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他愛もないゲームの始まり
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今日のシャーロックパーティーの集合場所は小等部の図書室。いつものように集合場所がメールで送られてくる。僕はすぐに返信し、図書室に向かって歩き出したところで誰かに腕を掴まれた。
*****************
「助けて」
そんなメールが羽矢くんから送られてきて、私は思わず手に汗をかく。いつものように集合場所をメールして羽矢くんの到着を待っていただけなのにこんな事件じみたメールが送られてくるなんて思いもしなかったけど、実際こういうのって心臓にものすごく悪い。私は大きく深呼吸して冷静になると、羽矢くんに電話をかけた。すると意外にもすぐに繋がった。
『やぁ。ホームズちゃん?』
「...ふぅー。とりあえず本当にヤバめな事件に巻き込まれたってわけではないみたいで良かったよ。」
電話口の声を聞いて、私はようやく緊張を糸を解く。ついさっきまで学校にいたはずの羽矢くんがヤバめな事件に巻き込まれたとは考えにくかったけど0じゃない。可能性が0.1でもあるなら油断しちゃいけないと思ってたけど、やっといつも通りの緩い口調で話せる。
「それで?何してるん、蛍ちゃんは。」
『アハッ!声だけでアタシだって分かるのね。さすが名探偵の姪、要夕陽♪』
電話口の相手は水谷蛍。私の幼馴染。たまーに本当にモラルの無い発言をしたり突飛な行動を取ったりするけど、基本的には悪戯好きで頼れるお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんがこの状況で羽矢くんの電話に出てるなんて、考えられる答えは1つしかないんよね。
「蛍ちゃんが羽矢くん拉致たんやね?羽矢くんは無事だと信じてていい?」
『答えはどっちもイエスよ。もちろん無事。声だけでも聞かせてあげましょうか。』
「じゃあお願いしても?」
『OK、代わるね。』
蛍ちゃんがそう言うと電話口から移動する音がした。しばらくしていつもと何も変わらない羽矢くんの声が聞こえて来る。
『先輩、すみません。まさかあんなに不穏なメッセージを送られてるとは思わなくて。』
「あれはやっぱり蛍ちゃんの悪戯かぁー。心臓飛び出るかと思ったんやからね。」
『すみません、心配してくれたんですか?』
「あのねぇ羽矢くん、例えあのメッセージが赤の他人から送られてきたとしても私は心配してたよ。それより、なんで蛍ちゃんと一緒にいるん?あんまり考えたくない私の予測としては、小さい頃の私の写真を見せてあげるとかの甘い誘惑に付いて行ったが最有力候補なんやけど。」
『...すみません、その通りです。現在進行形でこの状況を楽しんでしまってます。』
「もう!」
とりあえず羽矢くんが無事なことは分かって良かったけど、小さい頃の自分の写真見られるのって結構恥ずかしいのに!それを見せちゃう蛍ちゃんも蛍ちゃんやし、見ちゃう羽矢くんも羽矢くんやね!一刻も早く辞めさせたいけど、たぶんその行動原理が今回のこの遊びの根幹なんやろうなぁ。こういう手の平で転がされちゃう感じ、蛍ちゃんには昔から本当に勝てん。
「はぁ...。羽矢くん、もう一度蛍ちゃんに代わってくれる?」
『分かりました...っと、あっ!』
「羽矢くん?」
『ふふ、携帯奪い取っちゃった♪さて、じゃあゲームを始めようかな。夕陽ちゃん、後輩くんに恥ずかしい過去の話をバラされたくなければ…もとい、後輩くんを助けたければここまでおいで。場所は謎解きにしてメッセージに送ったから、頑張って解いてみてね。一応ヒントあげとくと、場所は小等部に限るから。じゃ!』
蛍ちゃんは言いたいことだけ言って電話を切った。経緯が経緯だし結局蛍ちゃんの言いなりだしちょっと気は重いけど、こういう謎を解いて助けに行くなんて脱出ゲーム的遊びにわくわくしてる自分がいちゃったりする。仕方ないから今回は蛍ちゃんの遊びに乗ってあげよう、なんて自分への言い訳を考えながら私はメッセージを開いた。
