28 / 69
季節話
龍神様と七夕
しおりを挟む
龍神様と龍平が暮らすようになってしばらく。2人は夜にのんびり星空を眺めるほどには打ち解けていました。
「晴れているから綺麗に見えるなぁ。」
「そうですね。」
「天の川だ…織姫と彦星は会えたのだろうかぁ。」
「…先に言っておきますけど『一年に一度しか会えないなど私には耐えられない』だの『私なら毎日泳いででも逢いに行く』なんて歯が浮くような台詞は言わないでくださいね。」
「ぬぁっ!?今まさに言おうとしておったのにぃ。」
龍平は龍神様が考えていそうなことをあえて先回りして牽制します。そして見事龍平の思惑通り、龍神様は悶えました。
「やっぱり言おうとしてたんですね…貴方恥ずかしくないんですか。」
「むぅ?好いた者に愛を囁くことに何の恥がある。寧ろ伝えられなかったならば後悔の方が大きいだろう。」
「そ、そうですか…。」
龍平は龍神様の直球の愛の言葉には冷静に返すことが出来るほど慣れましたが、こう言う天然から来る直球の言葉にはまだ少し慣れません。顔が赤くなったのがバレないよう、龍神様からふいっと顔を背けます。
「でもまあそうだな。天の川の伝説は愛にばかりかまけて仕事をおざなりにしたことによる罰だぁ。罰ならばしっかり償うべきだなぁ。」
「へぇ、随分真面目なことを言うんですね。」
「それからその後、罰をしっかり受けてからもう一度やり直せばいい。お互い後ろめたさの中で会うよりは全て清算してから逢いたいだろう。私なら、本当に愛する者が罰を受け終わるまで何百年何千年でも待つぞぉ。」
「そうですか…。」
「龍平?どうしたぁ、少し表情が暗いぞぉ?何か気に触ることを言ったかぁ?」
「い、いえいえ、龍神様が浪漫の欠片もないようなことを言うからですよ。俺はもう少し空想的に見たいですから。」
「むぅ、龍平は現実的な方が好みかと思ったのだがぁ。」
「はは、あてが外れましたね。…でもこの夜空の綺麗な星は現実にある、空想的な景色です。」
「そうだなぁ。」
龍平は空を見上げる龍神様を横目でちらっと見てから、また空を見上げました。龍神様の「何百年でも何千年でも待つ」という言葉、長命な神様からすればごく普通のことなのでしょう。ですが龍平は普通の人間。命の長さにこんなにも違いがあるのかと悟った龍平はほんの少し、寂しく思いました。
「晴れているから綺麗に見えるなぁ。」
「そうですね。」
「天の川だ…織姫と彦星は会えたのだろうかぁ。」
「…先に言っておきますけど『一年に一度しか会えないなど私には耐えられない』だの『私なら毎日泳いででも逢いに行く』なんて歯が浮くような台詞は言わないでくださいね。」
「ぬぁっ!?今まさに言おうとしておったのにぃ。」
龍平は龍神様が考えていそうなことをあえて先回りして牽制します。そして見事龍平の思惑通り、龍神様は悶えました。
「やっぱり言おうとしてたんですね…貴方恥ずかしくないんですか。」
「むぅ?好いた者に愛を囁くことに何の恥がある。寧ろ伝えられなかったならば後悔の方が大きいだろう。」
「そ、そうですか…。」
龍平は龍神様の直球の愛の言葉には冷静に返すことが出来るほど慣れましたが、こう言う天然から来る直球の言葉にはまだ少し慣れません。顔が赤くなったのがバレないよう、龍神様からふいっと顔を背けます。
「でもまあそうだな。天の川の伝説は愛にばかりかまけて仕事をおざなりにしたことによる罰だぁ。罰ならばしっかり償うべきだなぁ。」
「へぇ、随分真面目なことを言うんですね。」
「それからその後、罰をしっかり受けてからもう一度やり直せばいい。お互い後ろめたさの中で会うよりは全て清算してから逢いたいだろう。私なら、本当に愛する者が罰を受け終わるまで何百年何千年でも待つぞぉ。」
「そうですか…。」
「龍平?どうしたぁ、少し表情が暗いぞぉ?何か気に触ることを言ったかぁ?」
「い、いえいえ、龍神様が浪漫の欠片もないようなことを言うからですよ。俺はもう少し空想的に見たいですから。」
「むぅ、龍平は現実的な方が好みかと思ったのだがぁ。」
「はは、あてが外れましたね。…でもこの夜空の綺麗な星は現実にある、空想的な景色です。」
「そうだなぁ。」
龍平は空を見上げる龍神様を横目でちらっと見てから、また空を見上げました。龍神様の「何百年でも何千年でも待つ」という言葉、長命な神様からすればごく普通のことなのでしょう。ですが龍平は普通の人間。命の長さにこんなにも違いがあるのかと悟った龍平はほんの少し、寂しく思いました。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった
無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。
そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。
チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる