死に損ないの春吹荘 

ちあ

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三章 休みの間

GW、開始です?

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 さぁて、みなさん、凄いことになりましたよ。また生徒会が仕掛けてきたのかーーーと思いきや、逆になにもないんです!
 え、なんで?(普通はなにも仕掛けられません)
 まぁ、それはそうでしょう。だって今、ゴールデンウィーク初日ですから。



 いや、ゴールデンウィークといえど、やることはない。というか、いつもと同じことしかしなくね?
 うん、特別感あるけどさ、要するに単なる長い休日じゃん?だから、もうフツーに春吹荘にいるしかないのよね。うん、つまんない!!!
「あの~」
 私は食卓を囲みながら、口にした。朝起きてからずーっと思っていたことを。
「ゴールデンウィークなのに、ふつーすぎません?」
 そう疑問を唱えると、ソラと宵衣先輩がガタッと椅子を鳴らして立ち上がる。
「「それな!!!」」
 わぁ~お。マジか。マジですかぁ。
 こんなコンビネーションを今見るとは私も想像してなかったわ~。
「「座れ」」
 続いてユウと灰咲先生が同時に、ユウがソラに、先生が先輩に座るように促す。
 え、ここでもコンビネーション技ですか。なんか、もう……似すぎてない?
 ソラと宵衣先輩は、渋々と言った感じで、席に座る。
 あぁ、なんだろうこの保護者と、子供的な感じは。いや、灰咲先生と宵衣先輩はまぁその通りなんだけどさ。
「で~? クーちゃんはどこに行きたいんだい?」
「え?」
 どこに行きたい?
 え、いや、私はこのままでいーのか聞いただけではないでしょうか?
「どーせならさ、お出かけしよーぜ」
 そんな笑顔でお出かけしよーぜ、と言われましても……。まぁ、いーけどね。
「ミカちゃん、駄目よ。言ったでしょう、お出かけ禁止って」
「えぇ~」
 な、なんですか、それ。いつの間にそんな鬼畜な話があったんですか!
「ここ、経費落とされちゃってね。お出かけするには、お金がかかるのよ」
 なるほどね~、聞きたくなかったマネー問題。
 てか、なにもしてきてないかと思いきや、なんと、経費という面で圧力かけ始めましたか、生徒会!
「てことで、ここから遠出は不可能だ」
「ちぇっ」
「つまんないの~」
 宵衣先輩?わかりますが、舌打ちはやめましょう。
 ソラくん?先生たちも大変なんだから、そんな大袈裟に嫌な顔しないの。
 ……似てるな、この二人。ほんっとーに。
「ふぅん、じゃあさ~……いーこと思い付いたにゃ♪」
 宵衣先輩?悪役じみた表情、やめて。マジで、あのー、味方なのか敵なのかだんだんとわからなくなっていくので。やめてください。
「じゃあさ~、遊園地とかならありなわけでしょ?」
 なんと、ここで打開策を打ち出しました、宵衣先輩。いやもう、遊びというか、娯楽に対するその心身誠意、学業に向けてください。
「……どうなんだ?」
 灰咲先生が雪芽さんに問う。
 折れるしかないよねー、これは。
「まぁ、近場に遊園地もあるしその程度ならいけるわよ」
 難なくクリアー!いやはや、宵衣先輩すげぇ。
「「やったぁー」」
 宵衣先輩とソラ、再び立ち上がり、ガッツポーズ。
「「こら」」
 またまた、止められます。
「よく遊園地ではしゃげるな……」
 ユウはあきれ気味にツッコむものの、私もはしゃいでる!ごめん!
 だ、だって遊園地なんて、四歳くらいの頃以来だし?!
 いやぁ、自ら避けておきながらなんなんだよって話ではありますが、まぁ、いいでしょう!(いいとしよう、もう!)
「うるさい」
 瞬先輩が冷たい一言を放つ。
 思わず萎縮しちゃいそうなやつね。
 けれどもめげない宵衣先輩。
「いいじゃないか~。なんか珍しく結構な人数が揃ってるんだし~」
「……あんたが連行したんだろうが」
 あ、そうなの?
 いや、いつも休日は部屋で食事を取る瞬先輩が何故にいるかと思っていたら、宵衣先輩、あんた連行してきたんですか。
 どれだけ自由奔放なんだ、ここの最年長。
「いーじゃん♪」
 そんな、呑気で横暴な最年長の言葉に呆れながらもゴールデンウィークが始まった。
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