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第一章 白狼騎士団

15話 定期報告

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 私は定期報告でメドナ王国へと帰り、クリスティア女王陛下へ謁見していた。

「そう、大きなお風呂が……へぇ、帝都の酒場にそんな居心地の良い場所が……同期とは仲良くやれているようですね……」
 女王陛下は時折クスクスと笑いながら私の日報をめくっていた。

「あの……なんかくだらない報告ばかりでごめんなさい……」
 私はだんだん恥ずかしくなり、顔を真っ赤にしながら女王陛下が読み終わるのを待った。

「いえ、これでいいのですよ、ルカ。それにね、あなたが白狼騎士団を選んだこと、わたくしは正しい選択であったと思っています。の騎士団は信用できます。いつかこちら側へ引き入れることができればと思うのですが……」

「え、本当ですか……? こちら側へ引き入れると言うのは……?」
 私は目をパチクリさせる。だって、白狼騎士団は魔女の森を……。

「ルカがスパイであることを明かして、協力してもらうのです。もしかしたら、戦争の火種を絶やすことができるかもしれません。戦争など起こらなければそれに越したことはないのですから」

「そう、ですね……」
「とはいえ、もうすぐで騎士団総会があるのですね。そこで皇帝陛下と対面し、あなたの率直な意見を日報に記してください。白狼騎士団のことは、それから考えましょう」
「承知致しました」

「ルカ、私はあなたのその素直な感性に期待をしています。あなたしか見えない景色があるはずです。それを見つけてきてください」
「私にしか見えない景色……?」

「はい。困ったら迷わず白狼騎士団の団長と副団長を頼るのです。きっとあなたの力になって下さいます」
「でも、女王陛下……!」

「どうしたのですか?」
「あっ……いえ、何でもありません」

「ルカ、あなたが裏部隊へ志願してきて、今まで必死に頑張ってきたこと、わたくしは見ておりました。あなたは魔女の森を滅ぼした元凶が憎いのですね」
「それは……!」

「ですが、それに囚われてはなりません。今のあなたは、この国にいた頃よりもずっと良い目をしています。その調子で、前を向いて生きるのですよ」
「はい……」

 女王陛下は、私が魔女の森のことを吹っ切れてないことをご存知だ。
 なのに、白狼騎士団を頼れと言う。何で? 女王陛下は白狼騎士団が魔女の森を滅ぼしたと思っていない?
 確かに魔女の森を滅ぼした元凶は何か分からないまま。唯一の生き残りの私は家に隠されていて、大事なところは見ていない。
 その後気を失って、気付いたらこのメドナ城で保護されていた。

 それでも当時の記録には白狼騎士団の出陣記録が残っているし、団長の名前もヴァレンタインという名。
 一体どういうことなんだろう? 女王陛下はそのことに対して多くを語ろうとはしてくださらない。
 
 私が自分で真実を見つけるしかない。

 私はモヤモヤした気持ちを抱えたまま、白狼騎士団の宿舎へと帰還した。

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