「これは...学校の絵?」
そこに描かれていたのは可愛らしい学校のイラストで、その学校の窓が全部で4つ。やけど一番左の窓がちょっと大きいように感じる。そしてその窓の中にそれぞれ「1E」「2」「8」「6」の数字が書いてある。「1E 」だけ何か違うのは意味があるんかな。問題文のように『窓が表す教室に来るように 待ってるね♪』って書かれてるから多分この数字の組み合わせがどこかの教室を表してるんやろうな。うーん。私はしばらく悩んでから数を数えた。
「ま、こういう謎解きは大体パターン決まってるんよね。」
数分後、謎を解いた私は謎の答えだった音楽室に来ていた。音楽室と一口に言っちゃえば中等部にも高等部にもあるけど、今回は蛍ちゃんが小等部に限るって言ってたから小等部の音楽室。謎の答えは絶対にあってるはずだけど、ぐるっと見渡してみても蛍ちゃんの姿も羽矢くんの姿もない。私は不思議に思って羽矢くんに電話をかけた。
「蛍ちゃん?音楽室に着いたんやけど。」
「おお~早かったね♪」
「答えの場所に来たのにいないってどういうことなん?」
「一問だけじゃつまらないじゃない。謎はまだ用意してるから。夕陽ちゃんも正直なところ本当に一問で終わるとは思ってなかったでしょ。」
「まあ、蛍ちゃんならこんな展開もあるんじゃないかとは思ってたけど。」
「でしょ?じゃ、次の問題!メッセージ送っといたから頑張ってね。」
蛍ちゃんはまた言いたいことだけ言って電話を切った。私はいよいよ脱出ゲームじみてきた展開に高ぶる気持ちを隠すように軽くため息をつくと、メッセージを開いた。
「ん~?これはさっきとはまた違うシンプルな...。」
今回はさっきみたいな可愛いイラストは無し。ただ暗号みたいに数字と丸と矢印が並んでる。まず横に3つ、縦に4つの丸が合計12個並んでて、一番左上の丸の中に「1」の数字。この数字からは上向きの矢印が付いてる。次にその隣の丸の中には「35」の数字。「35」というよりは「3」と「5」の2つの数字が入ってるって感じかな。それぞれ「3」からは左向きの矢印、「5」からは下向きの矢印が付いてる。次に真ん中の列の下から2つ目の丸の中に「7」の数字。この数字には何の矢印も付いてない。最後に一番左下の丸の中に「46」の数字。これも「46」というよりは「4」と「6」みたい。これも2つとも矢印はついてない。そしてこれまた問題文のように『難しいならスマホ見てもいいよ♪』って書かれてる。
「いや、送られてきたメッセージをスマホで開いてるんだから、現在進行形でスマホを見てるんやけど...。」
なんて1人ツッコミをしつつ、私は暗号とにらめっこする。どう考えても、スマホ見てもいいよって文がヒントになってるんだろうなーなんて考えつつ私は指を動かした。
数分後、私は謎の答えだったウサギ小屋の前にいた。予想はしてたけど、当然羽矢くんも蛍ちゃんもいない。一応周りをくまなく探してから私はまた羽矢くんの携帯に電話をかけた。
「蛍ちゃん?これ楽しくないことはないけどいつ終わるの?」
『えー?楽しいならずっと続いててほしいって思ったりしないの?』
「今この間も羽矢くんは私の昔の頃の写真見てるんやろ?それを思うとちょっと気は重いよ...。」
『あはは、それもそうね。でもまだゲームは続くよ。今はちゃんとウサギ小屋のとこにいるのよね?』
「どうせいないやろうなーとは思ったけどちゃんと来てるよ。」
『偉い偉い。じゃあ次の謎もメッセージ送っといたからガンバ♡」
蛍ちゃんはまた言いたいことだけ言って電話を切った。私はもう無言で淡々とメッセージを開く。メッセージを開いた途端、大量のひらがなが目に飛び込んで来た。
「うえぇ...文字が多いなぁ。集合体恐怖症起こしそう。」
