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第一章 白狼騎士団

6話 入団

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⸺⸺食堂⸺⸺

 赤髪イケメンに連れられて、私たち3人は食堂へとやって来た。
 するとそこにはザッと見た感じ100人弱くらいの先輩方が席に着いていた。
 あれ、白狼騎士団ってこれで全員? 12年前の資料にはもっとたくさん居たはずなんだけど……。

 赤髪イケメンは奥で立っているヴァレンタイン団長の隣まで私たちを誘導して、彼の隣へと立った。

 ヴァレンタイン団長が口を開く。
「お前たちよく来てくれた。今日からこの宿舎がお前たちの家となり、この76名の騎士団員らがお前たちの家族となる。この騎士団は再建中のため他の騎士団に比べてかなり人数は少ないが、少数精鋭の団として皇帝陛下の評価も高く受けている。お前たちも早くその少数精鋭の1人となることを俺は願っているぞ」

「はい!」
 私たち同期3人は同時に返事をする。

 再建中……そうだったんだ。それでこんな少ないのか。
 それでも1年に3人しか採用しないというのは、かなり厳選されたメンバーで構成されてるってことだ。
 現に、先輩方の気配は侮れない方ばかり。スパイとして入った身としては、かなり気が抜けないな……。

「じゃ、君ら自己紹介お願いね。テオバルト君から」
 と、赤髪のイケメン。

「はい、俺はテオバルト・シュタイン、18歳です」
 彼がそう名乗った瞬間、先輩方が一斉にざわめく。
 シュタイン!? シュタインってまさか……。

「お前ら静かにしろ! まだ彼の話は終わってないぞ!」
 ヴァレンタイン団長が一喝すると、その場は一瞬で静かになる。うわ、さすがの統率力。

「お騒がせしてすみません。皆様のお考え通り、俺は隣国『シュタイン王国』の第三王子です。縁あってこの白狼騎士団へと入団させていただくこととなりました。入団したからには、殉職の覚悟もできています。どうか皆様厳しくご指導のほど、よろしくお願い致します」
 テオは深々と礼をし、拍手喝采となった。
 テオ……貴族どころか、王族なんだけど……。

「テオバルト君ありがと。じゃ、次ブラッド君ね」
 良かった私じゃなくて。この後とか絶対嫌だわ。

「はっ、はい! ブラッド・ハンクス20歳、生まれも育ちもこの『帝都ヴァルトア』の平民っす。ずっと憧れだった白狼騎士団、3度目の正直で入団することができました! 精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!」
 先輩方から温かい拍手が送られる。テオの時と大差ない拍手。結構良い騎士団かも……。

「はいブラッド君ありがと。じゃぁ最後ルカ君ね」

「はい。僕はルカ・エマーソン18歳。テオとは反対隣の『メドナ王国』の元王宮兵です。こちらの白狼騎士団に憧れて、女王陛下ご承諾の下で、志願致しました。無事入団させていただき、これからは帝国のため尽力致しますので、どうかよろしくお願い致します」

 私は女王陛下から面接でこう言いなさい、と言われた内容を自分の言葉で伝えた。
 私が挨拶を終えると、テオ同様驚きながらも皆拍手を送ってくれた。隣国の王宮兵もちょっと驚くよね。でも、それは一応嘘ではないから。

「ん、ルカ君もありがと。じゃぁ君らに一応俺の紹介。俺は副騎士団長のラス・クラメル。君らみんな年も言ってるから言っておくと28歳です。騎士の称号は“中将”。弓を使います。一応侯爵の息子やってるけど、ウチそういう身分関係ないから。どっかで噂聞いて変に気、使われる前に先言っておくね」

 この赤髪イケメン……宿屋の女将さんが言ってた白狼騎士団のイケメンNo.2の副騎士団長様だったのか……。
 私は2人に合わせて会釈えしゃくをする。

「じゃぁ、最後オーウェンもちゃんと自己紹介してよ?」
 と、クラメル副団長。それに対しヴァレンタイン団長は軽くうなずいた。

「3人とも素敵な紹介感謝する。改めて俺はオーウェン・ヴァレンタイン、30歳。この白狼騎士団の団長であり、騎士の称号は“大将”だ。武器は槍を扱う。俺も皇帝陛下から公爵の身分を授かってはいるが、ラスが言ったようにそれは関係のないことだから、まぁ気にしないでくれ」

 公爵の身分……? お父上とかじゃなくて本人が!?
 私のかたき、色々ぶっ飛んでるんだけど……。

 何はともあれ、私はこの後色んな説明を受けて、与えられた自室でホッと一息つくのであった。



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