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おまけ
龍神様の御姿(おまけその漆)
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これはまだ龍平が龍神様の元で暮らし始めてすぐの頃。初めて見る、見るからに人外の存在の姿に龍平はその自慢の筋肉をもってしても多少の恐怖を感じておりました。
「龍平、お主私が怖いかぁ?」
「え!?いいえ!?」
龍平は村一番の腕っぷしです。そしてそれを自他共に認めており、元は龍神退治のためにこの山を登ったのです。そんな龍平が今更龍神様の姿を「怖い」という訳にはいきません。龍平の誇りの問題です。とはいえ龍神様は龍平の二倍ほども大きい上背で、爪も牙も角も鋭く、身体は鱗のようなもので覆われています。顔はなぜか御伽噺の絵巻物に描かれているように簡素ですが、まさしく龍の形をした龍神様の御姿はやはり人間の龍平には畏怖してしまうものでした。
「むぅ...口ではそう言っておりながら私に対する態度が明らかに私に怯えたそれだぁ。龍平、無理はしなくてよい。私たちは夫婦になるのだから言いたいことははっきりと言って構わん。未来では亭主関白など迫害の対象にこそなり得る。私は時代の先取りをするぞぉ。」
「ちょっと何言ってるか分からないですね...。」
龍平は龍神様の気を利かせた言葉に、頭に疑問符を浮かべましたが、その言葉は言葉通り直球に受け止めました。
「では僭越ながら、龍神様の御姿は人外感が強すぎて少し怖いです。というか龍と夫婦と言われても意味が分からないです。俺人間なので。」
「お、おお、お主結構いうなぁ...。だがそうか、やはり私の姿に恐怖を覚えるか。これでも表情は簡素な姿にしておるのだがなぁ。」
「その御伽噺の絵巻物みたいな顔、龍神様の意図だったのですか!?」
「そうだぞぉ。神の力で見た目を変えることなぞ容易い。そうだ、人型にもなろうと思えばなれるのだぁ。龍の姿の方が威厳がありそうだったから龍の姿のままなのだが、龍平が怖がるというのであれば変えよう。」
「べ、別にそんなに怖がっているわけでは...!」
龍平がしどろもどろに言うのと同時に、龍神様はボンッと音を立ててその御姿を変えました。姿を変えてそこに現れたのはこの世の者とは思えないほどの絶景の美形、龍平より幾分か高い上背、すっと通った鼻筋、切れ長な目に長いまつげ、そして背中まである長い髪は青くキラキラと光っています。
「これならどうだ?私の人型の姿だ。龍の姿よりは怖くな...」
「いですけど龍の御姿の方がいいので戻ってください!」
「なんだぁ!?わ、分かった龍の姿に戻ろう。しかしなぜだぁ?人型の方がお主も気楽でいいのではないか?」
ボンッと音を立てて龍の姿に戻った龍神様は納得のいかないという顔で龍平を見ます。しかし龍平は龍神様に背中を見せ、大声で言います。
「い、いや、よく考えたら、これからも一緒に暮らすのであればどうせ姿なんて慣れますから大丈夫ですよ!それにやっぱり貴方神様ですから!神様っぽい威厳ある姿でいた方がいいと思いまして!」
「むぅ?そうかぁ、龍平がそう言うのであればこの姿で過ごそう。これからもよろしくなぁ、龍平。」
「は、はい。よろしくお願いします?」
龍平は村で暮らしていた頃、龍神様の人型のように美しい顔立ちの人を見たことがありませんでした。よって美形に対する免疫が無いのです。龍平にとって恐怖を感じる龍の姿よりも免疫のない美形と共に暮らす方が耐えられないのでした。そしてとっさに出た言い訳として龍平はこれからも「一緒に暮らそう」と龍神様に言ってしまったことに気づいていないのでした。
「龍平、お主私が怖いかぁ?」
「え!?いいえ!?」
龍平は村一番の腕っぷしです。そしてそれを自他共に認めており、元は龍神退治のためにこの山を登ったのです。そんな龍平が今更龍神様の姿を「怖い」という訳にはいきません。龍平の誇りの問題です。とはいえ龍神様は龍平の二倍ほども大きい上背で、爪も牙も角も鋭く、身体は鱗のようなもので覆われています。顔はなぜか御伽噺の絵巻物に描かれているように簡素ですが、まさしく龍の形をした龍神様の御姿はやはり人間の龍平には畏怖してしまうものでした。
「むぅ...口ではそう言っておりながら私に対する態度が明らかに私に怯えたそれだぁ。龍平、無理はしなくてよい。私たちは夫婦になるのだから言いたいことははっきりと言って構わん。未来では亭主関白など迫害の対象にこそなり得る。私は時代の先取りをするぞぉ。」
「ちょっと何言ってるか分からないですね...。」
龍平は龍神様の気を利かせた言葉に、頭に疑問符を浮かべましたが、その言葉は言葉通り直球に受け止めました。
「では僭越ながら、龍神様の御姿は人外感が強すぎて少し怖いです。というか龍と夫婦と言われても意味が分からないです。俺人間なので。」
「お、おお、お主結構いうなぁ...。だがそうか、やはり私の姿に恐怖を覚えるか。これでも表情は簡素な姿にしておるのだがなぁ。」
「その御伽噺の絵巻物みたいな顔、龍神様の意図だったのですか!?」
「そうだぞぉ。神の力で見た目を変えることなぞ容易い。そうだ、人型にもなろうと思えばなれるのだぁ。龍の姿の方が威厳がありそうだったから龍の姿のままなのだが、龍平が怖がるというのであれば変えよう。」
「べ、別にそんなに怖がっているわけでは...!」
龍平がしどろもどろに言うのと同時に、龍神様はボンッと音を立ててその御姿を変えました。姿を変えてそこに現れたのはこの世の者とは思えないほどの絶景の美形、龍平より幾分か高い上背、すっと通った鼻筋、切れ長な目に長いまつげ、そして背中まである長い髪は青くキラキラと光っています。
「これならどうだ?私の人型の姿だ。龍の姿よりは怖くな...」
「いですけど龍の御姿の方がいいので戻ってください!」
「なんだぁ!?わ、分かった龍の姿に戻ろう。しかしなぜだぁ?人型の方がお主も気楽でいいのではないか?」
ボンッと音を立てて龍の姿に戻った龍神様は納得のいかないという顔で龍平を見ます。しかし龍平は龍神様に背中を見せ、大声で言います。
「い、いや、よく考えたら、これからも一緒に暮らすのであればどうせ姿なんて慣れますから大丈夫ですよ!それにやっぱり貴方神様ですから!神様っぽい威厳ある姿でいた方がいいと思いまして!」
「むぅ?そうかぁ、龍平がそう言うのであればこの姿で過ごそう。これからもよろしくなぁ、龍平。」
「は、はい。よろしくお願いします?」
龍平は村で暮らしていた頃、龍神様の人型のように美しい顔立ちの人を見たことがありませんでした。よって美形に対する免疫が無いのです。龍平にとって恐怖を感じる龍の姿よりも免疫のない美形と共に暮らす方が耐えられないのでした。そしてとっさに出た言い訳として龍平はこれからも「一緒に暮らそう」と龍神様に言ってしまったことに気づいていないのでした。
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