そこにはとにかくたくさんのひらがなが並んでた。横に5個、縦に10個のひらがなってことは50音なのかな、と思ったけど、ところどころ同じひらがなも見えるから多分違いそう。規則性はなさそうだけど、そのひらがなの並びの近くにヒントみたいに書かれてる『今日中に解くのは無理かもね 明日になれば分かるかな?』の文にちょっとイラっとする。煽ってるのかな、とちょっと思わないこともないけど、ちゃんと分かってる。
「煽りとヒントは紙一重ってね。」
数分後、私は謎の答えである生徒指導室にいた。まあいないだろうなとは思ってたけど案の定蛍ちゃんと羽矢くんはいない。なんだか誘拐事件の身代金引き渡しみたいになってきたね、色んな所駆けずりまわされるの。あれは警察の追っ手がいないか確認したり追っ手をまいたりすることが目的らしいけど、今回は何か意味があるのかなと考えてみる。まあ蛍ちゃんは愉快犯的なところあるから理由があるかどうかは五分かな。私はそんなことを思いながら羽矢くんに電話をかけた。
「ねぇ、そろそろもう羽矢くん写真見終わったんやないの?」
『それが、彼すごいわね。ひたすらずーっと夕陽ちゃんの写真眺めてるの。一回見た写真も何度もね。そろそろ飽きるかもだし、恥ずかしい話でもしようかと思ったけどそんなことしなくても大丈夫そうね。』
「羽矢くんて本当に私のこと大好きなんやね...。」
『まあそんなわけだからもうちょっと謎解きラリーで遊んでても大丈夫そうよ♪じゃ、次の謎もメッセージ送っといたから。頑張ってね~。」
蛍ちゃんは、以下略。とりあえず恥ずかしい話はもうちょっとしなさそうだし私は安心して謎解きが出来る。穴が開くほど写真を見つめられてるならもうどっちにしろ恥ずかしいものだけれども。私はまたメッセージを開いた。
「これはまた可愛いイラストに戻ったね。」
そこには可愛らしいイラストで一対の二枚扉と3本の鉛筆が描かれていた。それぞれ扉の隣には「○い」、鉛筆の隣には「□ん」と書かれてる。問題文のように『○□が置いてある場所においで♪』と書かれてある。シンプルな謎解きやね。私はすこし考えて答えを導き出した、けどここであることに気づいた。そしてニヤッと笑うと、私はとある場所に向かって歩き出した。
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「助けて」
そんなメールが羽矢くんから送られてきて、私は思わず手に汗をかく。いつものように集合場所をメールして羽矢くんの到着を待っていただけなのにこんな事件じみたメールが送られてくるなんて思いもしなかったけど、実際こういうのって心臓にものすごく悪い。私は大きく深呼吸して冷静になると、羽矢くんに電話をかけた。すると意外にもすぐに繋がった。
『やぁ。ホームズちゃん?』
「...ふぅー。とりあえず本当にヤバめな事件に巻き込まれたってわけではないみたいで良かったよ。」
電話口の声を聞いて、私はようやく緊張を糸を解く。ついさっきまで学校にいたはずの羽矢くんがヤバめな事件に巻き込まれたとは考えにくかったけど0じゃない。可能性が0.1でもあるなら油断しちゃいけないと思ってたけど、やっといつも通りの緩い口調で話せる。
「それで?何してるん、蛍ちゃんは。」
『アハッ!声だけでアタシだって分かるのね。さすが名探偵の姪、要夕陽♪』
電話口の相手は水谷蛍。私の幼馴染。たまーに本当にモラルの無い発言をしたり突飛な行動を取ったりするけど、基本的には悪戯好きで頼れるお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんがこの状況で羽矢くんの電話に出てるなんて、考えられる答えは1つしかないんよね。
「蛍ちゃんが羽矢くん拉致たんやね?羽矢くんは無事だと信じてていい?」
『答えはどっちもイエスよ。もちろん無事。声だけでも聞かせてあげましょうか。』
「じゃあお願いしても?」
『OK、代わるね。』
蛍ちゃんがそう言うと電話口から移動する音がした。しばらくしていつもと何も変わらない羽矢くんの声が聞こえて来る。
