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ソクラテスとプラトン
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ソクラテスに案内されてメゾンの入り口までやってきた私とくーちゃんは、ドアの前で立ち往生していました。ちなみにくーちゃんはやっとソートスキルを解除してくれたので、姿が見えています。良かったです、見えていないとうっかり足を踏んでしまいそうなのです。
「あれ...。あー、私、客人を招き入れるやり方知らないな~。」
「オイ。」
「怒らないでよ、エピ。うーん、プラトン呼ぶからちょっと待って。」
そう言うとソクラテスはポケットから携帯を取り出し、どこかに電話を掛けました。誰かと話している間、私は気になっていたことをくーちゃんに聞いてみることにしました。
「ねぇ、くーちゃん。ソクラテスもメゾンの住人ってことは、ソートスキル持ちなんですよね?」
「そうだけど。」
「あんなに小さくてのんびりしてる子が事件に首突っ込んだり巻き込まれるようなことをするんですか?」
「するんじゃね?アイツも立派な異能力者だし。」
くーちゃんは「何言ってんだ」とでも言いたげに言ってきます。もちろん前提を踏まえるとそうですけど、人は見た目が9割なんだから仕方ないじゃないですか。あんなに可愛くて小さくてか弱そうでのんびり屋な少女が危ない目に合ってるとは思えないんですもん。
「ん。プラトン来るって。」
「アイツまだお前の世話係やってんの?」
「うん。」
くーちゃんとソクラテスが話していると後ろ、つまり入り口のドアの方からバタバタと忙しい足音が聞こえていました。振り返ると、慌てた様子でこちらに向かってくるのは長い髪をギュッとポニーテールにしているもののどこかボサボサ。そして何故か白衣を着ているという、なんと言うか研究に明け暮れる研究者みたいな女性でした。女性はぶつかる勢いでドアの前まで来ると、ドア横で何かを操作し、すぐにドアを開けてくれました。
「ソクラテス!勝手にフラフラと出て行かないでよ!」
「ごめん。誰か入ってきたから。」
「お客様の対応は私がするって言ったでしょ!もー!ごめん、探偵社の人だよね。私はプラトン、このメゾンの中案内するように言われてる。よろしく。」
「よろしくお願いします。私は双葉です。こっちは...」
「空。空、だ。」
くーちゃんは念押しするかのように2度言います。そんなにエピと呼ばれることが嫌なんでしょうか。プラトンも察したのか「あぁ」という顔をしています。
「それじゃあ早速案内しようかな。ソクラテス、一緒に来られると話進まないから着いてこないで。」
「えぇ。」
「えぇ、じゃない。いつも私が話すとき横入りしたりフラフラしたりするんだから。」
「あ、あの、プラトン。ソクラテスもこのメゾンの住人なら、ソクラテスも調査対象です。彼女のソートスキルを聞いておきたいんですけど。」
私はソクラテスとプラトンの会話に割って入ります。このお2人、なんだかんだ言いつつ仲が良さそうなので、割ってでも入らないと会話が終わりそうに見えません。
「え、まだ聞いてなかったの?ソクラテス、何で言わなかったの。」
「忘れてた。んーっと、私のソートスキルは常時発動だから、今も発動中だよ。」
「今も?具体的にどんな...」
「見せた方が早いかな。プラトン、えーっと、8×8桁。」
「はいはい。」
ソクラテスとプラトンは何やら作戦会議をすると、私に「見てて」と目配せしました。そして、
「異能力『無知の知』」
ソクラテスがそう唱えました。しかし何も起きません。目に見えない能力なのでしょうか。私が周りをキョロキョロしていると、おもむろにプラトンが口を開きます。
「36728462×11873645」
「436100719183990」
ちょっと何が起こったのか良く分かりませんでした。プラトンが長い数字の数式を口にした瞬間すぐにソクラテスが数字を答えました。まさか、一瞬で計算したということでしょうか。というか、もしそうだったとしてその数字で本当に合っているのかは分かりませんが。
「合ってる。」
合ってるみたいでした。携帯の電卓機能で計算したらしいくーちゃんが言うのでそうなのでしょう。だったらソクラテスのソートスキルと言うのは、
「ソクラテスのソートスキルは高IQだよ。こう見えて滅茶苦茶に頭がいい。」
「えっへん。」
プラトンに褒められたソクラテスは自慢げに言います。こんなにのんびりとした雰囲気の少女が高IQとは、意外性があって面白いです。
「とはいえ、ついてこられると困るのでここでお別れ。ついでに私のソートスキルも見せようかな。」
「プラトンのソートスキル?」
「私も案内係とはいえメゾンの住人だから調査対象でしょ。えっと...異能力『イデア』」
ソクラテスがそう唱えると、今までそこに置いてあったちょっとした休憩用のベンチが、ふわふわでとても寝心地のよさそうなベッドに変わりました。
「わー。」
ベッドを目にした瞬間、ソクラテスがそのベッドに飛び乗りました。気持ちよさそうに横になっています。私まで眠くなりそう。
「ソクラテスは眠ることが大好きなんだよね。私のソートスキルは幻を見せることだからベンチをベッドに見せてる。これでついてこないと思う。今のうちに行こう。」
「じゃあねー。3人とも、善く生きろー。」
「善く生きろ?」
「ソクラテスの口癖。僕がメゾンにいた時からいっつも言ってた。どういう意味なのかは知らない。」
手を振って助言?をくれると、すぐにベッドで気持ちよさそうに眠り出したソクラテスを置いて、私たちはメゾンの中を回ることにしました。さあ、調査開始です。
「あれ...。あー、私、客人を招き入れるやり方知らないな~。」
「オイ。」
「怒らないでよ、エピ。うーん、プラトン呼ぶからちょっと待って。」
そう言うとソクラテスはポケットから携帯を取り出し、どこかに電話を掛けました。誰かと話している間、私は気になっていたことをくーちゃんに聞いてみることにしました。
「ねぇ、くーちゃん。ソクラテスもメゾンの住人ってことは、ソートスキル持ちなんですよね?」
「そうだけど。」
「あんなに小さくてのんびりしてる子が事件に首突っ込んだり巻き込まれるようなことをするんですか?」
「するんじゃね?アイツも立派な異能力者だし。」
くーちゃんは「何言ってんだ」とでも言いたげに言ってきます。もちろん前提を踏まえるとそうですけど、人は見た目が9割なんだから仕方ないじゃないですか。あんなに可愛くて小さくてか弱そうでのんびり屋な少女が危ない目に合ってるとは思えないんですもん。
「ん。プラトン来るって。」
「アイツまだお前の世話係やってんの?」
「うん。」
くーちゃんとソクラテスが話していると後ろ、つまり入り口のドアの方からバタバタと忙しい足音が聞こえていました。振り返ると、慌てた様子でこちらに向かってくるのは長い髪をギュッとポニーテールにしているもののどこかボサボサ。そして何故か白衣を着ているという、なんと言うか研究に明け暮れる研究者みたいな女性でした。女性はぶつかる勢いでドアの前まで来ると、ドア横で何かを操作し、すぐにドアを開けてくれました。
「ソクラテス!勝手にフラフラと出て行かないでよ!」
「ごめん。誰か入ってきたから。」
「お客様の対応は私がするって言ったでしょ!もー!ごめん、探偵社の人だよね。私はプラトン、このメゾンの中案内するように言われてる。よろしく。」
「よろしくお願いします。私は双葉です。こっちは...」
「空。空、だ。」
くーちゃんは念押しするかのように2度言います。そんなにエピと呼ばれることが嫌なんでしょうか。プラトンも察したのか「あぁ」という顔をしています。
「それじゃあ早速案内しようかな。ソクラテス、一緒に来られると話進まないから着いてこないで。」
「えぇ。」
「えぇ、じゃない。いつも私が話すとき横入りしたりフラフラしたりするんだから。」
「あ、あの、プラトン。ソクラテスもこのメゾンの住人なら、ソクラテスも調査対象です。彼女のソートスキルを聞いておきたいんですけど。」
私はソクラテスとプラトンの会話に割って入ります。このお2人、なんだかんだ言いつつ仲が良さそうなので、割ってでも入らないと会話が終わりそうに見えません。
「え、まだ聞いてなかったの?ソクラテス、何で言わなかったの。」
「忘れてた。んーっと、私のソートスキルは常時発動だから、今も発動中だよ。」
「今も?具体的にどんな...」
「見せた方が早いかな。プラトン、えーっと、8×8桁。」
「はいはい。」
ソクラテスとプラトンは何やら作戦会議をすると、私に「見てて」と目配せしました。そして、
「異能力『無知の知』」
ソクラテスがそう唱えました。しかし何も起きません。目に見えない能力なのでしょうか。私が周りをキョロキョロしていると、おもむろにプラトンが口を開きます。
「36728462×11873645」
「436100719183990」
ちょっと何が起こったのか良く分かりませんでした。プラトンが長い数字の数式を口にした瞬間すぐにソクラテスが数字を答えました。まさか、一瞬で計算したということでしょうか。というか、もしそうだったとしてその数字で本当に合っているのかは分かりませんが。
「合ってる。」
合ってるみたいでした。携帯の電卓機能で計算したらしいくーちゃんが言うのでそうなのでしょう。だったらソクラテスのソートスキルと言うのは、
「ソクラテスのソートスキルは高IQだよ。こう見えて滅茶苦茶に頭がいい。」
「えっへん。」
プラトンに褒められたソクラテスは自慢げに言います。こんなにのんびりとした雰囲気の少女が高IQとは、意外性があって面白いです。
「とはいえ、ついてこられると困るのでここでお別れ。ついでに私のソートスキルも見せようかな。」
「プラトンのソートスキル?」
「私も案内係とはいえメゾンの住人だから調査対象でしょ。えっと...異能力『イデア』」
ソクラテスがそう唱えると、今までそこに置いてあったちょっとした休憩用のベンチが、ふわふわでとても寝心地のよさそうなベッドに変わりました。
「わー。」
ベッドを目にした瞬間、ソクラテスがそのベッドに飛び乗りました。気持ちよさそうに横になっています。私まで眠くなりそう。
「ソクラテスは眠ることが大好きなんだよね。私のソートスキルは幻を見せることだからベンチをベッドに見せてる。これでついてこないと思う。今のうちに行こう。」
「じゃあねー。3人とも、善く生きろー。」
「善く生きろ?」
「ソクラテスの口癖。僕がメゾンにいた時からいっつも言ってた。どういう意味なのかは知らない。」
手を振って助言?をくれると、すぐにベッドで気持ちよさそうに眠り出したソクラテスを置いて、私たちはメゾンの中を回ることにしました。さあ、調査開始です。
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