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ユニット名【反ソフィスト】
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調査1日目、始まったばかりではありますが疲れたので、休憩もかねてお昼です。このメゾンには大きな食堂があるそうなので、そこでお昼ご飯を食べます。どんなメニューがあるのでしょう、わくわくします。
「せっかくだし、ご飯食べながら調査する?早く仕事も終わって一石二鳥じゃないかな。」
「めんどい。」
「くーちゃん。...でも休みたいのは確かですし、お昼はしっかり休憩しますか。」
私はそう言うと開いている席を探しだしました。こういう食堂って先に席を取っていないと、ご飯を持ったまま永遠にうろうろすることになっちゃいますからね。それはちょっと恥ずかしいです。
「ね、ここ空いてるよ。」
私たちが席を探していると、プラトンが空いているところを発見したようでした。手招かれるままに席へ移動すると、4人掛けの席に先にくーちゃんが座っていました。
「くーちゃん、移動が速すぎませんか。」
「双がノロマなだけ。」
「くーちゃんが早いんですよ。」
悪態つくくーちゃんにテキトーの返しながら私も席に座ります。何気にずっと立ちっぱなしだったので足が痛いです。ようやく落ち着ける、と思ったその時、4人掛け席のわたしとくーちゃんとプラトンの残りの席にドカッと誰かが座りました。
「やーやー。元気?私もここでご飯食べてい?プラトン。」
長い黒髪の可愛らしい少女の姿、眠そうに喋るその子はこのメゾンに来て初めて会ったメゾンの住人、ソクラテスでした。食べていいかと聞くわりにはすでに取ってきたオムライスを机において、食べる気満々です。
「ダメって言う理由もないし...双葉、空、いいよね?」
「嫌っつっても食うじゃん。」
「私は構いませんよ。」
「やたー。じゃあこの席はとっておくからご飯とってきたら?」
「あ、ありがとうございます。くーちゃん何食べますか?」
「直感。」
「感覚派なんですね。」
ソクラテスにお礼を言ってから私たちは食堂の列に並びました。改めて食堂を見渡すと、数十人くらいの人が利用しているみたいです。この方たち全員調査するなんて骨が折れそうです。あとどうでもいいですが、やたら顔立ちが整った人が多い気がします。何故でしょうか。
「あ、お帰りなさーい。」
「戻りました。ここの食堂はおいしそうなメニューがたくさんありますね。」
「そうなんだよねー、ここの食堂はメニューも多いし美味しい。冷めないうちに食べた方がいいよ。」
「はい、いただきます。」
ご飯を取って戻ってきた私たちをソクラテスはにこやかに出迎えてくれました。ソクラテスも私たちが帰ってくるのを待っててくれたようで、私たちがご飯を取りに行く前からお皿の上が減っていません。ちなみに、私はきつねうどんにしました。お揚げがおいしそうです。
「うん!おいしいです!」
一口食べた私は思わず声を上げます。ここの食堂、かなりレベルが高いです。隣に座るくーちゃんは生姜焼きを食べていますが、黙々と食べ進めています。無言です。さすがに4人もいて無言で食べ進めるのは気まずいので、私はソクラテスに話しかけました。
「ソクラテスはいつも一人でご飯食べてるんですか?」
「んー、いつもはプラトンと食べるよ。プラトンは私の世話係だから。」
「ソクラテスはこれでもメゾンの中じゃ結構偉い立場だからね。でも生活能力が乏しいから私が世話係。前は【反ソフィスト】のメンバーが見てくれてたんだけどねー。」
「プラトン、【反ソフィスト】とはなんですか?」
人の名前でしょうか?いえでもメンバーと言うからには何かのグループでしょう。調査をしに来たからには知っておかないといけませんよね。
「あぁ説明してなかったね。このメゾンに住む人の何人かはユニットに入ってるんだよ。【反ソフィスト】って言うのはユニット名ね。その名の通りと言うか【ソフィスト】ってユニットもいるよ。そのユニットメンバーで仕事したりするんだよ。」
