【完結】隣国にスパイとして乗り込み故郷の敵である騎士団長様へ復讐をしようとしたのにうっかり恋をしてしまいました

るあか

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第一章 白狼騎士団

12話 お手合わせ願います

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 それから私たちは更に連携を極め、ブラッドは剣をやめて大剣にした。
 そして訓練が終わっても3人でわいわい反省会をしたりと、仲もぐっと縮まった。

 入団して2ヶ月が経った頃、初めての模擬戦で負けた3パーティにリベンジをしたところ、圧勝で勝てるようになってしまった。

「お前らめちゃくちゃ強くなったなぁ! うわー、俺らも猛特訓だな」
 と、先輩。

 訓練場の隅では、オーウェン団長とラスさんが2人で並んでその模擬戦を見ている。
「どうよ、あの子たち」
 と、ラスさん。
「お前、上手く指導してくれたんだな。想像以上の仕上がりだ」
「いやいやぁ、オーウェンの人選力と彼らの努力の成果よ」
 ラスさんはそう言ってヘラヘラと笑っていた。

 私たち3人は、お互いに顔を見合わせて、皆でオーウェン団長の前へと駆け寄る。
「ん?」
 と、首を傾げる団長。
「オーウェン団長、お手合わせ願います!」
 私たちはそう揃って頭を下げた。ザワつく先輩方。

「いいだろう。3人まとめてかかってくるがいい」
 団長はそう即答した。
「俺も入った方がいい?」
 そう言うラスさんに「いや、俺1人でいい」と当たり前のように返す団長。
 くっ、私たち舐められてる……! 今後の暗殺のためにもオーウェン団長の実力をハッキリ見極めてやる。

 私はそう意気込んで、3人でオーウェン団長へ挑んだところ……。


 オーウェン団長へ1ミリもダメージを与えることができず、私たちは敗北した。

「つ、強すぎ……」
 私は四つん這いになり愕然とする。私、この人を暗殺しようとしてるの? 無理無理無理。

「ははは、お前たちもかなり成長したようだが、まだまだだったな。またいつでもかかってこい。待っているぞ」
 オーウェン団長はそう爽やかスマイルを浮かべて、ラスさんと共に訓練場から出ていった。

「ごめん、俺、秒で突破された」
 落ち込むブラッド。
「いやいや、僕たちも攻撃当てられてないから」
「そうですよ、ブラッドのせいじゃありません」
 励まし合う3人へ、先輩方も加わる。
「団長相手にあそこまで動けたのはさすがだぜ!」
「気にすんなよ、相手が悪すぎだ」

 オーウェン団長、一体なぜあんなにも強いのか……。
 あんなに強いのなら、魔女の森も簡単に滅ぼせそうだ。
 どこかでオーウェン団長がかたきではないんじゃないかと思い始めていたけど、彼の強さを目の当たりにして、やっぱりそうなのかも、と考えさせられた。


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