人魚の肉

人魚との再会

　ダリアとの別れから二年後、アリシアの家に一塊の肉が送られてきた。その日はアリシアの誕生日だった。誕生日パーティーにふさわしい、アリシアの母が腕によりをかけ作った豪華な料理のメインディッシュ。シンプルに焼き、塩コショウで味付けをしたステーキがテーブルの上に並ぶ。
テーブルの中央には綺麗なダリアが飾られていた。
毎年アリシアは誕生パーティーに友達を読んで盛り上がるのだが、今年だけは家族だけでのお祝いにした。両親は少しだけ寂しそうな眼をしていたが、微笑みながらアリシアを見守っていた。メインディッシュとしてテーブルに置かれたステーキを見て、

「随分小さくなったんだなぁ。」

アリシアはポツリと漏らした。そしてしばらく黙ってうつむいた後、ぱっと顔を上げ、

「でもやっぱり凄く綺麗。」

と笑顔を見せた。そして両手を胸の前で組み、目を閉じた。

「命の恵みに感謝を。」

そう告げると両手をパンッと音がなるほど力強く合わせ、ここにはいない誰かに聞こえるような大きな声で感謝を告げた。

「いただきます！」