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第一章 千代
年齢詐欺?
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「千代、ちよ」
声が耳から聞こえる。
さっきまでは、直接頭に響く感じだったけど。
「う?うん?」
目が覚め、頭をあげると
イスの廻りには父、母、大樹がいた。
ノートを書きながら寝てしまっていたらしい。
「うん?みんな、どうしたの??」
みんなの顔が酷いことになってる
母と大樹は、目が真っ赤だ。
「良かったー!!」
母が抱きついてくる。
状況が読み取れない。時計を見ると7時を過ぎていた。
バイトが終わって、塚本先輩の事や過去の事、これからの事を一人で考えようと、部屋に籠っていたんだ。
「夕食が出来たから、呼んだんだけど返事がなくて、疲れて寝ているなら、そのままにしようと思ったんだけど………」
母が言葉を飲み込む。
「滋野本家から、急に電話が来たんだ。千代を起こせ。って、
起きなかったら家族全員で起きるまで呼び掛けろ。って
訳もわからず部屋に入ると、千代は机に伏せたまま寝てて、呼び掛けても起きなくて………」
父も言葉が詰まる。
二人の目線は、ノートに注がれていた。
その先に書いてあったのは
魔法
治癒
に大きく何度も✕が書かれている部分だ。
父と母の顔が曇る。
「大樹、ごめんね。友達を治せなくて」
あっ、と思い出して謝る。
「は?なに?なんで謝るの??」
大樹が、ワケわかんないと首を降る。
「え?だって同じように痛い思いしてる友達がいるのに、自分だけ治ってイヤな思いさせたんじょない?」
父に口止めされた時の表情を思い出す。
「はぁ?何いってるの!当たり前じゃん。一人治したら、オレもオレも。ってみんな来ちゃうし。
そうしたら姉ちゃんだけで治せるわけないじゃん。オレ、バカだけど、
それぐらいは理解してるよ!!」
うん?
「だって、きのう友達にも話すな!!って言われて悲しそうな顔してたじゃない?」
してたよね?
「えっ!!そんな顔してた?オレ、人に姉ちゃんの事を自慢する気マンマンだった事を恥ずかしい。とは、思ったけど……」
私の勘違いだった。って事??
はぁー。やっぱり『ほう・れん・そう』しなくちゃダメだね。
ちゃんと話し合おう。
塚本先輩とも!!
そんな言い合いをしてると、
いつの間に部屋を出てたのか、父が電話の子機を持ちながら戻ってきた。
「本家の護さんに礼を言っておいたぞ。
千代、夏休み入ったら、すぐに本家に行きなさい。
いま魂も身体も不安定になっているらしい。
本当は、明日にでも行かせたいが、テストもあるし無理だろう?
とりあえず応急処置で、結界を張ってくれたらしいから、魔法も使えなくなってる。って、夏休みくらいまでしか持たないみたいだけどな。」
うん?結界をはる??
何ですか?
リリアーヌちゃんも、魔法を使えなくするのは無理だって言ってたけど。
「お父さん、結界って何?
リリアーヌちゃんも魔法を使えなくするのは無理だって言ってたけど?
それに、バイト先にも迷惑をかけるから、夏休み入ってすぐは無理だよ。」
出来ない事は、ちゃんと伝えないと。
バイト先にこれ以上迷惑はかけられない。
「うん??リリアーヌさんって、千代の中の人だよな??
護さんが、その人と一緒にかけた。って言ってたぞ。夢の中で会った。とも言ってたが」
夢の中で会った?
大学生くらいの男性には会ったけど、
護さんって、お爺ちゃんのお兄さんだよね?って事は80歳くらい??
イヤイヤ会ってないよ
「さっきみた夢の中でリリアーヌちゃんと大学生くらいのお兄さんには会ったけど、護さん?には会ってないよ」
「あー、たぶんそれが護さんだよ。
夢の中だから、実物とは違って見えたのかもなぁー。
しかし、大学生かよ。自由だなぁー。
まぁ、その夢の中でリリアーヌさんと一緒に術を仕掛けたらしいぞ!」
へぇー、そういうもんなんだ。
じゃ、もしかして私も別の姿で見えてたのかな?
夢の中って、恐ろしい。
「千代、バイトの方も問題ないと思うよ。」
お母さんが話し始めた。
「金曜に滋野本家に行く。って決めた時に彩ちゃんに連絡取っておいたの。
あの子の学校。大学付属だから、3年の1学期の成績で学部が決定しちゃうし、夏休みだけはバイトして良いことになってるから、探している。って言ってたから。
去年も夏に短期でやってるし。
昨日、カフェに行って店長さんにも相談してきたから大丈夫なはずよ。」
うわー、お母さんが行動早すぎ!!
ってか、娘のバイト先に、娘が知らない間に連絡を取ってる。って何事??
彩ちゃん
仕事、スゴい出来る。
フロアーもキッチンも
初バイトと思えないぐらい、
すぐに覚えてバリバリ働いてた。
辞めたあとも、しばらくは彼女の事を聞いてくるお客さんもいた。
短期で良いからまたやって欲しい。って、店長も言ってた。
「彩ちゃんは、大丈夫なの?勝手に決めて??」
「うん。連絡したから大丈夫。
去年も短期でやってるし。自分で探さなくてラッキー。って喜んでいたわよ」
そうだ。彩ちゃん、
去年もそれで、私と一緒に働いていたんだ。
両方良ければ、良いか。
『ぐぅー』
それまで大人しくしてた大樹がお腹で存在を主張した
みんなで笑顔になる。
そういえば、夕飯まだだったね
「ごめん。大樹!すぐに用意するね。
明日も朝練習あるよね!
遅くなっちゃった……」
慌てて母がキッチンに下りていった。
大樹、最高!!
