47 / 66
季節話
龍神様と催眠術
しおりを挟む
気温も大分暖かくなり、日中居眠りをしてしまうほど心地の良い春の日差しを感じるこの頃、龍平は縁側に座って緑茶を飲みつつ、目をぽやぽやとさせていました。
「春だぁ...。ここち良すぎる...。」
あまりの心地よさにひと眠りしてしまおうかと考えていた時、龍神様が隣に座りました。何かを企んでいるかのようにニヤニヤと笑っていますが、今のお眠な龍平は正常な判断が出来ません。
「龍平、催眠術をやってみんか?」
「なんですかぁ、また未来の遊びですか。」
「そんな感じだぁ。この糸に吊るした銭をよく見ておれ。」
龍神様はそう言うと、龍平の前で銭をゆらゆらと揺らしました。龍平は揺れる銭を言われた通りぼんやり見ています。そしてしばらくたったところで龍神様がゆっくり口を開きます。
「龍平...今からお主は私に接吻がしたくなるぞぉ...。なに、恥ずかしがることはない。私も拒否などしない。さぁ、欲望の赴くがまま私に接吻をするとよい...。」
龍神様の巧みな話し方に龍平は、言われるがままぼんやりと龍神様に近寄り、そして、額に猛烈なデコピンをかましました。
「痛っ!」
「何言ってんですか。」
「あ、あれぇ?おかしいのぉ。催眠術が効かぬ...。龍平はかかりにくい人種なのかぁ...?」
「はぁ?良く分かりませんが。」
「もう一度だぁ!」
龍神様はそう言うと、もう一度龍平の前で銭を揺らします。今度は少しばかり長くしっかりと揺れる銭を龍平に見せた後、ゆっくり支配するかのように語り出します。
「龍平...お主は今から私に抱き着きたくなる...。私の大きな背中に手を回し、心落ち着くまで抱きしめたくなる...。恥ずかしがることはない、私はそれをとても歓迎する...。さぁ...。」
先ほどより少し難易度を下げたお願いをする龍神様ですが、龍平は少しうつろな目で言われた通りゆっくり龍神様に近寄ります。そして龍神様に触れる様に手を伸ばすと、そのまま強烈なデコピンをかましました。
「痛っ!だから何故だぁ!」
「こっちのセリフですよ。何なんですかさっきから。」
催眠術にかかりやすい人種と、かかりにくい人種は一定数います。龍平はかかりにくい人種だった、ただそれだけの事。あきらめのついた龍神様は催眠術を諦めようとしたその時でした。
「ふわぁ~あ。龍神様が目の前で揺らすから眠さが限界ですよ。ちょっとお昼寝します。程よいところで起こしてくださいね。」
龍平はそう言うと、龍神様の太ももに当たる部分にポンッと頭を乗せ、すやすやと眠り出しました。龍神様はその光景に言葉を失うと、ふっと笑みをこぼし、龍平の頭を優しく撫でました。催眠術なんて使わずとも、普段の龍平が一番愛い、など思いながら。
「春だぁ...。ここち良すぎる...。」
あまりの心地よさにひと眠りしてしまおうかと考えていた時、龍神様が隣に座りました。何かを企んでいるかのようにニヤニヤと笑っていますが、今のお眠な龍平は正常な判断が出来ません。
「龍平、催眠術をやってみんか?」
「なんですかぁ、また未来の遊びですか。」
「そんな感じだぁ。この糸に吊るした銭をよく見ておれ。」
龍神様はそう言うと、龍平の前で銭をゆらゆらと揺らしました。龍平は揺れる銭を言われた通りぼんやり見ています。そしてしばらくたったところで龍神様がゆっくり口を開きます。
「龍平...今からお主は私に接吻がしたくなるぞぉ...。なに、恥ずかしがることはない。私も拒否などしない。さぁ、欲望の赴くがまま私に接吻をするとよい...。」
龍神様の巧みな話し方に龍平は、言われるがままぼんやりと龍神様に近寄り、そして、額に猛烈なデコピンをかましました。
「痛っ!」
「何言ってんですか。」
「あ、あれぇ?おかしいのぉ。催眠術が効かぬ...。龍平はかかりにくい人種なのかぁ...?」
「はぁ?良く分かりませんが。」
「もう一度だぁ!」
龍神様はそう言うと、もう一度龍平の前で銭を揺らします。今度は少しばかり長くしっかりと揺れる銭を龍平に見せた後、ゆっくり支配するかのように語り出します。
「龍平...お主は今から私に抱き着きたくなる...。私の大きな背中に手を回し、心落ち着くまで抱きしめたくなる...。恥ずかしがることはない、私はそれをとても歓迎する...。さぁ...。」
先ほどより少し難易度を下げたお願いをする龍神様ですが、龍平は少しうつろな目で言われた通りゆっくり龍神様に近寄ります。そして龍神様に触れる様に手を伸ばすと、そのまま強烈なデコピンをかましました。
「痛っ!だから何故だぁ!」
「こっちのセリフですよ。何なんですかさっきから。」
催眠術にかかりやすい人種と、かかりにくい人種は一定数います。龍平はかかりにくい人種だった、ただそれだけの事。あきらめのついた龍神様は催眠術を諦めようとしたその時でした。
「ふわぁ~あ。龍神様が目の前で揺らすから眠さが限界ですよ。ちょっとお昼寝します。程よいところで起こしてくださいね。」
龍平はそう言うと、龍神様の太ももに当たる部分にポンッと頭を乗せ、すやすやと眠り出しました。龍神様はその光景に言葉を失うと、ふっと笑みをこぼし、龍平の頭を優しく撫でました。催眠術なんて使わずとも、普段の龍平が一番愛い、など思いながら。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
昭和から平成の性的イジメ
ポコたん
BL
バブル期に出てきたチーマーを舞台にしたイジメをテーマにした創作小説です。
内容は実際にあったとされる内容を小説にする為に色付けしています。私自身がチーマーだったり被害者だったわけではないので目撃者などに聞いた事を取り上げています。
実際に被害に遭われた方や目撃者の方がいましたら感想をお願いします。
全2話
チーマーとは
茶髪にしたりピアスをしたりしてゲームセンターやコンビニにグループ(チーム)でたむろしている不良少年。 [補説] 昭和末期から平成初期にかけて目立ち、通行人に因縁をつけて金銭を脅し取ることなどもあった。 東京渋谷センター街が発祥の地という。
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
風邪ひいた社会人がおねしょする話
こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。
一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?
ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル
こじらせた処女
BL
とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。
若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる