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二章 学校での立場とは
理不尽テスト
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始業式も無事終わり、私たちは中二の学校生活をまぁまぁ楽しく過ごしていた。周りから少し距離を置かれているような気はするものの、特にこれといった実害もなく、いじめもなくすんでいて、まぁ楽だ。
でもまぁ、出来損ない組の括りである以上、そのまま楽な生活をーーーとは、いかないらしい。
「……マジで?」
私は思わずそう呟かざるを得なかった。
今、私たちは、リビング&ダイニングの部屋で、各々が好きなところに座り、話し合いをしている。テストのこととかね。
うちの学校は、学校に馴染んできてから、中学の勉強を要領良くできているかのテストがある。いや、あるのは知ってた。知ってたんだけどね……
「ほんとに、これってあり?」
ソラまで呟いた。
「マジだ」
今、どうしてこんな私とソラ(この中で特に勉強できないチーム)が顔面蒼白になっているかと言いますと、事の発端は、今日の下校前のお話に遡る。
「今日は、これで終わりだ。それで、連絡がある」
終わりと言っておきながら、まだあるんですかい、伊勢田先生。
まぁ別にそれくらいいーけどさぁ。
「今年も、毎年恒例学期始めのテストを行う」
……知らなかったなぁ、ヤバ。まぁ、範囲は説明されるだろうし、みんなに教えて貰えばヘーキか。
「それで、今回の範囲だが、公表しないことになる」
…………は?
「校内での範囲の話は禁止。忘れたものは自己責任として、責任感を持たせるためだ。 詳しい内容は、寮の方で発表される」
…………はぁ……(心からのため息)。はいはいはいはい。薄々気付いてますよ!
寮と荘の格差をちゃんと表すために、こうやって縛をするんでしょ?でもさぁ、無理じゃね?
……というか、これ、寮で発表ってことは、荘で、わかるんじゃ?
そんなことをわずかに願っていたけれど、今、この瞬間に、灰咲先生によって打ち砕かれた。
「範囲は不明だ」
それが先程の状況です。
「ヤバない?」
「詰んだね」
「お前らなぁ……」
私とソラはもう、赤点の覚悟をしてるよ!安心して!(何に?)
「そらっちは、いーけどさぁ。クーちゃん、罰ゲームの存在、知ってる?」
宵衣先輩が意味深な顔をして訪ねる。
「罰ゲーム?なんですか、それ」
「やっぱり~?」
宵衣先輩がそういうと、ユウは、「あぁ……」と死にそうな声をあげた。
え、なに?やばいの?え、死ぬ?
「うちの学校、予習が当たり前だからテストで習ってねぇとこ出るんだよ」
なにそれ。もうテストじゃないじゃん。
「赤点取るとね、罰ゲームってのがあってね、点数を公開処刑されるのと、一週間、学校の言いなりなんだ」
「えーと、てことは?」
「学校の理不尽に物言いできないどころか、駒のように使われる」
……最っ悪やん。
「うん、さいっあく~」
マジかぁ、死ぬな、私。勉強できんのよ。どしよ?
「てか、算数は駄目人がどうにかできない?」
それだ!!!算数が死にさえしなければ、国語はギリいけるし、最悪の敵が消える!
「無理だな。高等部はおいといて、中等部に手出しできねー。ま、範囲はだいたい2、3回り大きくとったらわかる」
2、3回りかぁ、やば。死ぬやん。
「やまかけ、しよーかい?」
「え?」
「んぁ?」
ソラ、んぁ?ってさ、寝起きの声じゃん?寝てたの、君。
「使ってOKの教材教えてくれ。山掛けしてやるよ」
ふふん、と不敵に宵衣先輩は悪い笑みを浮かべる。
なんか、この人さぁ、ちゃんとしてないように見えてるけど、こーゆーときはなんか、成績とか関係なく頼りになる感あるんだよね。
「教材のメモはここに~」
そう言って、灰咲先生は、紙を差し出す。なんということでしょう、ここのメンツ、用意周到です。
学校を敵に回そうと、立場を使い、悪知恵を使い、反抗していくではありませんか。
もう、頼もしいのですが!!!
「あの、帝」
タメ口でいいって言われたけど、まだ戸惑ってたのね、瞬先輩。
「なぁんだい?」
「うちの担任、美術なんだけど、俺のこと、別に敵視してないから、範囲いってきた。傾向、多分わかると思う」
なんっっっと、裏切りです!
いやまぁ、嬉しいけどね!!!
「ナイス・マッくん!」
指をパチンっと鳴らし、宵衣先輩は笑う。
「んじゃ、てめぇら、習ったとこ教えろ。そこから分析やるぞ」
「「宿題はぁ~……」」
私とソラはそう問いかける。私たち、勉強ダメ組だからね。
「お前らは、自分のことだけやってろ」
「ボクらでチャーンと練ってあげる」
「AIも使えばなんとかなるな」
「それなら、神坂さんに頼めば」
「ボクが行ってくるね!」
ここの人たち、怖すぎん?いや、もう頼もしいけどさ、ここまで頭脳があってさ、推察できるなんてさ、すごすぎね?
そしてその日から、理不尽テストに向けての対決が始まった。
私とソラの勉強ダメ組は、交代制で、先輩や先生、ユウから勉強を見てもらい、天才肌で教えるのが苦手な宵衣先輩と人が苦手な神坂先輩は、神坂先輩の部屋に篭って、どこが出るか、やまを張っていた。
「ここの公式違う。はぁ……お前、基礎がダメだな」
……わかってます。知ってます。クズな灰咲先生に言われる私がやばいのも自覚済みです。
「ここ、中1初期のだろー」
「うるさいよぉ、駄目人ー」
ソラもか。
「えーと、ソラは……あ、方程式ね」
「クレちゃんどこ?」
「方程式のもう少し応用バージョン」
「二人まとめて一緒にやるか。陽崎は復習がてらな」
「「はぁーい」」
そんなこんなで、数日経った。
「テスト、開始!」
わかる問題でありますよーに!
と思ってたんだけどもね、見事に先輩たちのやまかけ、当たりました!
しかも大当たり。
私が苦手で、ヤンなきゃダメかって思ってたとこ、一部出ないから後回しでいいとか言われたんだけど、見事にそれが出なくて、できるよ?っていってても、完璧にしろって言われたところがちょうど出るっていう。
先輩、ユウ、先生、ほんっっっとにありがとう!
私は心の中でそう思いながらテストに立ち向かったのだった。
「終了!」
はぁぁぁー!怖かったぁぁぁぁ……。まぁ、空白は少なかったし、結構解けたけどさ。
机に突っ伏して、やっと終わったーと思っていたら横から衝撃が。
「ぬぁっ?!」
「クレちゃぁんっ!」
はい、お察しの通り、ソラくんですね。はい。
「なんか、解けたよ?!」
「よかったね?」
な、なんで疑問形?なんで驚いてんの?
「範囲わかってる時より解けた!」
うん、謎だね。うん、謎。君、おかしいな。
「それは誰のおかげだ?」
パンっと、テキストを丸めた筒で、ソラの頭をはたきながら、ユウはいう。
今回、結構みんな活躍してたもんねー。
すると、なぜだか人もまばらになった我が教室中等部二年C組に、続々と人が集まってくるではありませんか。
ソラやユウをはじめとして、宵衣先輩、灰咲先生、瞬先輩までも入ってくるではありませんか! なぜだかわからないけど、今回のテスト用紙を持って。
「さぁて、答え合わせだー」
「いやいや、答えないやん!」
「ナイスツッコミだ、クーちゃん!だが惜しい!」
なにが?え、まじなにが?
「答えな、なくてもいけるに決まってんだろ。宵衣だぞ?」
「帝、一応学園トップだからな」
……そうっすね、主席様ですもんね。
「で、何故テストを持ってんだ」
それな!です、ユウ。私、日本語おかしいな、なんか。
「そっれっはっねー」
「職権乱用だ」
マジか。マジですか、瞬先輩。何故貴方が知っているかはともかく、マジでやったの?