声が耳から聞こえる。
さっきまでは、直接頭に響く感じだったけど。
「う?うん?」
目が覚め、頭をあげると
イスの廻りには父、母、大樹がいた。
ノートを書きながら寝てしまっていたらしい。
「うん?みんな、どうしたの??」
みんなの顔が酷いことになってる
母と大樹は、目が真っ赤だ。
「良かったー!!」
母が抱きついてくる。
状況が読み取れない。時計を見ると7時を過ぎていた。
バイトが終わって、塚本先輩の事や過去の事、これからの事を一人で考えようと、部屋に籠っていたんだ。
「夕食が出来たから、呼んだんだけど返事がなくて、疲れて寝ているなら、そのままにしようと思ったんだけど………」
母が言葉を飲み込む。
「滋野本家から、急に電話が来たんだ。千代を起こせ。って、
起きなかったら家族全員で起きるまで呼び掛けろ。って
訳もわからず部屋に入ると、千代は机に伏せたまま寝てて、呼び掛けても起きなくて………」
父も言葉が詰まる。
二人の目線は、ノートに注がれていた。
その先に書いてあったのは
魔法
治癒
に大きく何度も✕が書かれている部分だ。
父と母の顔が曇る。
「大樹、ごめんね。友達を治せなくて」
あっ、と思い出して謝る。
「は?なに?なんで謝るの??」
大樹が、ワケわかんないと首を降る。
「え?だって同じように痛い思いしてる友達がいるのに、自分だけ治ってイヤな思いさせたんじょない?」
父に口止めされた時の表情を思い出す。
「はぁ?何いってるの!当たり前じゃん。一人治したら、オレもオレも。ってみんな来ちゃうし。
そうしたら姉ちゃんだけで治せるわけないじゃん。オレ、バカだけど、
それぐらいは理解してるよ!!」
うん?
「だって、きのう友達にも話すな!!って言われて悲しそうな顔してたじゃない?」
してたよね?
「えっ!!そんな顔してた?オレ、人に姉ちゃんの事を自慢する気マンマンだった事を恥ずかしい。とは、思ったけど……」
私の勘違いだった。って事??
はぁー。やっぱり『ほう・れん・そう』しなくちゃダメだね。
ちゃんと話し合おう。
塚本先輩とも!!
そんな言い合いをしてると、
いつの間に部屋を出てたのか、父が電話の子機を持ちながら戻ってきた。
「本家の護さんに礼を言っておいたぞ。
千代、夏休み入ったら、すぐに本家に行きなさい。
いま魂も身体も不安定になっているらしい。
本当は、明日にでも行かせたいが、テストもあるし無理だろう?
とりあえず応急処置で、結界を張ってくれたらしいから、魔法も使えなくなってる。って、夏休みくらいまでしか持たないみたいだけどな。」
うん?結界をはる??
何ですか?
リリアーヌちゃんも、魔法を使えなくするのは無理だって言ってたけど。
「お父さん、結界って何?
リリアーヌちゃんも魔法を使えなくするのは無理だって言ってたけど?
それに、バイト先にも迷惑をかけるから、夏休み入ってすぐは無理だよ。」
出来ない事は、ちゃんと伝えないと。
バイト先にこれ以上迷惑はかけられない。
「うん??リリアーヌさんって、千代の中の人だよな??
護さんが、その人と一緒にかけた。って言ってたぞ。夢の中で会った。とも言ってたが」
夢の中で会った?
大学生くらいの男性には会ったけど、
護さんって、お爺ちゃんのお兄さんだよね?って事は80歳くらい??
イヤイヤ会ってないよ
「さっきみた夢の中でリリアーヌちゃんと大学生くらいのお兄さんには会ったけど、護さん?には会ってないよ」
「あー、たぶんそれが護さんだよ。
夢の中だから、実物とは違って見えたのかもなぁー。
しかし、大学生かよ。自由だなぁー。
まぁ、その夢の中でリリアーヌさんと一緒に術を仕掛けたらしいぞ!」
へぇー、そういうもんなんだ。
じゃ、もしかして私も別の姿で見えてたのかな?
夢の中って、恐ろしい。
「千代、バイトの方も問題ないと思うよ。」
お母さんが話し始めた。
「金曜に滋野本家に行く。って決めた時に彩ちゃんに連絡取っておいたの。
あの子の学校。大学付属だから、3年の1学期の成績で学部が決定しちゃうし、夏休みだけはバイトして良いことになってるから、探している。って言ってたから。
去年も夏に短期でやってるし。
昨日、カフェに行って店長さんにも相談してきたから大丈夫なはずよ。」
うわー、お母さんが行動早すぎ!!
ってか、娘のバイト先に、娘が知らない間に連絡を取ってる。って何事??
彩ちゃん
仕事、スゴい出来る。
フロアーもキッチンも
初バイトと思えないぐらい、
すぐに覚えてバリバリ働いてた。
辞めたあとも、しばらくは彼女の事を聞いてくるお客さんもいた。
短期で良いからまたやって欲しい。って、店長も言ってた。
「彩ちゃんは、大丈夫なの?勝手に決めて??」
「うん。連絡したから大丈夫。
去年も短期でやってるし。自分で探さなくてラッキー。って喜んでいたわよ」
そうだ。彩ちゃん、
去年もそれで、私と一緒に働いていたんだ。
両方良ければ、良いか。
『ぐぅー』
それまで大人しくしてた大樹がお腹で存在を主張した
みんなで笑顔になる。
そういえば、夕飯まだだったね
「ごめん。大樹!すぐに用意するね。
明日も朝練習あるよね!
遅くなっちゃった……」
慌てて母がキッチンに下りていった。
大樹、最高!!
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