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裏庭の傘は雨がない
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ここは屋上に繋がる階段踊り場。今日のシャーロックパーティーはここに集まっている。
「いやー、部室がないとは聞いてたっすけど、まさかこんな感じで集まるとは思わなかったっす。」
シャーロックパーティーの新メンバー、松園橙が口を開いた。普段から、集まる場所は先輩からメールが送られてきて初めて知るので僕は慣れっこだったけど、確かに初めての集合なら困惑するかもしれない。僕の初めての集合は想い人からの呼び出しというだけで胸が高鳴っていた記憶しかないけど。
「普通と違う感じがいいでしょ?」
「まあ新鮮っすね。そんで?俺は一応名前だけって形だと思うんすけど、今日は絶対来てねーって、なんか用事でもあるんすか?」
「今日は歓迎会を兼ねてるんよ~!はいこのお菓子たちつまみながらね!まずはこのサークルについて聞きたいこととかあればなんでも答えるからなんでも聞いて!一応謎に包まれたサークルやからね。」
目の前にお菓子を広げながらドヤ顔で先輩が言う。ドヤ顔の先輩もすごく可愛いけどそれは置いといて、先輩の言う通りこのサークルは結構謎が多い。部室もなければメンバーは昨日まで2人だけ、活動は一応学園の謎を解くこととしてるけど実質散歩してボランティアをしてるだけ。知らない人からすると意味のわからないサークルだと思う。
「んー、じゃあまず聞きたかったこと聞いていいっすか?」
「なーに!」
「なんで『シャーロックパーティー』なんすか?なんで『シャーロック』でなんで『パーティー』なのか気になるっすね。」
「あ、僕も気になります。『シャーロック』はシャーロック・ホームズからですよね?『パーティー』は確かに、クラブとかそれこそサークルでいいですもんね。何でなんですか?」
「なんだ、羽矢くんも気になってたん?聞いてくれれば良かったのに。」
「いえ…別に聞くほどでもなくて...。」
「気になったことがあるなら言ってくれればええのに~。まずホームズじゃなくてシャーロックの理由は語呂が良いから、それだけ。」
深い理由が無くても、なんというか先輩らしい。まあどんな理由でも何も思わなかったと思うけど。
「じゃあパーティーはなんっすか?」
「んー、これも語呂って言うのもあるけど、仲間感が強い気がするからかな!元々羽矢くんと2人だけのつもりやったし、パーティーメンバーってなんか格好良いし!でも今3人に増えてますますそう思ってる~。過去の私グッジョブやね!」
「そうですね。」
「本当に夕陽先輩の全肯定マシンなんだな羽矢って。」
橙くんがちょっと呆れながら僕に言う。橙くんは僕が先輩のことを好きなこと知ってるからなんでも気兼ねなく言えて嬉しい。でも全肯定マシンはちょっと恥ずかしいからやめて欲しい。
「他に何か聞きたいこととかある?」
「んー、いやパッと思いつかないっすね。今日ここを集合場所にした理由とか?」
「おっ!それはとても良い質問よ橙くん!」
先輩が何かに食いついた。その質問を待ってましたと言わんばかりに目を輝かせている。先輩は表情がコロコロ変わるのでこういう顔もよく見るけど、それでもその顔を引き出した橙くんに僕はちょっと嫉妬したりする。
「なんか理由があるんすね。」
「うん!実はここから見える裏庭に謎の気配がしてね!」
「裏庭に謎?」
僕はそう言うと先輩と橙くんと一緒に窓から下を見下ろした。そこから見えるのはごく普通の花壇だけ。通行人もそこそこ居るし、園芸部みたいな人が花壇をいじっているだけで謎めいたことは何も無い。ただ1点を除いては。