「ボケ。ちゃうわ。 今回、マジ差別あったろ?あれ改善は無理だからさー、ちょいとな」
手をくいっとやってしたり顔をする灰咲先生。
なにをしたかは想像に任せるということですね。でも、私、わからないんです。何故かって?それはーーー想像力が乏しいからだよ!(泣)
ー 数十分後 ー
私とソラはテストに書いたであろう答えを紙に書いて、それから暇なので、じゃんけんやら、なつかしのチャチャツボやら、鍋鍋やらをして遊んだ。
選んでる遊び、渋いなぁ……ww
「んーとね、クーちゃんの算数が」
「はぇ、はいっ」
はぇってなんだ?自分でも思うけど。でも、緊張するじゃん、だって苦手の算数様ですよ???
「いつもなん点くらい?」
「えーと……三十八とか、四十八とか」
「何故に例えが十点差あるだい?」
さぁ?
私が首を少し傾げると、宵衣先輩は少し苦笑をして、紙を見る。
「点数は、六十九点。選択問題が間違ってたり、計算ミスとか、小数の計算ミスとか、あったから、これは確かじゃないけど、だいたいそのくらい。赤点は回避かな」
「やったぁー!!」
私はガッツポーズをとり、飛び跳ねる。
「いや、誇れる点じゃねぇかんな?」
「でも、範囲なしでそれはすごいよね~」
「やまかけのおかげだろ」
「俺、職権乱用した甲斐あったわー」
ヤバイことを言っている人もいるが良いだろう!ツッコミは休みだ!
「次は、そらっちね。ダメな教科は、国語だっけ?」
それぞれダメな教科の点数聞いて、安心するって会だね、今回。
この瞬間、ソラが少し目を細めたのは、一人を除いて誰も気がつかなかった。
「いつもはねー、三十六点とか、二十四点とかだよ♪」
「だから。キミも何故に十二点差? まぁいーか。 えっと、五十八点だね。漢字ミスが目立つし、誤字脱字、接続語がビミョー。これは多分、今と特に回答は変わらないと思うな♪まぁ赤点回避は確実だね。 B組の場合、三十点以下以外は赤点にならないから」
B組うらやましい。まぁ、学力より他の才能メインできてるからなんだろうけど。
「ってか、そーゆーことは……」
「うん、心配な二人がセーフだ。だから、今回、春吹荘赤点回避!!!」
「「やったぁ!!!」」
私とソラは宵衣先輩の言葉を聞くや否や、飛び上がって、抱き合って、その結果を喜んだのだった。
ー結果発表日ー
またまた下校直前、通知表のようなものが配られる。これに、テストの結果が書かれているらしい。
えーと、なになに?
『 中等部 二年 C組 十八番
陽崎紅羽ーヒサキクレハ さん
貴方の点数 二百九十一 点
平均の点数 三百十三 点
学年順位 七十九位/百二十三名中
前回との比較 ーーー点 UP・DOUN
科目 貴方の点数/平均
国語 八十二点/八十六点
算数 六十四点/七十一点
社会 七十三点/七十四点
理科 七十一点/八十二点』
え、マジで?!平均には及ばずですが、そこそこ高いんだけどっ!え、今、マジで感動している!
前回のテスト、この学園で受けてないので比較とかできないんですけど、私にしたら結構がんばった点数だよ!
ガラガラッ!!!!
案の定、お開きになった瞬間、クラスの扉が開き、みんながまだいる中でソラが飛び込んでくる。
流石に私も慣れたので、受け身を取って、衝撃でコケはしない。
「見てみて!点数、ヤバイ!」
「どっち系?」
ソラの場合は、点数がダメでもこのテンションになりそうだからなぁ。今回に限ってないけどさ。
「これ!」
そう言って、ソラは通知表もどきを私に見せてくる。
「いや、至近距離すぎてわかんないよぉ、もう」
少し、手を遠ざけて、ソラの通知表もどきを見る。
『
貴方の点数 二百八十三 点
平均の点数 三百十三 点
学年順位 八十五位/百二十三名中
前回との比較 五十九点 UP
科目 貴方の点数/平均
国語 五十九点/八十六点
算数 六十九点/七十一点
社会 七十一点/七十四点
理科 八十四点/八十二点』
「うわっ、すご!」
「でしょっ?!」
いや、驚いたのは、理科が平均を超えてることなんだけどね!