『先輩、すみません。まさかあんなに不穏なメッセージを送られてるとは思わなくて。』
「あれはやっぱり蛍ちゃんの悪戯かぁー。心臓飛び出るかと思ったんやからね。」
『すみません、心配してくれたんですか?』
「あのねぇ羽矢くん、例えあのメッセージが赤の他人から送られてきたとしても私は心配してたよ。それより、なんで蛍ちゃんと一緒にいるん?あんまり考えたくない私の予測としては、小さい頃の私の写真を見せてあげるとかの甘い誘惑に付いて行ったが最有力候補なんやけど。」
『...すみません、その通りです。現在進行形でこの状況を楽しんでしまってます。』
「もう!」
とりあえず羽矢くんが無事なことは分かって良かったけど、小さい頃の自分の写真見られるのって結構恥ずかしいのに!それを見せちゃう蛍ちゃんも蛍ちゃんやし、見ちゃう羽矢くんも羽矢くんやね!一刻も早く辞めさせたいけど、たぶんその行動原理が今回のこの遊びの根幹なんやろうなぁ。こういう手の平で転がされちゃう感じ、蛍ちゃんには昔から本当に勝てん。
「はぁ...。羽矢くん、もう一度蛍ちゃんに代わってくれる?」
『分かりました...っと、あっ!』
「羽矢くん?」
『ふふ、携帯奪い取っちゃった♪さて、じゃあゲームを始めようかな。夕陽ちゃん、後輩くんに恥ずかしい過去の話をバラされたくなければ…もとい、後輩くんを助けたければここまでおいで。場所は謎解きにしてメッセージに送ったから、頑張って解いてみてね。一応ヒントあげとくと、場所は小等部に限るから。じゃ!』
蛍ちゃんは言いたいことだけ言って電話を切った。経緯が経緯だし結局蛍ちゃんの言いなりだしちょっと気は重いけど、こういう謎を解いて助けに行くなんて脱出ゲーム的遊びにわくわくしてる自分がいちゃったりする。仕方ないから今回は蛍ちゃんの遊びに乗ってあげよう、なんて自分への言い訳を考えながら私はメッセージを開いた。
「これは...学校の絵?」
そこに描かれていたのは可愛らしい学校のイラストで、その学校の窓が全部で4つ。やけど一番左の窓がちょっと大きいように感じる。そしてその窓の中にそれぞれ「1E」「2」「8」「6」の数字が書いてある。「1E 」だけ何か違うのは意味があるんかな。問題文のように『窓が表す教室に来るように 待ってるね♪』って書かれてるから多分この数字の組み合わせがどこかの教室を表してるんやろうな。うーん。私はしばらく悩んでから数を数えた。
「ま、こういう謎解きは大体パターン決まってるんよね。」
数分後、謎を解いた私は謎の答えだった音楽室に来ていた。音楽室と一口に言っちゃえば中等部にも高等部にもあるけど、今回は蛍ちゃんが小等部に限るって言ってたから小等部の音楽室。謎の答えは絶対にあってるはずだけど、ぐるっと見渡してみても蛍ちゃんの姿も羽矢くんの姿もない。私は不思議に思って羽矢くんに電話をかけた。
「蛍ちゃん?音楽室に着いたんやけど。」
「おお~早かったね♪」
「答えの場所に来たのにいないってどういうことなん?」
「一問だけじゃつまらないじゃない。謎はまだ用意してるから。夕陽ちゃんも正直なところ本当に一問で終わるとは思ってなかったでしょ。」
「まあ、蛍ちゃんならこんな展開もあるんじゃないかとは思ってたけど。」
「でしょ?じゃ、次の問題!メッセージ送っといたから頑張ってね。」
蛍ちゃんはまた言いたいことだけ言って電話を切った。私はいよいよ脱出ゲームじみてきた展開に高ぶる気持ちを隠すように軽くため息をつくと、メッセージを開いた。
「ん~?これはさっきとはまた違うシンプルな...。」
今回はさっきみたいな可愛いイラストは無し。ただ暗号みたいに数字と丸と矢印が並んでる。まず横に3つ、縦に4つの丸が合計12個並んでて、一番左上の丸の中に「1」の数字。この数字からは上向きの矢印が付いてる。次にその隣の丸の中には「35」の数字。「35」というよりは「3」と「5」の2つの数字が入ってるって感じかな。それぞれ「3」からは左向きの矢印、「5」からは下向きの矢印が付いてる。次に真ん中の列の下から2つ目の丸の中に「7」の数字。この数字には何の矢印も付いてない。最後に一番左下の丸の中に「46」の数字。これも「46」というよりは「4」と「6」みたい。これも2つとも矢印はついてない。そしてこれまた問題文のように『難しいならスマホ見てもいいよ♪』って書かれてる。
