俺とアーサー王

しゅん

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1日目「高校生と騎士王」

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俺の前にはちゃぶ台とその向こうに──
ゴツイ鎧を着た金髪イケメンの騎士···いや、騎士王のアーサーがいる。
高校生から一人暮らしを始め、とりあえず寝て、朝起きたら何かいたのだ。
最初はやべぇコスプレイヤーが俺ん家で寝てるって思ったけど、なんやかんやで山に行って腰に刺さってる聖剣らしいエクスカリバーを使わせたら、山が1つ吹っ飛んだのだ。
それからは、俺の家族?同居人?として暮らすことになっている。
そして一番の問題が──
「何かすることはないのか、主よ」
かまちょである。後俺の事を『主』とか言ってくる。
正直、騎士王に構っている暇なんてないし、ネットサーフィンしてるのだから、邪魔しないで欲しい。
「寝てろ」
これしか命令することは無い、というかキャメロットは大丈夫なのかと言ってやりたい。
「寝ることは飽きたため、主に聞いているのだ」
コイツ、最近頭良くなりやがって。
と、そこで俺は天才的なことを思いついた。
「お前エクスカリバーで林業でもしてこいよ、お前なら稼げる、成功するぞ」
これだ、と言わんばかりに俺は提案する。
「我が聖剣は民を守るためにあるのです。そんな雑用のようなことには使えません」
「とか言いながらお前民関係なく山消し飛ばしただろ」

あれから、しばらく経ってもう夕飯の時間帯。
「さて、買い物でも行くか」
「私も行きます」
いつもは寝てる間に買い物に行くからこんな弊害は無いのだが
「お前さ、そんなガシャガシャ鳴る鎧着ながら行くの?頭おかしく見えるからやめろ、脱ぐなら来ていいぞ」
こんなゴツイ服というか鎧着ながらスーパーなんて言ったら明日のニュースに載ってしまうかもしれん。
「主の命令とはいえ拒否します、買い物途中に戦になった場合どうするのですか」
「お前何言ってんの」
結局、俺一人で行った。

「主、今日のご飯は何ですか」
「今日は大根煮だよ」
グツグツと俺の前の鍋が音を立てている。
「ふむ、大根ですか···あれはあまり美味しくないのですが、煮ることによって美味しくなるのですか?」
「あぁ、まあな、てかお前美味しくないとか言うな、俺の料理が不味いみたいに聞こえるから」
大根煮を2つ分の皿に盛り付け、ご飯をよそい、ちゃぶ台に運ぶ。
「はいよ」
皿には味噌で味付けして茶色の大根にうずらの卵がある。
「「いただきます」」
アーサーがフォークで大根を刺して口に運ぶ。そろそろ箸の持ち方を習って欲しい。
「うっ!これは!」
俺は目をキラキラさせながらアーサーの感想を待つ。
いい反応!大根煮は成功したか!?
「美味しそうな見た目のくせに私の嫌いな味噌の味付けによって──」
「まずいんだな、回りくどく言わなくていいから正直に言ってくれ」
アーサーがフォークを置くと、
「主、クソまずいです。」
真っ直ぐ俺の目を見ながら言ってきた。
「お、おぉ、感想ありがとよ」
改めて言われると悲しい、泣きたくなってくる。
俺も箸で大根を摘んで食べる。
「···次から冷凍食品買ってくるよ」
「この卵は美味しいですよ、主」
ありがとよ!

「ういぃー···」
やっぱり日本人は風呂が一番の休息所かもしれない。
「主、私も入っていいですか」
うーん、あいつ入ると風呂が狭いんだがもう俺も出るしいいか。
「おう、いいぞー」
ガシャ
ゆっくり風呂の扉が開く、ここから出てくる人が女の人だったらどれだけ良かっただろうとか思ってしまう。
「ですよねー、ってお前何で勃ってんの」
何かビンビンしてますよ、大丈夫ですか。
「問題ないです、主、少し激しい運動をしていたので」
「お、おう、それ以上は聞かないでおいてあげるわ」
そそくさと俺は風呂を出た。

2人分の布団を敷いて、寝る。
「主、明日の朝ごはんはステーキがいいです」
「分かった、ふりかけってことな」
これはこれで、俺はこの生活が嫌いじゃない。
「主、トイレ流し忘れてしまったので明日の朝流しておいてください」
コイツ、家から放り出すぞ。

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