「理科に驚いてるだけだろ」
ユウが通知表もどきを丸め、ソラの頭をぽかっと叩く。それ、いつもやってるよねー。
「平均より高いのがあるとは……」
「クーちゃん何位?」
「私は、えーと……七十九位」
「平均以上、ある?」
「ない!」
ほらな、と言いたげな顔でソラを見るユウ。ほんっとあんた、察しいいよね。
「ユウは?」
「俺?流石にお前らに時間かけすぎたわ」
「なにか下がったの?」
「点数の方な」
「順位は?」
「いやぁ、さすがにやまかけは完璧じゃねぇな。 一部はずれてさ、最終問題時間かけすぎちまった」
それ、私と多分ソラ、一切手をつけてないやつだね。他の見直しに回せって言われたし。
「何点で、何位?」
「なんい~?」
「俺? ここでいうことじゃねぇけど」
そう言ってユウは声を潜めて、耳元に顔を近づけて教えてくれた。
「三百八十二点で、一位」
「「んなっ!?」」
私たちは目を見開き、そのとき、改めて進学校でそんな点数をとってしまうユウを見直したのだった。
ちなみに、
宵衣先輩は三百九十五点で学年一位をキープ。ちなみに、落とした五点分は、灰咲先生が日頃の恨みも含めてか、そこそこの字なのに、汚いからって減点したらしい(生徒会長は、普通に間違えたりして一点差で二位になったらしい)。
瞬先輩は、社会と国語の記述に突っかかりつつも、三百八十八点で、こちらも一位。
私たちは、まぁ、理不尽テストに勝利したわけです♪
これで許されるわけ……ないよね(もう次回なにされるかが怖いんだけどすでに!!!)。
でもまぁ、出来損ない組の括りである以上、そのまま楽な生活をーーーとは、いかないらしい。
「……マジで?」
私は思わずそう呟かざるを得なかった。
今、私たちは、リビング&ダイニングの部屋で、各々が好きなところに座り、話し合いをしている。テストのこととかね。
うちの学校は、学校に馴染んできてから、中学の勉強を要領良くできているかのテストがある。いや、あるのは知ってた。知ってたんだけどね……
「ほんとに、これってあり?」
ソラまで呟いた。
「マジだ」
今、どうしてこんな私とソラ(この中で特に勉強できないチーム)が顔面蒼白になっているかと言いますと、事の発端は、今日の下校前のお話に遡る。
「今日は、これで終わりだ。それで、連絡がある」
終わりと言っておきながら、まだあるんですかい、伊勢田先生。
まぁ別にそれくらいいーけどさぁ。
「今年も、毎年恒例学期始めのテストを行う」
……知らなかったなぁ、ヤバ。まぁ、範囲は説明されるだろうし、みんなに教えて貰えばヘーキか。
「それで、今回の範囲だが、公表しないことになる」
…………は?
「校内での範囲の話は禁止。忘れたものは自己責任として、責任感を持たせるためだ。 詳しい内容は、寮の方で発表される」
…………はぁ……(心からのため息)。はいはいはいはい。薄々気付いてますよ!
寮と荘の格差をちゃんと表すために、こうやって縛をするんでしょ?でもさぁ、無理じゃね?
……というか、これ、寮で発表ってことは、荘で、わかるんじゃ?
そんなことをわずかに願っていたけれど、今、この瞬間に、灰咲先生によって打ち砕かれた。
「範囲は不明だ」
それが先程の状況です。
「ヤバない?」
「詰んだね」
「お前らなぁ……」
私とソラはもう、赤点の覚悟をしてるよ!安心して!(何に?)