「仕事というと?」
「それは言えないかな。探偵事務所の調査内容はあくまで住民であってこっちの内部事情じゃないからね。」
「それは失礼しました。じゃあ質問を変えて、なんで【反ソフィスト】って名前なんですか?」
「その問いには私が答えるよ。」
プラトンに質問していると、割って入るようにソクラテスが挙手をしました。まあ私としても答えが返ってくるなら返答は誰でもいいのでソクラテスに答えてもらいます。
「答えは簡単、私が【ソフィスト】の2人のことが嫌いだから!」
「単純明快すぎるだろ。」
シンプル過ぎる答えに私じゃなくてくーちゃんがツッコミます。というか、くーちゃんはもう食べ終わってるんですけど。早すぎませんか。そんなに生姜焼き美味しかったんですか。私も夜に食べようかな。
「正確に言うと、考え方が全然合わないんだよね。向こうは相手を一方的に説得するって感じだけど、大事なのって質問を投げかけて答えを出して、その答えを吟味して心理を追求することだよ。全く考え方が違う。」
「さすが常時発動型ソートスキルの高IQ。言うことが頭いい。」
「どうもどうもー。」
「ソクラテス、それ多分皮肉ですよ。」
ソクラテスのソートスキル『無知の知』は常に発動している高IQの力です。ただの少女にしか見えない風貌でも、とんでもなく頭が良いなんてキャラが濃いですよね。
「さて、そろそろ食べ終わったみたいだし、行きますか。」
「えー、もう行っちゃうの?」
プラトンの声掛けにソクラテスは不満の声を洩らします。何だかんだ言ってもソクラテスはプラトンのことが好きなんでしょうね。少し甘えた声を出す彼女は年相応のように見えて可愛らしいです。
「仕事ですから。メゾンの中にいるのでまたどこかで会うと思いますよ。ありがとうございました、ソクラテス。色々知ることが出来ました。」
「んー、じゃあまたね。こちらこそありがとうー。」
私たちはソクラテスに軽くお辞儀をするとその場を離れました。休憩のはずでしたが全然休めた気がしません。でもお腹はいっぱいになりました。ごちそうさまでした。
「せっかくだし、ご飯食べながら調査する?早く仕事も終わって一石二鳥じゃないかな。」
「めんどい。」
「くーちゃん。...でも休みたいのは確かですし、お昼はしっかり休憩しますか。」
私はそう言うと開いている席を探しだしました。こういう食堂って先に席を取っていないと、ご飯を持ったまま永遠にうろうろすることになっちゃいますからね。それはちょっと恥ずかしいです。
「ね、ここ空いてるよ。」
私たちが席を探していると、プラトンが空いているところを発見したようでした。手招かれるままに席へ移動すると、4人掛けの席に先にくーちゃんが座っていました。
「くーちゃん、移動が速すぎませんか。」
「双がノロマなだけ。」
「くーちゃんが早いんですよ。」
悪態つくくーちゃんにテキトーの返しながら私も席に座ります。何気にずっと立ちっぱなしだったので足が痛いです。ようやく落ち着ける、と思ったその時、4人掛け席のわたしとくーちゃんとプラトンの残りの席にドカッと誰かが座りました。
「やーやー。元気?私もここでご飯食べてい?プラトン。」
長い黒髪の可愛らしい少女の姿、眠そうに喋るその子はこのメゾンに来て初めて会ったメゾンの住人、ソクラテスでした。食べていいかと聞くわりにはすでに取ってきたオムライスを机において、食べる気満々です。
「ダメって言う理由もないし...双葉、空、いいよね?」
「嫌っつっても食うじゃん。」
「私は構いませんよ。」
「やたー。じゃあこの席はとっておくからご飯とってきたら?」
「あ、ありがとうございます。くーちゃん何食べますか?」
「直感。」
「感覚派なんですね。」
ソクラテスにお礼を言ってから私たちは食堂の列に並びました。改めて食堂を見渡すと、数十人くらいの人が利用しているみたいです。この方たち全員調査するなんて骨が折れそうです。あとどうでもいいですが、やたら顔立ちが整った人が多い気がします。何故でしょうか。