「いや、送られてきたメッセージをスマホで開いてるんだから、現在進行形でスマホを見てるんやけど...。」
なんて1人ツッコミをしつつ、私は暗号とにらめっこする。どう考えても、スマホ見てもいいよって文がヒントになってるんだろうなーなんて考えつつ私は指を動かした。
数分後、私は謎の答えだったウサギ小屋の前にいた。予想はしてたけど、当然羽矢くんも蛍ちゃんもいない。一応周りをくまなく探してから私はまた羽矢くんの携帯に電話をかけた。
「蛍ちゃん?これ楽しくないことはないけどいつ終わるの?」
『えー?楽しいならずっと続いててほしいって思ったりしないの?』
「今この間も羽矢くんは私の昔の頃の写真見てるんやろ?それを思うとちょっと気は重いよ...。」
『あはは、それもそうね。でもまだゲームは続くよ。今はちゃんとウサギ小屋のとこにいるのよね?』
「どうせいないやろうなーとは思ったけどちゃんと来てるよ。」
『偉い偉い。じゃあ次の謎もメッセージ送っといたからガンバ♡」
蛍ちゃんはまた言いたいことだけ言って電話を切った。私はもう無言で淡々とメッセージを開く。メッセージを開いた途端、大量のひらがなが目に飛び込んで来た。
「うえぇ...文字が多いなぁ。集合体恐怖症起こしそう。」
そこにはとにかくたくさんのひらがなが並んでた。横に5個、縦に10個のひらがなってことは50音なのかな、と思ったけど、ところどころ同じひらがなも見えるから多分違いそう。規則性はなさそうだけど、そのひらがなの並びの近くにヒントみたいに書かれてる『今日中に解くのは無理かもね 明日になれば分かるかな?』の文にちょっとイラっとする。煽ってるのかな、とちょっと思わないこともないけど、ちゃんと分かってる。
「煽りとヒントは紙一重ってね。」
数分後、私は謎の答えである生徒指導室にいた。まあいないだろうなとは思ってたけど案の定蛍ちゃんと羽矢くんはいない。なんだか誘拐事件の身代金引き渡しみたいになってきたね、色んな所駆けずりまわされるの。あれは警察の追っ手がいないか確認したり追っ手をまいたりすることが目的らしいけど、今回は何か意味があるのかなと考えてみる。まあ蛍ちゃんは愉快犯的なところあるから理由があるかどうかは五分かな。私はそんなことを思いながら羽矢くんに電話をかけた。
「ねぇ、そろそろもう羽矢くん写真見終わったんやないの?」
『それが、彼すごいわね。ひたすらずーっと夕陽ちゃんの写真眺めてるの。一回見た写真も何度もね。そろそろ飽きるかもだし、恥ずかしい話でもしようかと思ったけどそんなことしなくても大丈夫そうね。』
「羽矢くんて本当に私のこと大好きなんやね...。」
『まあそんなわけだからもうちょっと謎解きラリーで遊んでても大丈夫そうよ♪じゃ、次の謎もメッセージ送っといたから。頑張ってね~。」
蛍ちゃんは、以下略。とりあえず恥ずかしい話はもうちょっとしなさそうだし私は安心して謎解きが出来る。穴が開くほど写真を見つめられてるならもうどっちにしろ恥ずかしいものだけれども。私はまたメッセージを開いた。
「これはまた可愛いイラストに戻ったね。」
そこには可愛らしいイラストで一対の二枚扉と3本の鉛筆が描かれていた。それぞれ扉の隣には「○い」、鉛筆の隣には「□ん」と書かれてる。問題文のように『○□が置いてある場所においで♪』と書かれてある。シンプルな謎解きやね。私はすこし考えて答えを導き出した、けどここであることに気づいた。そしてニヤッと笑うと、私はとある場所に向かって歩き出した。
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