「そらっちは、いーけどさぁ。クーちゃん、罰ゲームの存在、知ってる?」
宵衣先輩が意味深な顔をして訪ねる。
「罰ゲーム?なんですか、それ」
「やっぱり~?」
宵衣先輩がそういうと、ユウは、「あぁ……」と死にそうな声をあげた。
え、なに?やばいの?え、死ぬ?
「うちの学校、予習が当たり前だからテストで習ってねぇとこ出るんだよ」
なにそれ。もうテストじゃないじゃん。
「赤点取るとね、罰ゲームってのがあってね、点数を公開処刑されるのと、一週間、学校の言いなりなんだ」
「えーと、てことは?」
「学校の理不尽に物言いできないどころか、駒のように使われる」
……最っ悪やん。
「うん、さいっあく~」
マジかぁ、死ぬな、私。勉強できんのよ。どしよ?
「てか、算数は駄目人がどうにかできない?」
それだ!!!算数が死にさえしなければ、国語はギリいけるし、最悪の敵が消える!
「無理だな。高等部はおいといて、中等部に手出しできねー。ま、範囲はだいたい2、3回り大きくとったらわかる」
2、3回りかぁ、やば。死ぬやん。
「やまかけ、しよーかい?」
「え?」
「んぁ?」
ソラ、んぁ?ってさ、寝起きの声じゃん?寝てたの、君。
「使ってOKの教材教えてくれ。山掛けしてやるよ」
ふふん、と不敵に宵衣先輩は悪い笑みを浮かべる。
なんか、この人さぁ、ちゃんとしてないように見えてるけど、こーゆーときはなんか、成績とか関係なく頼りになる感あるんだよね。
「教材のメモはここに~」
そう言って、灰咲先生は、紙を差し出す。なんということでしょう、ここのメンツ、用意周到です。
学校を敵に回そうと、立場を使い、悪知恵を使い、反抗していくではありませんか。
もう、頼もしいのですが!!!
「あの、帝」
タメ口でいいって言われたけど、まだ戸惑ってたのね、瞬先輩。
「なぁんだい?」
「うちの担任、美術なんだけど、俺のこと、別に敵視してないから、範囲いってきた。傾向、多分わかると思う」
なんっっっと、裏切りです!
いやまぁ、嬉しいけどね!!!
「ナイス・マッくん!」
指をパチンっと鳴らし、宵衣先輩は笑う。
「んじゃ、てめぇら、習ったとこ教えろ。そこから分析やるぞ」
「「宿題はぁ~……」」
私とソラはそう問いかける。私たち、勉強ダメ組だからね。
「お前らは、自分のことだけやってろ」
「ボクらでチャーンと練ってあげる」
「AIも使えばなんとかなるな」
「それなら、神坂さんに頼めば」
「ボクが行ってくるね!」
ここの人たち、怖すぎん?いや、もう頼もしいけどさ、ここまで頭脳があってさ、推察できるなんてさ、すごすぎね?
そしてその日から、理不尽テストに向けての対決が始まった。
私とソラの勉強ダメ組は、交代制で、先輩や先生、ユウから勉強を見てもらい、天才肌で教えるのが苦手な宵衣先輩と人が苦手な神坂先輩は、神坂先輩の部屋に篭って、どこが出るか、やまを張っていた。
「ここの公式違う。はぁ……お前、基礎がダメだな」
……わかってます。知ってます。クズな灰咲先生に言われる私がやばいのも自覚済みです。
「ここ、中1初期のだろー」
「うるさいよぉ、駄目人ー」
ソラもか。
「えーと、ソラは……あ、方程式ね」
「クレちゃんどこ?」
「方程式のもう少し応用バージョン」
「二人まとめて一緒にやるか。陽崎は復習がてらな」
「「はぁーい」」
そんなこんなで、数日経った。
「テスト、開始!」
わかる問題でありますよーに!
と思ってたんだけどもね、見事に先輩たちのやまかけ、当たりました!