「あ、お帰りなさーい。」
「戻りました。ここの食堂はおいしそうなメニューがたくさんありますね。」
「そうなんだよねー、ここの食堂はメニューも多いし美味しい。冷めないうちに食べた方がいいよ。」
「はい、いただきます。」
ご飯を取って戻ってきた私たちをソクラテスはにこやかに出迎えてくれました。ソクラテスも私たちが帰ってくるのを待っててくれたようで、私たちがご飯を取りに行く前からお皿の上が減っていません。ちなみに、私はきつねうどんにしました。お揚げがおいしそうです。
「うん!おいしいです!」
一口食べた私は思わず声を上げます。ここの食堂、かなりレベルが高いです。隣に座るくーちゃんは生姜焼きを食べていますが、黙々と食べ進めています。無言です。さすがに4人もいて無言で食べ進めるのは気まずいので、私はソクラテスに話しかけました。
「ソクラテスはいつも一人でご飯食べてるんですか?」
「んー、いつもはプラトンと食べるよ。プラトンは私の世話係だから。」
「ソクラテスはこれでもメゾンの中じゃ結構偉い立場だからね。でも生活能力が乏しいから私が世話係。前は【反ソフィスト】のメンバーが見てくれてたんだけどねー。」
「プラトン、【反ソフィスト】とはなんですか?」
人の名前でしょうか?いえでもメンバーと言うからには何かのグループでしょう。調査をしに来たからには知っておかないといけませんよね。
「あぁ説明してなかったね。このメゾンに住む人の何人かはユニットに入ってるんだよ。【反ソフィスト】って言うのはユニット名ね。その名の通りと言うか【ソフィスト】ってユニットもいるよ。そのユニットメンバーで仕事したりするんだよ。」
「仕事というと?」
「それは言えないかな。探偵事務所の調査内容はあくまで住民であってこっちの内部事情じゃないからね。」
「それは失礼しました。じゃあ質問を変えて、なんで【反ソフィスト】って名前なんですか?」
「その問いには私が答えるよ。」
プラトンに質問していると、割って入るようにソクラテスが挙手をしました。まあ私としても答えが返ってくるなら返答は誰でもいいのでソクラテスに答えてもらいます。
「答えは簡単、私が【ソフィスト】の2人のことが嫌いだから!」
「単純明快すぎるだろ。」
シンプル過ぎる答えに私じゃなくてくーちゃんがツッコミます。というか、くーちゃんはもう食べ終わってるんですけど。早すぎませんか。そんなに生姜焼き美味しかったんですか。私も夜に食べようかな。
「正確に言うと、考え方が全然合わないんだよね。向こうは相手を一方的に説得するって感じだけど、大事なのって質問を投げかけて答えを出して、その答えを吟味して心理を追求することだよ。全く考え方が違う。」
「さすが常時発動型ソートスキルの高IQ。言うことが頭いい。」
「どうもどうもー。」
「ソクラテス、それ多分皮肉ですよ。」
ソクラテスのソートスキル『無知の知』は常に発動している高IQの力です。ただの少女にしか見えない風貌でも、とんでもなく頭が良いなんてキャラが濃いですよね。
「さて、そろそろ食べ終わったみたいだし、行きますか。」
「えー、もう行っちゃうの?」
プラトンの声掛けにソクラテスは不満の声を洩らします。何だかんだ言ってもソクラテスはプラトンのことが好きなんでしょうね。少し甘えた声を出す彼女は年相応のように見えて可愛らしいです。
「仕事ですから。メゾンの中にいるのでまたどこかで会うと思いますよ。ありがとうございました、ソクラテス。色々知ることが出来ました。」
「んー、じゃあまたね。こちらこそありがとうー。」
私たちはソクラテスに軽くお辞儀をするとその場を離れました。休憩のはずでしたが全然休めた気がしません。でもお腹はいっぱいになりました。ごちそうさまでした。
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