箱入りの魔法使い

しゅん

文字の大きさ
上 下
33 / 193
転入生

浮く

しおりを挟む
この場に錬金するために必要な媒体がある限り相手に地の利がある。

なら有利に進めるなら空だ。

「!?」

僕は足の鎧で相手の懐に入り込む。

咄嗟に防御壁を作るが、腕にも鎧を纏わせそれごと持ち上げる。

「空中なら君の大好きな連勤も出来ないわけだ」

後は防御壁さえ突破すれば地上に落ちる間は無防備。

一撃で仕留める。

魔法剣に鎧を纏わせる。

「くっ...!」

やはりここまで腫瘍を使うと負荷もすごい。

───

「今から暇かい?リッカ君」

「珍しいですね、ナツさんから誘いなんて」

それは学校が修繕で休校してた時、朝にナツさんが話しかけてきた。

「いやね、君の力はすごく強いんだけど、危険性もある。使わせたくないってのが本音だけどいざと言う時には必ず必要になる力だ、しかもリッカ君の魔力量は子供のように少ない、だから特訓しようと思ってね」

もちろん僕はそれに乗った。

ナツさんの言う通りだし、他の人に危害は加えたくない。

もうあんなことはごめんなんだ。

サフィのことを思い出す。

あの顔、傷、僕の求めているものとは真反対にある。

「ここら辺でいいか」

「そういえばナツさんが僕を特訓してくれるんですか?戦いは嫌いって言ってましたが」

この人と戦えるのならありがたいが、振る舞いからして今回もそんなことでは無いようだ。

「まずは魔法剣かな」

「魔法剣ですか...」

本で見た、できないはずは無い。

あれは中級魔法、つまり十歳程度の人間なら使えて当たり前の魔法だ。

僕がまだカイブといた時はよく使っていた。

しかしこれは形状維持に魔力の消費が激しいから好まないのだ。

僕はすんなりと魔法剣を作った。

「ふぅん...」

普通の魔法剣のはずだがナツさんは何かありげに見つめてくる。

「もしかしてリッカ君、魔法下手くそ?」

キッパリ言われた。

確かに箱入りだから下手かもしれないが、負けじとちょっと変化を入れてみる。

「まぁ出来なくても大丈夫だよ、今から君にそこら辺を上手く伝えるね」

恥ずかしい。

その後ナツさんが教えてくれたのは魔法剣の形状は維持するのではなく、循環させることらしい。

「そうだな、上手く言うなら見えない箱を作る感じだね、箱がなければ魔法は空気中に散らばってしまって形状を維持できない。箱があれば魔法は散らばらなしさらにその中で循環させれば攻撃力も変わるし魔力の温存にもなる」

今まで本ばかりを読んで、独学で全てやってきた。

「分かりやすいですね、ナツさん」

人から教わるってのはいいものだ。

昔はよくカイブに魔法を教えてと言っていたが彼は1度も教えてくれなかったし、彼の魔法すら見たことない。

『ねぇカイブ、魔法教えてよ!』

『リッカ様はもう少し魔法より剣技の方を何とかしてくだされ』

『ケチー』

そこでカイブがはぁとため息をついた後、仕事があるので、と僕から逃げるようにどこかへと行くのだ。

「懐かしいなぁ」

そして空を見上げる。

お母さんもそこにいるんだろう?

その穴を見て、未来を思い馳せる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~ 「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」  国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。  ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。  その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。  だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。  城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。  この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限
ファンタジー
 俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。  人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。  そんな俺は、突如病に倒れ死亡。  次に気が付いたときそこには神様がいた。  どうやら、異世界転生ができるらしい。  よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。  ……なんて、思っていた時が、ありました。  なんで、奴隷スタートなんだよ。  最底辺過ぎる。  そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。  それは、新たな俺には名前がない。  そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。  それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。  まぁ、いろいろやってみようと思う。  これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。

ある平凡な女、転生する

眼鏡から鱗
ファンタジー
平々凡々な暮らしをしていた私。 しかし、会社帰りに事故ってお陀仏。 次に、気がついたらとっても良い部屋でした。 えっ、なんで? ※ゆる〜く、頭空っぽにして読んで下さい(笑) ※大変更新が遅いので申し訳ないですが、気長にお待ちください。 ★作品の中にある画像は、全てAI生成にて貼り付けたものとなります。イメージですので顔や服装については、皆様のご想像で脳内変換を宜しくお願いします。★

処理中です...