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季節話
龍神様と向日葵
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夏の暑さも本腰を入れ始めた時期。龍平は龍神様に乗って空を滑空していました。
「おおぉ~!これは!かなり楽しいですね!」
「空を飛ぶのも気持ちがいいものだろう。」
「はい!この風を切る感じ、とても気持ちいいです!」
「くはは!しっかり捕まっているのだぞぉ。」
「分かってますよ。ま、仮に落ちても龍神様は助けてくれると信じていますけど。」
「な、なんだ、急に愛を囁くなぁ。嬉しさで宙返りしそうになる。」
「囁いてはいません。」
龍神様の大きな背中に乗って風を切り、空を飛ぶ感覚を楽しんでいた龍平ですが、今日は単に空の散歩をしているわけではありません。龍神様に連れていきたいところがあると言われたので連れて行ってもらっているところです。
「ところで龍神様、どちらに向かっているのですか?」
「もう着くぞぉ。」
そう言って龍神様がそれ以上進むのをやめたのは、地面が一面黄色に染まっている土地でした。
「うわっ!すごい!これは...花ですか?」
龍平に負担をかけないようふわっと地上に降り立った龍神様は背中から龍平をそっと下ろします。上空からでは見えなかったそれが目の前に現れた龍平は、黄色いそれが花であることに気づきました。
「そうだぁ。これは向日葵と言う花だ。この時期に綺麗に咲いているのだぁ。」
「へぇー!これだけ大きな花がこんなに群れて咲いていると圧巻ですね。」
「そうだろう。この景色をお主に見せたくてのぉ。」
「確かにこれは見に来たかいがありますね...。ありがとうございます。龍神様。」
龍平は目の前に広がる向日葵に感動しながら龍神様にお礼を伝えます。照り付ける太陽に向かって全身で咲くそれをみて、どこか勇気をもらった龍平です。
「この花はいつだって太陽に向かって咲くそうでな。いつも前向きな龍平にぴったりだ。」
「俺そんなに前向きですかね。」
「くはは。お主は自分で思っている以上に前を向いて、力強く、格好良く生きておる。私が保証する。」
「...なんか、そう言う風に褒められると照れますね。」
龍神様はいつだって龍平に愛を伝えていますが、龍平の人間性を真正面から褒められたことはありませんでした。誰だって自分を見て、知って、褒めてもらえるのは嬉しいものです。龍平は思わず顔を赤くしながら龍神様から顔を背けます。
「まぁ、そんな勇ましいお前を嫁として甘やかすことに愉悦を感じるのだがぁ。」
「台無しです。せっかく分かりやすいくらいに照れたというのに。」
「ぬぁ!何故だ!なぜいつもの塩対応に戻る!」
「当たり前でしょう。もう...そんなことより向日葵を楽しみましょうよ。あ、龍神様、面白いこと考え付きましたよ。これだけ花が多ければ俺が中に入っても分からなさそうじゃないですか。俺この向日葵の中に隠れるので、どこにいるのか当てて下さいよ。」
「む、なかなか面白そうだな。良かろう。無事見つけられたらそのまま組み敷いてもよいか?」
「いいわけないでしょう。」
「これだけ花が多ければ外から見えんと思うぞ?」
「やかましいですよ。見つけられたら隠れる側交代です。ほら、十数えて下さい!」
龍平はそう言うと向日葵の中に入って行ってしまいました。そんな向日葵の中を駆け抜けていく龍平の後姿を見て、何とも言えず感慨深い気持ちになる龍神様なのでした。
「おおぉ~!これは!かなり楽しいですね!」
「空を飛ぶのも気持ちがいいものだろう。」
「はい!この風を切る感じ、とても気持ちいいです!」
「くはは!しっかり捕まっているのだぞぉ。」
「分かってますよ。ま、仮に落ちても龍神様は助けてくれると信じていますけど。」
「な、なんだ、急に愛を囁くなぁ。嬉しさで宙返りしそうになる。」
「囁いてはいません。」
龍神様の大きな背中に乗って風を切り、空を飛ぶ感覚を楽しんでいた龍平ですが、今日は単に空の散歩をしているわけではありません。龍神様に連れていきたいところがあると言われたので連れて行ってもらっているところです。
「ところで龍神様、どちらに向かっているのですか?」
「もう着くぞぉ。」
そう言って龍神様がそれ以上進むのをやめたのは、地面が一面黄色に染まっている土地でした。
「うわっ!すごい!これは...花ですか?」
龍平に負担をかけないようふわっと地上に降り立った龍神様は背中から龍平をそっと下ろします。上空からでは見えなかったそれが目の前に現れた龍平は、黄色いそれが花であることに気づきました。
「そうだぁ。これは向日葵と言う花だ。この時期に綺麗に咲いているのだぁ。」
「へぇー!これだけ大きな花がこんなに群れて咲いていると圧巻ですね。」
「そうだろう。この景色をお主に見せたくてのぉ。」
「確かにこれは見に来たかいがありますね...。ありがとうございます。龍神様。」
龍平は目の前に広がる向日葵に感動しながら龍神様にお礼を伝えます。照り付ける太陽に向かって全身で咲くそれをみて、どこか勇気をもらった龍平です。
「この花はいつだって太陽に向かって咲くそうでな。いつも前向きな龍平にぴったりだ。」
「俺そんなに前向きですかね。」
「くはは。お主は自分で思っている以上に前を向いて、力強く、格好良く生きておる。私が保証する。」
「...なんか、そう言う風に褒められると照れますね。」
龍神様はいつだって龍平に愛を伝えていますが、龍平の人間性を真正面から褒められたことはありませんでした。誰だって自分を見て、知って、褒めてもらえるのは嬉しいものです。龍平は思わず顔を赤くしながら龍神様から顔を背けます。
「まぁ、そんな勇ましいお前を嫁として甘やかすことに愉悦を感じるのだがぁ。」
「台無しです。せっかく分かりやすいくらいに照れたというのに。」
「ぬぁ!何故だ!なぜいつもの塩対応に戻る!」
「当たり前でしょう。もう...そんなことより向日葵を楽しみましょうよ。あ、龍神様、面白いこと考え付きましたよ。これだけ花が多ければ俺が中に入っても分からなさそうじゃないですか。俺この向日葵の中に隠れるので、どこにいるのか当てて下さいよ。」
「む、なかなか面白そうだな。良かろう。無事見つけられたらそのまま組み敷いてもよいか?」
「いいわけないでしょう。」
「これだけ花が多ければ外から見えんと思うぞ?」
「やかましいですよ。見つけられたら隠れる側交代です。ほら、十数えて下さい!」
龍平はそう言うと向日葵の中に入って行ってしまいました。そんな向日葵の中を駆け抜けていく龍平の後姿を見て、何とも言えず感慨深い気持ちになる龍神様なのでした。
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