しかも大当たり。
私が苦手で、ヤンなきゃダメかって思ってたとこ、一部出ないから後回しでいいとか言われたんだけど、見事にそれが出なくて、できるよ?っていってても、完璧にしろって言われたところがちょうど出るっていう。
先輩、ユウ、先生、ほんっっっとにありがとう!
私は心の中でそう思いながらテストに立ち向かったのだった。
「終了!」
はぁぁぁー!怖かったぁぁぁぁ……。まぁ、空白は少なかったし、結構解けたけどさ。
机に突っ伏して、やっと終わったーと思っていたら横から衝撃が。
「ぬぁっ?!」
「クレちゃぁんっ!」
はい、お察しの通り、ソラくんですね。はい。
「なんか、解けたよ?!」
「よかったね?」
な、なんで疑問形?なんで驚いてんの?
「範囲わかってる時より解けた!」
うん、謎だね。うん、謎。君、おかしいな。
「それは誰のおかげだ?」
パンっと、テキストを丸めた筒で、ソラの頭をはたきながら、ユウはいう。
今回、結構みんな活躍してたもんねー。
すると、なぜだか人もまばらになった我が教室中等部二年C組に、続々と人が集まってくるではありませんか。
ソラやユウをはじめとして、宵衣先輩、灰咲先生、瞬先輩までも入ってくるではありませんか! なぜだかわからないけど、今回のテスト用紙を持って。
「さぁて、答え合わせだー」
「いやいや、答えないやん!」
「ナイスツッコミだ、クーちゃん!だが惜しい!」
なにが?え、まじなにが?
「答えな、なくてもいけるに決まってんだろ。宵衣だぞ?」
「帝、一応学園トップだからな」
……そうっすね、主席様ですもんね。
「で、何故テストを持ってんだ」
それな!です、ユウ。私、日本語おかしいな、なんか。
「そっれっはっねー」
「職権乱用だ」
マジか。マジですか、瞬先輩。何故貴方が知っているかはともかく、マジでやったの?
「ボケ。ちゃうわ。 今回、マジ差別あったろ?あれ改善は無理だからさー、ちょいとな」
手をくいっとやってしたり顔をする灰咲先生。
なにをしたかは想像に任せるということですね。でも、私、わからないんです。何故かって?それはーーー想像力が乏しいからだよ!(泣)
ー 数十分後 ー
私とソラはテストに書いたであろう答えを紙に書いて、それから暇なので、じゃんけんやら、なつかしのチャチャツボやら、鍋鍋やらをして遊んだ。
選んでる遊び、渋いなぁ……ww
「んーとね、クーちゃんの算数が」
「はぇ、はいっ」
はぇってなんだ?自分でも思うけど。でも、緊張するじゃん、だって苦手の算数様ですよ???
「いつもなん点くらい?」
「えーと……三十八とか、四十八とか」
「何故に例えが十点差あるだい?」
さぁ?
私が首を少し傾げると、宵衣先輩は少し苦笑をして、紙を見る。
「点数は、六十九点。選択問題が間違ってたり、計算ミスとか、小数の計算ミスとか、あったから、これは確かじゃないけど、だいたいそのくらい。赤点は回避かな」
「やったぁー!!」
私はガッツポーズをとり、飛び跳ねる。
「いや、誇れる点じゃねぇかんな?」
「でも、範囲なしでそれはすごいよね~」
「やまかけのおかげだろ」
「俺、職権乱用した甲斐あったわー」
ヤバイことを言っている人もいるが良いだろう!ツッコミは休みだ!