「なんで花壇にいる人だけみんな傘さしてるんですかね...?」
そう、花壇の手入れをしている人、恐らく園芸部の人が雨も降っていないのに傘をさしている。普通の通行人は傘なんて持ってもいないのに、だ。これは確かに謎の気配。
「今日はこの謎を解明してみようと思ってね。この場所を指定してみた!」
「なるほど...もしかして新入部員の俺の推理力を試してみたいとかそんな実験的考えもあります?」
「そんなことは一切考えてなかったけど、確かにそれも面白そうやねぇ...!このサークルに入りたいというのなら、この私と推理勝負しようか!橙くん!」
推理勝負、という面白い試みに先輩は楽しそうな声を上げる。これは僕も参戦するべきなのかな。良く分からないけど、僕も話には入ってみる。
「まず考えられる仮説は...日傘、とかですか?花壇をいじる時って結構日に当たることになりますし。」
「でも羽矢見て見ろよ。女子だらけならともかく男も結構いるぜ?」
「橙くん、それは今のご時世性差別に値するよ...。男子でも日傘さす人はさすよ。けどまあ1人残らず全員ってのはさすがに仮説としては厳しいんやないかな。それに何よりさしてるのはどこにでもあるビニール傘。あれじゃ日傘にはならんかな。」
「そ、それそれ!俺が言いたかったのはそれっすよ。男子全員はさすがにって。」
「あと土いじりするのに傘は普通に邪魔やと思う。日よけ対策ならサンガードと帽子でいいしね。実際、ここから手元がはっきり見えるわけじゃないけど結構邪魔そうにしてる。邪魔になっても傘を差さなきゃいけない理由があるんやないかな。」
「なるほど...。すごいな、僕の仮説が論を持って一瞬で潰されちゃった。」
「でもそうなると真相は何なんだ?分かんねぇな...。なんかヒントとかないかな。」
そう言うと橙くんは廊下を歩きだした。この廊下は壁に沿って窓もあるから、窓の下を覗きながら進んでいく。橙くんはしばらく歩いていたけど曲がり角のところで止まった。
「ん...?こっから先の花壇にいる人は傘さしてないな。同じように花壇いじってるのに。」
「あ、本当だ。傘をさすのはさっきのあの場所だけってこと?じゃああの場所に何かあるってことなのかな。」
「分かんねー!謎過ぎじゃん!」
橙くんは頭を抱えちゃった。でも僕も全然わからない。何で雨も降っていないのに傘をさしているのか。何で傘をさしているのは園芸部だけなのか。なんで裏庭のあの花壇でだけ傘をさすのか。お手上げだ。
「先輩、先輩はもう解けてるんですよね。」
「うーん、あたりはついてるってとこかな。確証はないんよ。」
「夕陽先輩、俺もうギブなんで。夕陽先輩の推理聞かせて下さい。」
先輩が嬉しそうに笑う。探偵はいつだって謎解きを披露するこの状況が一番楽しいんだ。それに僕らがギブアップして先輩だけが分かってるこの状況もとにかく楽しんだろうな。
「んふふ!じゃあ解答編開始やね!まず個人的ヒントはみんな同じビニール傘ってところ。」
「あー、確かに全員ビニール傘っすね。でもそれがなんか関係あるんすか?」
「じゃあ橙くんに問おう。雨の日に普通に使う傘、同じ部活ってだけで全員同じものを使う?」
「んー、いや、そんなことはないっすけど...。」
「そう、だからあれは部の備品だと思うんよ。」
「備品?そっか、部として何本か買ったものなら全部同じものですよね。ビニール傘が妥当ですし。」
「裏を返せば部として傘を買う必要があった。そんな状況にあるってことよね。」
「でも園芸部が傘を買わなきゃいけない状況ってなんすか...。」
「それがあの花壇の場所だけっていう謎の答え。私の仮説は鳥の糞対策!」
「「鳥の糞対策!?」」
