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動き出した時間

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☆★☆★ギルドマスター・ブライアン☆★☆★


アリアたちを帰したギルドマスターの部屋。

ドアまで見送った。

ブライアンは今まで座っていたソファと逆の位置に腰を下ろした。


「で、どうだった??」

部屋に残ったフードの男に声を掛ける。

「化け物だな」

酷い言いようだが、
核心をついた一言に感じる。

「なんだ、あれは
5歳児??何かの間違いではないか
あの器量、頭脳   ありえない」

お前も同じだと思うのは俺だけか??
目の前の男は賢者と呼ばれる魔法士。
着ていたフードを取り去った男は。
黒髪、黒目の美青年。

「化け物は、お前も一緒だろう」

言い返してやると、ふてくされて横を向いた。
俺よりも歳が上である彼。

「はぁ~??俺の5歳の時は、かわいいもんだったぞ」

いや、絶対うそだ。

「そんな事より、ソロバンだ!!
この道具だけでも、大事なのに。
免許だ??なんだ、それ?

さっき、思いつきで言ったようだが、
これは、国が動くぞ」

そう、さっきの免許制度だ。
全く新しい仕組み。
今、思いついた。とばかりに披露した。

しかし……
よく出来た制度だと思う。

レスターとサンダーバードは、
制度の明文化に、すでに動いているはずだ。
国をも動かす制度。

ソロバンという全く新しい道具を生み出し、
それによって発生する利権と教育制度まで、
仕組みづくる制度………
これが確立されれば、影響は多方面にも及ぶ。

たった5歳の子が考えたなんて。
誰が信じるだろうか??


「ところで……アリアには、見えていたよな?
あれが、おまえが探していた人物なのか??」

キンドリーは、自分に魔法を掛けて普通の人には見えなくしていた。
見える条件は、一定以上の魔力を持つ事。

ブライアンとレスター、サンダーバーには見えていたが、
マリーやアリアの兄妹には見えていなかった。

「あぁ、ハッキリと見えていたみたいだな」

言い切った。

「で??あれが待ち人か?」

そちらの返事をまった。

「………髭が伸びた……」

小さな声で呟いた。

キンドリーは、いつからか時が止まってしまっていた。
歳を取らないどころか、髪も髭も伸びない。
俺より年上なのに10代に見えるのは、その為だ。

「はぁ?じゃ、決定だな。
でも、若すぎじゃないか?
いくらお前の見た目でもさすがに娶るのは無理だろう??」

賢者ともいわれる彼は、普段は王宮に勤めている。
そんな彼が、この地にいるのは、
神からの2度のお告げがあったからだ。
魔法士のくせに、神を信じていなかった彼も
さすがに時が止まったように成長を忘れた己に神の存在を認めた。
1回目は18歳ごろ
【出会うべき娘がいる。彼女の為に、成長を止める】
2回目は今年に入ってから、
【エーデルへ行け】

半信半疑ながら、王宮に勤める事を窮屈に感じていた彼が、
これ幸いと
王都を抜け出し、森に住み着いたのだ。

王も、神には逆らえない。
賢者とまで言われた彼をケント伯とブライアンに預けた。

「髭が伸びた。と、言っても緩慢だ。
あれの成長に俺を合わせるつもりか??
なんなんだ!!」

心のイラつきが抑えられない。
それは、そうだ。
魔法士としての実力は当代一。
そんな彼が、あの娘の礎のように扱われているのだ。

「ありゃ、とんでもない美女に成長するぞ!!
傾国の美女だ。
どうやら、両親は売り払う予定らしいから、
俺かカインが買ってやるよ。
別に嫁にしなくても、魔力があるなら弟子にでもして囲いこめ!!
あれは、野放しに出来る代物じゃない」

あんなもん、野放しにしてみろ。
知恵や魔力がなくても、諍いが起きるのは間違いなしだ。

そのうえ、ソロバンや免許を生み出す頭脳と既に約束された利権だ。
考えるだけで、頭が痛くなる……

「あぁ、弟子にするか……」

弟子でも、嫁でもキンドリーに面倒を見させれば、
例え王族だって、横やりを入れにくい。
とりあえずの一つの心配が解決しそうだ。

「さて、お前にも働いてもらうぞ!
魔法契約をどこまでの範囲にするか決めないとな!
明日中には、ある程度まで話は詰める。
覚悟しておいてくれ」

ブライアンはギルドマスターの顔に戻っていた

もう、止まっている時間なぞないのだ!!
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