「次は、そらっちね。ダメな教科は、国語だっけ?」
それぞれダメな教科の点数聞いて、安心するって会だね、今回。
この瞬間、ソラが少し目を細めたのは、一人を除いて誰も気がつかなかった。
「いつもはねー、三十六点とか、二十四点とかだよ♪」
「だから。キミも何故に十二点差? まぁいーか。 えっと、五十八点だね。漢字ミスが目立つし、誤字脱字、接続語がビミョー。これは多分、今と特に回答は変わらないと思うな♪まぁ赤点回避は確実だね。 B組の場合、三十点以下以外は赤点にならないから」
B組うらやましい。まぁ、学力より他の才能メインできてるからなんだろうけど。
「ってか、そーゆーことは……」
「うん、心配な二人がセーフだ。だから、今回、春吹荘赤点回避!!!」
「「やったぁ!!!」」
私とソラは宵衣先輩の言葉を聞くや否や、飛び上がって、抱き合って、その結果を喜んだのだった。
ー結果発表日ー
またまた下校直前、通知表のようなものが配られる。これに、テストの結果が書かれているらしい。
えーと、なになに?
『 中等部 二年 C組 十八番
陽崎紅羽ーヒサキクレハ さん
貴方の点数 二百九十一 点
平均の点数 三百十三 点
学年順位 七十九位/百二十三名中
前回との比較 ーーー点 UP・DOUN
科目 貴方の点数/平均
国語 八十二点/八十六点
算数 六十四点/七十一点
社会 七十三点/七十四点
理科 七十一点/八十二点』
え、マジで?!平均には及ばずですが、そこそこ高いんだけどっ!え、今、マジで感動している!
前回のテスト、この学園で受けてないので比較とかできないんですけど、私にしたら結構がんばった点数だよ!
ガラガラッ!!!!
案の定、お開きになった瞬間、クラスの扉が開き、みんながまだいる中でソラが飛び込んでくる。
流石に私も慣れたので、受け身を取って、衝撃でコケはしない。
「見てみて!点数、ヤバイ!」
「どっち系?」
ソラの場合は、点数がダメでもこのテンションになりそうだからなぁ。今回に限ってないけどさ。
「これ!」
そう言って、ソラは通知表もどきを私に見せてくる。
「いや、至近距離すぎてわかんないよぉ、もう」
少し、手を遠ざけて、ソラの通知表もどきを見る。
『
貴方の点数 二百八十三 点
平均の点数 三百十三 点
学年順位 八十五位/百二十三名中
前回との比較 五十九点 UP
科目 貴方の点数/平均
国語 五十九点/八十六点
算数 六十九点/七十一点
社会 七十一点/七十四点
理科 八十四点/八十二点』
「うわっ、すご!」
「でしょっ?!」
いや、驚いたのは、理科が平均を超えてることなんだけどね!
「理科に驚いてるだけだろ」
ユウが通知表もどきを丸め、ソラの頭をぽかっと叩く。それ、いつもやってるよねー。
「平均より高いのがあるとは……」
「クーちゃん何位?」
「私は、えーと……七十九位」
「平均以上、ある?」
「ない!」
ほらな、と言いたげな顔でソラを見るユウ。ほんっとあんた、察しいいよね。
「ユウは?」
「俺?流石にお前らに時間かけすぎたわ」
「なにか下がったの?」
「点数の方な」
「順位は?」
「いやぁ、さすがにやまかけは完璧じゃねぇな。 一部はずれてさ、最終問題時間かけすぎちまった」
それ、私と多分ソラ、一切手をつけてないやつだね。他の見直しに回せって言われたし。
「何点で、何位?」
「なんい~?」
「俺? ここでいうことじゃねぇけど」
そう言ってユウは声を潜めて、耳元に顔を近づけて教えてくれた。
「三百八十二点で、一位」
「「んなっ!?」」
私たちは目を見開き、そのとき、改めて進学校でそんな点数をとってしまうユウを見直したのだった。
ちなみに、
宵衣先輩は三百九十五点で学年一位をキープ。ちなみに、落とした五点分は、灰咲先生が日頃の恨みも含めてか、そこそこの字なのに、汚いからって減点したらしい(生徒会長は、普通に間違えたりして一点差で二位になったらしい)。
瞬先輩は、社会と国語の記述に突っかかりつつも、三百八十八点で、こちらも一位。
私たちは、まぁ、理不尽テストに勝利したわけです♪
これで許されるわけ……ないよね(もう次回なにされるかが怖いんだけどすでに!!!)。
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