【完結】隣国にスパイとして乗り込み故郷の敵である騎士団長様へ復讐をしようとしたのにうっかり恋をしてしまいました

るあか

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第一章 白狼騎士団

7話 団長と副団長のご関係

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⸺⸺ルカの自室⸺⸺

 それにしても、宿屋の個室よりも全然広いお部屋だ。トイレやシャワールームも付いてるし、なんなら小さなキッチンまである。
 こんな立派な個室を新人にも1人で使わせてくれるなんて……さすが少数精鋭。他と違って1人にかけられるお金が違うんだな。

 私は荷物の整理をしながらあちこち物色した。正直、メドナ王国の裏部隊にいた時より待遇いいかも……。

 トイレとシャワールームはホントに助かる。しかもトイレはちゃんと男女兼用のタイプで、普通にできそうで安心した。
 シャワールームも、大浴場では誰とも鉢合わせる訳にはいかないので、ここもひとまず安心だ。
 大浴場も誰もいない時間とかが分かれば入れるんだけど、それはさすがに危険かなぁ。
 でもメドナ王国には大きいお風呂なんてなかったから、気になるんだよなぁ、大浴場。


 今日は荷物の整理や、宿舎の構造の把握、当番の仕事の確認などで比較的マッタリと過ごさせてもらえた。
 ちなみに自室以外は召使さん(男性)が色々やってくれるので、雑務みたいなこともほとんどない。

⸺⸺

 食堂での夕食は任務に行っている先輩方も多かったので、空いている食堂でいただいた。
 テオがいるのを発見したので隣に座ると、すぐにブラッドと、なぜかクラメル副団長が向かいへと座ってきた。

「ね、新人君たち、俺もいい?」
 いや、ダメって言えないでしょ。
「もちろんですよ。クラメル副団長も一緒に食べましょう」
 と、テオ。

「あー、それそれ、そのクラメル副団長って呼ばれるのあんま好きじゃなくて、みんな“ラスさん”って呼んでるから、それでお願いしてもいい?」
 どうやらこれが言いたかったようだ。
「はい、ラスさん」
「ラスさん」
「ラスさん!」

「はい、良い子~。ちなみにオーウェンの事は、みんな“オーウェン団長”って呼んでるよ」
 と、ラスさん。
「ラスさんは、オーウェン団長とは親しそうですよね」
 テオが尋ねる。彼は私の聞きたいこと全部聞いてくれるから助かるわ。

「俺とオーウェンはガキの頃からの家族ぐるみの親友なんだよ。幼馴染ってやつ。だから今更オーウェンが団長だからって敬えって言われてもちょっと無理だったわ。わざと敬語使ったりしたらアイツにも気持ち悪がられたし」
 ラスさんはそう言ってクスクスと笑っていた。

⸺⸺

 それから宿舎の色んな話になり、私はあるキャラ付けのためにもある質問をする。
「ラスさん、あの、僕……。1人で大浴場入りたいんですけど、みんなが入らないような時間とかってありますか?」
「えー、何で1人なんだよ、一緒に入ろーぜ?」
 と、ブラッド。
「ごめん、僕あんまそういうの得意じゃなくて……」
 私がそう言ってうつむくと、ラスさんは優しく微笑んでこう返してくれた。

「みんなだいたい夜10時までには入っちゃうよ。俺もできれば1人で入りたい派だからその気持ち分かるわ。だから俺はシャワーで済ましちゃうことが多いけど」
「そうなんですね、ありがとうございます。僕もシャワーで良いかなとは思ったんですが、たまには入りたいかなって……」
「そかそか」

「ブラッド、わざと10時過ぎに行っちゃダメですよ?」
「げっ、バレた?」
 テオの忠告に対し、ブラッドはてへっと頭をかく。
 コイツわざと鉢合わせようとしてたの!?
 うわー、ブラッドは最注意人物かも。


 その後も食べ終わってからもベラベラと会話を続けて、食堂が混んできたところで解散をした。


 
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