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君といると1分が
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カランカラン
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ~。」
ここは悩みを抱えるお客様が来店される喫茶店。ですが、本日は何やら賑やかなお客様がやって来ました。
「薔薇紳士さ~ん!いちごちゃ~ん!こんにちは!いや~今日も薔薇紳士さんは紳士でいちごちゃんは高校生ですね!」
「莇さんそれ毎日変わることの無い事実ですね。いちごちゃんは今日も可愛いね、とか言って欲しいですよ~。」
「え?僕なんかが未成年に可愛いなんて言っちゃ警察案件ですよ~。あ、薔薇紳士さん、いつもの紅茶お願いします。」
「かしこまりました。」
賑やかに来店されたのはこのお店の常連さん、新人作家の夏目莇です。締切に追われた時や気分転換したい時、誰かと話して自己存在を確かめたい時など、時折このお店にやってきます。
「莇さん、今日はお金持ってきてます?」
「今日は紅茶1杯分はちゃんとありますよ!お代わりは出来ないですね。」
莇は初めて来店された時、1円もお金を持っていなかったということがあったため、いちごは毎回お金を持っているのか聞いています。ちなみに初めてこのお店に来た時の紅茶代は未だに払っていませんが、それ以降の紅茶代はちゃんと払っています。
「いちご君、こちらお出ししてください。」
「はーい。莇さん、どうぞ。」
「ありがと~。うん、今日もいい香りです。」
莇は淹れたばかりの紅茶の香りを楽しむと、ゆっくりと紅茶を飲みます。
「ところで莇さん、今日は締切から逃げてきたんですか?それとも気分転換ですか?答えによって対応が変わるんですけど…。」
「締切から逃げてるって回答したらいちごちゃんお客様相手に容赦なく追い出そうとするもんね。でも今日は気分転換、というかお喋りがしたくて来ました~。」
「じゃあ話のネタに。莇さん今どんな小説書いてるんですか?」
「ふふふふふふ、それは……言えませんね!!例え知り合いであろうとネタバレすることは出来ませんから!出版されてからぜひ読んでくださいな!」
「じゃあいいです。」
「ドライだね!?いちごちゃん!?」
莇はあいかわらず不安定な情緒で楽しそうに話しています。
「いやぁ~でも本当にここは居心地がいいですね。いつまでもここにいたい…。」
「ふふ、私も、莇様が来られていると、まるで1分が60秒のように感じます。」
「本当ですか?嬉しい…いや、1分はそもそもそ60秒ですよ薔薇紳士さん!?」
「ふふ、莇様と話していると本当に楽しいです。」
薔薇紳士は莇のコロコロ変わる表情を見て、悪戯っぽく笑います。
「薔薇紳士さんもおちょくったりするんですね…。やはり僕はそういうキャラ?人にいじられるのが宿命…?」
「ふふ、物は言いようですが、莇様といる時間は本当に楽しいですよ。そしてそれは莇様の人望ゆえだと思います。それならそういうキャラ、でも宜しいのではないでしょうか。」
「そうですよ~。それにいじられキャラにはそれなりに需要あるんですよ?」
「そうですか…?本当に…?僕と話してて楽しいですか…?」
「ふふ、では証明するためにこちらを。」
薔薇紳士はそう言うと莇の前にコトリと紅茶を起きました。
「もっとここにいて欲しいので、オマケのおかわりを。…信じて頂けました?」
「う、うわぁぁぁぁぁ!なんか、感激です!!!」
この日、莇は2杯の紅茶をお喋りながらゆっくりと楽しみ、笑顔で帰っていきました。
一緒にいて楽しい相手と過ごす時間は、とても早く感じるものです。思わず引き止めたいと思ってしまうほどに。
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ~。」
ここは悩みを抱えるお客様が来店される喫茶店。ですが、本日は何やら賑やかなお客様がやって来ました。
「薔薇紳士さ~ん!いちごちゃ~ん!こんにちは!いや~今日も薔薇紳士さんは紳士でいちごちゃんは高校生ですね!」
「莇さんそれ毎日変わることの無い事実ですね。いちごちゃんは今日も可愛いね、とか言って欲しいですよ~。」
「え?僕なんかが未成年に可愛いなんて言っちゃ警察案件ですよ~。あ、薔薇紳士さん、いつもの紅茶お願いします。」
「かしこまりました。」
賑やかに来店されたのはこのお店の常連さん、新人作家の夏目莇です。締切に追われた時や気分転換したい時、誰かと話して自己存在を確かめたい時など、時折このお店にやってきます。
「莇さん、今日はお金持ってきてます?」
「今日は紅茶1杯分はちゃんとありますよ!お代わりは出来ないですね。」
莇は初めて来店された時、1円もお金を持っていなかったということがあったため、いちごは毎回お金を持っているのか聞いています。ちなみに初めてこのお店に来た時の紅茶代は未だに払っていませんが、それ以降の紅茶代はちゃんと払っています。
「いちご君、こちらお出ししてください。」
「はーい。莇さん、どうぞ。」
「ありがと~。うん、今日もいい香りです。」
莇は淹れたばかりの紅茶の香りを楽しむと、ゆっくりと紅茶を飲みます。
「ところで莇さん、今日は締切から逃げてきたんですか?それとも気分転換ですか?答えによって対応が変わるんですけど…。」
「締切から逃げてるって回答したらいちごちゃんお客様相手に容赦なく追い出そうとするもんね。でも今日は気分転換、というかお喋りがしたくて来ました~。」
「じゃあ話のネタに。莇さん今どんな小説書いてるんですか?」
「ふふふふふふ、それは……言えませんね!!例え知り合いであろうとネタバレすることは出来ませんから!出版されてからぜひ読んでくださいな!」
「じゃあいいです。」
「ドライだね!?いちごちゃん!?」
莇はあいかわらず不安定な情緒で楽しそうに話しています。
「いやぁ~でも本当にここは居心地がいいですね。いつまでもここにいたい…。」
「ふふ、私も、莇様が来られていると、まるで1分が60秒のように感じます。」
「本当ですか?嬉しい…いや、1分はそもそもそ60秒ですよ薔薇紳士さん!?」
「ふふ、莇様と話していると本当に楽しいです。」
薔薇紳士は莇のコロコロ変わる表情を見て、悪戯っぽく笑います。
「薔薇紳士さんもおちょくったりするんですね…。やはり僕はそういうキャラ?人にいじられるのが宿命…?」
「ふふ、物は言いようですが、莇様といる時間は本当に楽しいですよ。そしてそれは莇様の人望ゆえだと思います。それならそういうキャラ、でも宜しいのではないでしょうか。」
「そうですよ~。それにいじられキャラにはそれなりに需要あるんですよ?」
「そうですか…?本当に…?僕と話してて楽しいですか…?」
「ふふ、では証明するためにこちらを。」
薔薇紳士はそう言うと莇の前にコトリと紅茶を起きました。
「もっとここにいて欲しいので、オマケのおかわりを。…信じて頂けました?」
「う、うわぁぁぁぁぁ!なんか、感激です!!!」
この日、莇は2杯の紅茶をお喋りながらゆっくりと楽しみ、笑顔で帰っていきました。
一緒にいて楽しい相手と過ごす時間は、とても早く感じるものです。思わず引き止めたいと思ってしまうほどに。
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