なるほど、それなら確かに辻褄が合う。傘をさしていれば鳥の糞が直に体にかかることはない。雨を避けるだけが傘の使い道じゃないんだ。そしてただ通るだけならさして心配はいらないけど、園芸部はずっと作業をして居ようものなら鳥の糞がかかってしまうあの花壇の手入れをする必要がある。そこで作業をしてても被害が出ないように先生が傘を買った。あの場所でだけさしていたのは離れれば被害に会わないから。
「ちょ、真相絶対それっすよ!俺気になるんで直接聞いてきます!」
「おぉ!行ってらっしゃい!」
先輩の話を聞き終わった途端、いても立ってもいられなくなった橙くんは走って園芸部に話を聞きに行ってしまった。僕は先輩と一緒にいたかったから橙くんと一緒にはいかずに待ってたけど、しばらくして橙くんはさっきより興奮した顔で戻ってきた。
「パーフェクトな推理でしたよ!何から何まで完璧!」
「おぉ~!やった!私凄いっ!」
「先輩さすがです。」
「いやー、何か俺興奮しましたよ!生の推理ショーってこんな感じなんすね!」
「んふふ!照れる~!」
頬を染めて照れている先輩はとても可愛いのでずっと見ていたかったが、先輩は思ったより心の立て直しが早かったのですぐにいつものほんわか笑顔に戻ってしまった。
「さ、じゃあ今日はもう気分いいし帰ろうかな。橙くん、名前だけとはいえパーティーメンバーなんやから参加したくなったらいつでも声かけてよ。神出鬼没なシャーロックパーティーの居場所を教えてあげる。」
「うっす!今日は楽しかったっすよ!」
「僕も楽しかった。じゃあね橙くん。」
「羽矢も、またな。」
こうして、今日のシャーロックパーティーの活動は終わった。帰り支度をするために僕と先輩は下駄箱に向かったわけだけど、僕はふと疑問に思ったことがある。先輩はあの花壇のこと、傘をさす園芸部員のことを前から知っていたから今日僕たちをあの場所に呼び出したわけだけど、それなら傘に鳥の糞が付くところを一度くらいは見たことがあるんじゃないだろうか。けどまあそんなこと口に出して聞いたりしないし、真実がどんなものだって関係ない。僕は今日も先輩が笑顔ならそれでいいんだ。
「いやー、部室がないとは聞いてたっすけど、まさかこんな感じで集まるとは思わなかったっす。」
シャーロックパーティーの新メンバー、松園橙が口を開いた。普段から、集まる場所は先輩からメールが送られてきて初めて知るので僕は慣れっこだったけど、確かに初めての集合なら困惑するかもしれない。僕の初めての集合は想い人からの呼び出しというだけで胸が高鳴っていた記憶しかないけど。
「普通と違う感じがいいでしょ?」
「まあ新鮮っすね。そんで?俺は一応名前だけって形だと思うんすけど、今日は絶対来てねーって、なんか用事でもあるんすか?」
「今日は歓迎会を兼ねてるんよ~!はいこのお菓子たちつまみながらね!まずはこのサークルについて聞きたいこととかあればなんでも答えるからなんでも聞いて!一応謎に包まれたサークルやからね。」
目の前にお菓子を広げながらドヤ顔で先輩が言う。ドヤ顔の先輩もすごく可愛いけどそれは置いといて、先輩の言う通りこのサークルは結構謎が多い。部室もなければメンバーは昨日まで2人だけ、活動は一応学園の謎を解くこととしてるけど実質散歩してボランティアをしてるだけ。知らない人からすると意味のわからないサークルだと思う。
「んー、じゃあまず聞きたかったこと聞いていいっすか?」
「なーに!」
「なんで『シャーロックパーティー』なんすか?なんで『シャーロック』でなんで『パーティー』なのか気になるっすね。」
「あ、僕も気になります。『シャーロック』はシャーロック・ホームズからですよね?『パーティー』は確かに、クラブとかそれこそサークルでいいですもんね。何でなんですか?」
「なんだ、羽矢くんも気になってたん?聞いてくれれば良かったのに。」
「いえ…別に聞くほどでもなくて...。」
