介が始まる。
「帝国騎士団の皆々様。本日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。早速ですが、まずは騎士団長様のご紹介に移りたいと思います。白狼騎士団団長、オーウェン・ヴァレンタイン公爵閣下」
オーウェン団長が1歩前に出て会釈をする。わぁ、公爵閣下……響きがカッコいい。
「黒豹騎士団団長、アヴァリス・ヴェイン公爵閣下」
黒い鎧の団長も、同じように1歩前へ出て会釈をする。この人も公爵閣下。でも、見た目50くらいのおじさんで、何だか怖くて近寄りがたい、そんな感じだ。
「赤鷹騎士団団長、ラインハルト・ハインツェル将軍閣下」
この人は裏表がなさそうな豪快な雰囲気。オーウェン団長みたく若そう。
「蒼熊騎士団団長、イグナシオ・アルフォンソ将軍閣下」
優しそうなイケオジ。同じおじさんでもヴェイン公爵閣下とはまるで正反対の明るい雰囲気だ。私はこっちのイケオジの方が好き。
「緑鮫騎士団団長、ハンネス・フリーデン将軍閣下」
唯一ローブにマントの団長さん。一言で言って、陰気臭い。
「以上となります」
うーん、女王陛下は感じたままを報告してっておっしゃっていたから、今思ったことをそのまま日報に記すことにしよう。
結論、陽キャ3、陰キャ2。
次はいよいよ皇帝陛下のご登場だ。
5つの騎士団が皇帝陛下の下に集う数少ない機会であり、皇帝陛下だけではなく他の騎士団を見る良い機会でもある。
⸺⸺白狼騎士団 宿舎ロビー⸺⸺
「あぁー、初めての騎士団総会、ちょっと緊張すんなぁ!」
ブラッドはそう言ってその場で足踏みをしている。
彼はこの日初めて、白狼騎士団の正装である『白い鎧』を着用していた。
ちなみに私やテオのような中衛から後衛の正装は、白いローブにマントである。
「もうブラッド、他の騎士団の前でそんなことしないでくださいよ、恥ずかしい……」
と、テオ。
「うぅ、でも僕もちょっと緊張してきたかも……」
私はブラッドの足踏みをしたくなる気持ちが少し分かってしまっている。
「あははっ、大丈夫大丈夫。君らはホールの椅子に座って皇帝陛下と騎士団長らのやり取りをボーッと見てるだけだからさ」
ラスさんがそう言って私たちを励ましてくれる。
「でも、他の騎士団はもっとたくさんいるんですよね……何だか人数の気迫に押しつぶされそうで……」
私はそう言って小さく縮こまる。
すると、オーウェン団長が私のもとへと寄ってきて、頭をポンポンと撫でてくれた。
「っ!?」
急な出来事に私は顔を赤くして唖然とする。
「そういう心配なら無用だぞ。多分参加人数は、どの騎士団もそんなに変わらないからな」
「えっ、どういう……?」
「ウチが全員参加してるから、他の騎士団も全員参加すると思った? 参加資格があるのは、“3等級以上の騎士”だけだからね」
と、ラスさん。
「なるほど……」
「まぁ、行ってみれば分かるさ」
オーウェン団長にそう言われ、私はこくんとうなずいた。
そして、団長の合図のもと、全員で整列をして『ヴァルトーマ城』へと入城した。
⸺⸺ヴァルトーマ城 講演ホール⸺⸺
ガランとしたすり鉢上の広い円形のホール。
白狼騎士団は左奥のスペースが陣地らしく、先輩方が前から順番に座っていく。
私たち新人同期組は先輩たちの後ろの1列に3人で座り、更にその後ろにラスさんとオーウェン団長が腰掛けた。
私たちが入って5分もしないうちに真っ黒な正装の騎士団が入ってくる。
人数は100人ほどで、確かに私たちとあまり変わらなかった。
次に赤い騎士団、そして青い騎士団、最後に緑の騎士団が入ってきて、それぞれ着席をする。
赤色は数が多く200人くらいるかなという感じであったが、青と緑に関しては50人もいないほどであった。
「ルカ、分かる? ここにいる人らが、3等級以上の騎士ってこと。他の団、意外に少ないでしょ?」
後ろからラスさんがそう耳打ちしてくる。
「はい、お二人の言っている意味がやっと分かりました」
私がそう言って後ろを向くとラスさんもオーウェン団長も揃ってうなずいてくれた。
「恐らくお前たちの同期で参加しているのはお前たちのみだ。だからルカ、お前は胸を張って堂々としていればいい」
「はい、オーウェン団長!」
そして開始の時刻になる頃には、オーウェン団長は他の色の団長と共にステージへと上がっていた。
彼は赤や青の団長と何やら談笑している。この2人の団長も迫力があって強そうだ。
ここで司会の人による団長の紹介が始まる。
「帝国騎士団の皆々様。本日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。早速ですが、まずは騎士団長様のご紹介に移りたいと思います。白狼騎士団団長、オーウェン・ヴァレンタイン公爵閣下」
オーウェン団長が1歩前に出て会釈をする。わぁ、公爵閣下……響きがカッコいい。
「黒豹騎士団団長、アヴァリス・ヴェイン公爵閣下」
黒い鎧の団長も、同じように1歩前へ出て会釈をする。この人も公爵閣下。でも、見た目50くらいのおじさんで、何だか怖くて近寄りがたい、そんな感じだ。
「赤鷹騎士団団長、ラインハルト・ハインツェル将軍閣下」
この人は裏表がなさそうな豪快な雰囲気。オーウェン団長みたく若そう。
「蒼熊騎士団団長、イグナシオ・アルフォンソ将軍閣下」
優しそうなイケオジ。同じおじさんでもヴェイン公爵閣下とはまるで正反対の明るい雰囲気だ。私はこっちのイケオジの方が好き。
「緑鮫騎士団団長、ハンネス・フリーデン将軍閣下」
唯一ローブにマントの団長さん。一言で言って、陰気臭い。
「以上となります」
うーん、女王陛下は感じたままを報告してっておっしゃっていたから、今思ったことをそのまま日報に記すことにしよう。
結論、陽キャ3、陰キャ2。
次はいよいよ皇帝陛下のご登場だ。
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