魔法少女のファンな俺

世万江生紬

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魔法少女のファンな俺②

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 ここはとある学校構内。今日俺はこの学校の学生に扮していた。なぜなら、

「あ~!恵、光のアイス勝手に食べないでよ~!」

「一口もらっただけじゃん。ボクのも一口あげるから許して?」

「恵はいつもそうやって人のもの食べますよね。」

「そーそー。食べたいなら自分で買えばいいのに~?。」

「紬も香もつれないこと言わないでよー。人が食べてるの見てると食べたくなるんじゃん。でもみんないつも買う時のアイスって何となく決まってるよね?」

ここはあの魔法少女たちの通う学校だから!魔法少女の正体なんてトップシークレットものだが、ファンである俺はその正体もつかんでいた!その正体はごく普通の仲良し6人組の女子学生。正体を掴んだとはいえ、俺はそれを悪用しようなどとはみじんも考えちゃいない。あくまで魔法少女の活躍をこの目で見るため、そして変身前の少女たちのオフショットが見たいだけ!戦うときはあんなに可愛くて魔法少女な彼女たちがプライベートではこんな感じなのかと眺める、俺はこの嗜好の時間を楽しむために週3でこの学校に潜入しているのだ。

「ボクはTheアイスって感じのアイスバーが好き!ミルク系とか氷系とかの好みはないけど、棒であることにアイスの意義を感じる!」

雅火恵、魔法少女では炎を操るクリムゾンフレイムに変身する。プライベートだとトラブルメーカーだけど信頼は厚くて人気者だ。可愛い。

「オレはガリガリ食べれるやつがいいな。味はソーダかラムネ!夏って感じがいいだろ?」

五十嵐渚、魔法少女では水を操るコバルトアクアに変身する。プライベートでも変わらず男勝りで格好いい。姉御気質だけどポニーテールを束ねるシュシュはフリルがついたものなんてギャップが可愛すぎる。

「私はシャーベットが好きです。レモンとかさっぱりしたものがいいですね。」

日下部紬、魔法少女では植物を操るピーコックナトゥラに変身する。プライベートではより学級委員長感のある真面目なメガネっ子。でも堅物過ぎず寄り道はする。可愛い。

「私は...一口でパクっと食べれるやつ。食べやすさ重視。」

蝶羽舞、魔法少女では風を操るビオニーウィンドに変身する。プライベートでは面倒くさがりで気だるそうだけど、顔が美人なだけにそれすら物憂げな美女というバフにしかなってない。可愛い。

「舞はホントに省エネだね。光はね~最中みたいなの好き!アイスだけじゃなくてビスケットとかクッキーとかついてたらお得感あるでしょっ!」

鳴神光、魔法少女では雷を操るレモントネールに変身する。一人称が名前ってだけでもシンプルに可愛いのに元気いっぱいで笑顔がはじけてる。可愛い。

「私はミルク系が好き♡カップのアイスを木のスプーンでゆっくり食べていくのしか勝たん♡」

花守香、魔法少女では花を操るマゼンタフローラに変身する。プライベートでも変わらずあざいとい小悪魔っぷりだけど、The女子学生って感じで何でも許せるし騙されちゃう。可愛い。

「こうやって聞くとみんな好みバラバラだよねー。だから誰かが食べてるの見ると食べたくなるんだよ。」

「せめて人のもん食う時は声かけてからな。」

「はーい。」

6人はアイスを食べながら歩き出すと、門をくぐって行ってしまった。俺は6人の姿をまだ見ようと追いかけると目の前に大柄は男が立ちふさがった。

「オイ、ネロ...てめぇ今日なんつってここに来たんだ、言ってみろぉ...。」

大男は俺の職場の先輩だった。先輩は腕組をして俺を威圧的に見下ろしている。

「え、魔法少女の元へ行くから、と。」

「そうだなぁ。お前はそう上司に行って出て行ったんだよなぁ...。俺たちフィクサーの野望の邪魔をする魔法少女の元に行くと。」

「まあそうですね。」

「だったら普通に考えて、仕事しに行くと考えんだよ上はぁ!なのにお前なにシンプルにストーカーしてやがる!」

そう、何を隠そう俺は彼女たち魔法少女の敵にあたる組織、フィクサーの一員だ。俺の仕事は彼女たちの倒す怪物、モンストルを作り出すこと。でも俺は魔法少女の彼女たちを眺めるために仕事をおざなりにしがちだった。

「ストーカーなんて害悪と一緒にしないでください!俺はただ彼女たちのプライベートを見たいだけなんです!」

「それを世の中はストーカーと捉えんだよ!というか違う!俺が言いてぇのは仕事しろって言ってんだ!モンストルを作って!人間の負の感情を取り込め!それがお前の!フィクサーとしてのお前の仕事だ!」

「えぇ...。」

「えーじゃねぇ!第一、お前がモンストルを作んなきゃあの6人は魔法少女にならねぇんだぞ!?お前はあの6人の魔法少女としての活躍が見たいんじゃねぇのか!」

「それは...!確かに。先輩、俺モンストル作ります!」

「そうだ、分かってくれたか!」

「今モンストルを作れば念願の彼女たちの変身シーンが生で見られる!この機会を自分で作り出せるなんて、やっぱり俺フィクサーに入ってよかったです!」

「行きつく先がちげぇんだよなぁ!」


 俺は走り出した。彼女たちの近くで敵としてモンストルを生み出し、そしてファンとして変身シーンをこの目で拝むため。俺は今日も魔法少女ファンとして、活動している。
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