「気になったことがあるなら言ってくれればええのに~。まずホームズじゃなくてシャーロックの理由は語呂が良いから、それだけ。」
深い理由が無くても、なんというか先輩らしい。まあどんな理由でも何も思わなかったと思うけど。
「じゃあパーティーはなんっすか?」
「んー、これも語呂って言うのもあるけど、仲間感が強い気がするからかな!元々羽矢くんと2人だけのつもりやったし、パーティーメンバーってなんか格好良いし!でも今3人に増えてますますそう思ってる~。過去の私グッジョブやね!」
「そうですね。」
「本当に夕陽先輩の全肯定マシンなんだな羽矢って。」
橙くんがちょっと呆れながら僕に言う。橙くんは僕が先輩のことを好きなこと知ってるからなんでも気兼ねなく言えて嬉しい。でも全肯定マシンはちょっと恥ずかしいからやめて欲しい。
「他に何か聞きたいこととかある?」
「んー、いやパッと思いつかないっすね。今日ここを集合場所にした理由とか?」
「おっ!それはとても良い質問よ橙くん!」
先輩が何かに食いついた。その質問を待ってましたと言わんばかりに目を輝かせている。先輩は表情がコロコロ変わるのでこういう顔もよく見るけど、それでもその顔を引き出した橙くんに僕はちょっと嫉妬したりする。
「なんか理由があるんすね。」
「うん!実はここから見える裏庭に謎の気配がしてね!」
「裏庭に謎?」
僕はそう言うと先輩と橙くんと一緒に窓から下を見下ろした。そこから見えるのはごく普通の花壇だけ。通行人もそこそこ居るし、園芸部みたいな人が花壇をいじっているだけで謎めいたことは何も無い。ただ1点を除いては。
「なんで花壇にいる人だけみんな傘さしてるんですかね...?」
そう、花壇の手入れをしている人、恐らく園芸部の人が雨も降っていないのに傘をさしている。普通の通行人は傘なんて持ってもいないのに、だ。これは確かに謎の気配。
「今日はこの謎を解明してみようと思ってね。この場所を指定してみた!」
「なるほど...もしかして新入部員の俺の推理力を試してみたいとかそんな実験的考えもあります?」
「そんなことは一切考えてなかったけど、確かにそれも面白そうやねぇ...!このサークルに入りたいというのなら、この私と推理勝負しようか!橙くん!」
推理勝負、という面白い試みに先輩は楽しそうな声を上げる。これは僕も参戦するべきなのかな。良く分からないけど、僕も話には入ってみる。
「まず考えられる仮説は...日傘、とかですか?花壇をいじる時って結構日に当たることになりますし。」
「でも羽矢見て見ろよ。女子だらけならともかく男も結構いるぜ?」
「橙くん、それは今のご時世性差別に値するよ...。男子でも日傘さす人はさすよ。けどまあ1人残らず全員ってのはさすがに仮説としては厳しいんやないかな。それに何よりさしてるのはどこにでもあるビニール傘。あれじゃ日傘にはならんかな。」
「そ、それそれ!俺が言いたかったのはそれっすよ。男子全員はさすがにって。」
「あと土いじりするのに傘は普通に邪魔やと思う。日よけ対策ならサンガードと帽子でいいしね。実際、ここから手元がはっきり見えるわけじゃないけど結構邪魔そうにしてる。邪魔になっても傘を差さなきゃいけない理由があるんやないかな。」
「なるほど...。すごいな、僕の仮説が論を持って一瞬で潰されちゃった。」
「でもそうなると真相は何なんだ?分かんねぇな...。なんかヒントとかないかな。」
そう言うと橙くんは廊下を歩きだした。この廊下は壁に沿って窓もあるから、窓の下を覗きながら進んでいく。橙くんはしばらく歩いていたけど曲がり角のところで止まった。
「ん...?こっから先の花壇にいる人は傘さしてないな。同じように花壇いじってるのに。」
「あ、本当だ。傘をさすのはさっきのあの場所だけってこと?じゃああの場所に何かあるってことなのかな。」
