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八章 訪問者①
反抗
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僕も……僕も、宵衣ちゃんのことを……信じたい。
宵衣ちゃんが、いれば、平気だと。
ゆっくりと、階段を降りてゆく。
下から、義姉さんの大きな声が聞こえてくる。
「あのねぇ、私は親族よ?! あわせろって言ってんの!」
体を思わずびくっと震わせ、その場に座り込む。
どうやら、宵衣ちゃんとの話し合いが並行戦場を辿り続け、痺れを切らしたらしい。
こ、怖い……。
「クゥ」
シーは、僕に寄り添って、笑って見せた。思わず、さっきとは違う涙が溢れる。
「……行こう」
~ 宵衣side ~
気がつくと、階段には人影があった。
「リューくん!」
宵衣が一番に声を上げ、それに釣られて皆が顔をあげる。
隆は、少し怯えた様子で、急ぎ足でシキを連れ、階段を降りてきた。そのすぐ後、宵衣の近くに立つ。
ボクは、リューくんが降りてきたことが意外だった。だって、彼女はリューくんが家にいたくないと思った決定打を打った人だから。
出てきた。
リューくんが、自ら。
トラウマの前に。
……、…………そっか。
よかったね、リューくん。
乗り越える気になれたんだ。
よかったね、本当に、よかった。
思わず笑みが溢れる。
「隆!!!!」
義姉は、大声を上げ、リューくんは、肩をびくりと振るわせる。
「シー」
小さな声でボクがそう言うと、コク、と糸吉は頷いた。
リューくんのこと、よろしくね?
「さぁ、みんな、さがろーか?」
「えっ」
「なんでぇ?」
二人が不服そうだけど、ユーキんは、わかってくれたみたいだ。
「いいから」
と、言って二人の首根っこを掴んで引っ張る。
わぁお、さすがだね。
センセーと、あいつもそんな感じだったなぁ。ゆっきーもだけど♪
いっつも、首根っこを掴む人は決まってるんだよね。
僕は三人が引き上げるのを見守って、リューくんに目線を送る。
「大丈夫?」
口パクで尋ねたら、泣きそうな目でこちらをみたから、僕はそこにいることにした。
先生には退場願おう。
「センセ」
「やだね」
「……ボクが死んでもいーんだ?」
「はぁ……。お前さぁ!」
「ふっふふ~ん♪」
「はいはい」
そう言って、センセーはジト目でこっちをみながら、戻って行った。
「あんたはどうすんの?」
心底嫌そうな顔をして彼女は聞く。
「え、いるよ?」
あったりまえじゃーん。
だってかわいいかわいいボクのリューくんが傷つけられるんだよー?
許すわけねーだろ。
「え……ぁ……」
リューくんは震えていた。
糸吉は、そんなリューくんに寄り添ってる。
「まぁいいわ」
と、ため息をついて髪をかきあげるとりおは大声を出した。
「隆!帰ってきなさい!」
リューくんを家に連れ戻したいのか。
「や……やだ……」
「は?黙りなさいよ! あなたの意見はいらないの!おばさんが望んでいるからそれだけ、わかるでしょう!?」
なにをヒステリックに叫んでるのこいつ。
馬鹿みたい。
「……っ」
「あなたは、叔母さんと叔父さんの息子なのよね!?二番目であれなんであれ、それに私の弟なのよ!」
ヒステリックに叫び散らす。
「言うことを聞きなさい!あんたは人形で別に構わないの!当たり前だけどあんたに自由はないわ!わかるわよね!?」
その女を殴ろうと思う衝動を抑え込んで、ボクはじっとリューくんを待って、耐えた。
宵衣ちゃんが、いれば、平気だと。
ゆっくりと、階段を降りてゆく。
下から、義姉さんの大きな声が聞こえてくる。
「あのねぇ、私は親族よ?! あわせろって言ってんの!」
体を思わずびくっと震わせ、その場に座り込む。
どうやら、宵衣ちゃんとの話し合いが並行戦場を辿り続け、痺れを切らしたらしい。
こ、怖い……。
「クゥ」
シーは、僕に寄り添って、笑って見せた。思わず、さっきとは違う涙が溢れる。
「……行こう」
~ 宵衣side ~
気がつくと、階段には人影があった。
「リューくん!」
宵衣が一番に声を上げ、それに釣られて皆が顔をあげる。
隆は、少し怯えた様子で、急ぎ足でシキを連れ、階段を降りてきた。そのすぐ後、宵衣の近くに立つ。
ボクは、リューくんが降りてきたことが意外だった。だって、彼女はリューくんが家にいたくないと思った決定打を打った人だから。
出てきた。
リューくんが、自ら。
トラウマの前に。
……、…………そっか。
よかったね、リューくん。
乗り越える気になれたんだ。
よかったね、本当に、よかった。
思わず笑みが溢れる。
「隆!!!!」
義姉は、大声を上げ、リューくんは、肩をびくりと振るわせる。
「シー」
小さな声でボクがそう言うと、コク、と糸吉は頷いた。
リューくんのこと、よろしくね?
「さぁ、みんな、さがろーか?」
「えっ」
「なんでぇ?」
二人が不服そうだけど、ユーキんは、わかってくれたみたいだ。
「いいから」
と、言って二人の首根っこを掴んで引っ張る。
わぁお、さすがだね。
センセーと、あいつもそんな感じだったなぁ。ゆっきーもだけど♪
いっつも、首根っこを掴む人は決まってるんだよね。
僕は三人が引き上げるのを見守って、リューくんに目線を送る。
「大丈夫?」
口パクで尋ねたら、泣きそうな目でこちらをみたから、僕はそこにいることにした。
先生には退場願おう。
「センセ」
「やだね」
「……ボクが死んでもいーんだ?」
「はぁ……。お前さぁ!」
「ふっふふ~ん♪」
「はいはい」
そう言って、センセーはジト目でこっちをみながら、戻って行った。
「あんたはどうすんの?」
心底嫌そうな顔をして彼女は聞く。
「え、いるよ?」
あったりまえじゃーん。
だってかわいいかわいいボクのリューくんが傷つけられるんだよー?
許すわけねーだろ。
「え……ぁ……」
リューくんは震えていた。
糸吉は、そんなリューくんに寄り添ってる。
「まぁいいわ」
と、ため息をついて髪をかきあげるとりおは大声を出した。
「隆!帰ってきなさい!」
リューくんを家に連れ戻したいのか。
「や……やだ……」
「は?黙りなさいよ! あなたの意見はいらないの!おばさんが望んでいるからそれだけ、わかるでしょう!?」
なにをヒステリックに叫んでるのこいつ。
馬鹿みたい。
「……っ」
「あなたは、叔母さんと叔父さんの息子なのよね!?二番目であれなんであれ、それに私の弟なのよ!」
ヒステリックに叫び散らす。
「言うことを聞きなさい!あんたは人形で別に構わないの!当たり前だけどあんたに自由はないわ!わかるわよね!?」
その女を殴ろうと思う衝動を抑え込んで、ボクはじっとリューくんを待って、耐えた。
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