「分かんねー!謎過ぎじゃん!」
橙くんは頭を抱えちゃった。でも僕も全然わからない。何で雨も降っていないのに傘をさしているのか。何で傘をさしているのは園芸部だけなのか。なんで裏庭のあの花壇でだけ傘をさすのか。お手上げだ。
「先輩、先輩はもう解けてるんですよね。」
「うーん、あたりはついてるってとこかな。確証はないんよ。」
「夕陽先輩、俺もうギブなんで。夕陽先輩の推理聞かせて下さい。」
先輩が嬉しそうに笑う。探偵はいつだって謎解きを披露するこの状況が一番楽しいんだ。それに僕らがギブアップして先輩だけが分かってるこの状況もとにかく楽しんだろうな。
「んふふ!じゃあ解答編開始やね!まず個人的ヒントはみんな同じビニール傘ってところ。」
「あー、確かに全員ビニール傘っすね。でもそれがなんか関係あるんすか?」
「じゃあ橙くんに問おう。雨の日に普通に使う傘、同じ部活ってだけで全員同じものを使う?」
「んー、いや、そんなことはないっすけど...。」
「そう、だからあれは部の備品だと思うんよ。」
「備品?そっか、部として何本か買ったものなら全部同じものですよね。ビニール傘が妥当ですし。」
「裏を返せば部として傘を買う必要があった。そんな状況にあるってことよね。」
「でも園芸部が傘を買わなきゃいけない状況ってなんすか...。」
「それがあの花壇の場所だけっていう謎の答え。私の仮説は鳥の糞対策!」
「「鳥の糞対策!?」」
なるほど、それなら確かに辻褄が合う。傘をさしていれば鳥の糞が直に体にかかることはない。雨を避けるだけが傘の使い道じゃないんだ。そしてただ通るだけならさして心配はいらないけど、園芸部はずっと作業をして居ようものなら鳥の糞がかかってしまうあの花壇の手入れをする必要がある。そこで作業をしてても被害が出ないように先生が傘を買った。あの場所でだけさしていたのは離れれば被害に会わないから。
「ちょ、真相絶対それっすよ!俺気になるんで直接聞いてきます!」
「おぉ!行ってらっしゃい!」
先輩の話を聞き終わった途端、いても立ってもいられなくなった橙くんは走って園芸部に話を聞きに行ってしまった。僕は先輩と一緒にいたかったから橙くんと一緒にはいかずに待ってたけど、しばらくして橙くんはさっきより興奮した顔で戻ってきた。
「パーフェクトな推理でしたよ!何から何まで完璧!」
「おぉ~!やった!私凄いっ!」
「先輩さすがです。」
「いやー、何か俺興奮しましたよ!生の推理ショーってこんな感じなんすね!」
「んふふ!照れる~!」
頬を染めて照れている先輩はとても可愛いのでずっと見ていたかったが、先輩は思ったより心の立て直しが早かったのですぐにいつものほんわか笑顔に戻ってしまった。
「さ、じゃあ今日はもう気分いいし帰ろうかな。橙くん、名前だけとはいえパーティーメンバーなんやから参加したくなったらいつでも声かけてよ。神出鬼没なシャーロックパーティーの居場所を教えてあげる。」
「うっす!今日は楽しかったっすよ!」
「僕も楽しかった。じゃあね橙くん。」
「羽矢も、またな。」
こうして、今日のシャーロックパーティーの活動は終わった。帰り支度をするために僕と先輩は下駄箱に向かったわけだけど、僕はふと疑問に思ったことがある。先輩はあの花壇のこと、傘をさす園芸部員のことを前から知っていたから今日僕たちをあの場所に呼び出したわけだけど、それなら傘に鳥の糞が付くところを一度くらいは見たことがあるんじゃないだろうか。けどまあそんなこと口に出して聞いたりしないし、真実がどんなものだって関係ない。僕は今日も先輩が笑顔ならそれでいいんだ。
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