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季節話
龍神様と露天風呂
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龍神様と龍平が暮らす屋敷は二人で暮らすには広すぎるくらいの敷地、二人で食べきれないほどの野菜が作れる畑、二人で管理するのは骨が折れるほどの緑が生い茂っています。そんな龍神様の土地に、また新たな自然の恵みが生まれました。
「龍平、こっちに来てみろぉ。」
「なんですかー?」
龍神様に呼ばれるがまま裏庭に来た龍平の目の前には、ほかほかと湯気の上がる白濁の温泉が構えて居りました。
「えっ!?温泉!?昨日までこんなの無かったのに!」
「くはは、当然だぁ。今しがた掘り出したのだからな。」
「なぜ!」
「そりゃぁ、龍平と共に入りたかったからだなぁ。」
「さ、埋め立てますかな。良い鍛錬になりそうだ。」
龍平は自慢の筋肉をモリッと起こすと袖をまくり、温泉を埋め立てる準備は万全とばかりに意気揚々と温泉に向かって歩き出しました。
「ま、待て待て待て龍平よぉ。分かった、悪かった。一緒に入るのは諦めようぞぉ。埋め立てたいというのであればそうしても構わん。だがせめて一度くらいは入ってくれ。これでも龍平の体を癒してほしいという気持ちに嘘はないのだぁ。」
「...別に疑ってなんていませんよ。確かに一度も入らずに埋め立ててしまうのは勿体ないですし、一人でなら入りますよ。」
「おお、では早速、」
「でも俺の前に龍神様です。」
「なにぃ?」
龍平は龍神様に顔をぐっと近づけ、有無を言わせぬ強い口ぶりでまっすぐに言います。
「これ掘り起こすの、大変だったでしょう?神の力を使えば大したことないのかもしれませんが、お疲れな龍神様が先に体を癒してください。」
「龍平...。」
「それに、俺の後に龍神様が入るとなると、何か変なこと考えそうで嫌です。」
「龍平お主私を何だと思っておるぅ。そのような変態な真似をするものか。」
龍神様は気を悪くしたように少し怒って言います。でも龍神様は龍平を本気で怒ることは無いので、心の中では怒ってなどいません。そしてそれを龍平も分かっているので、遠慮なく本心もとい冗談も言えます。
「冗談です。さ、入ってください、一緒には入りませんが背中くらいは流しますよ。」
「なっ!それは本当か龍平。ならばそのまま...」
「あ、なんかやましいこと考えてそうなのでやっぱりやめます。」
「龍平ぃ!」
結局この日、龍神様は一人で露天風呂に入り龍平も一人で入りました。龍平が入っている間、欲求に抗えず覗いてしまった龍神様ですがあっさり龍平に気づかれてしまい、次の日にはせっかく掘り出した露天風呂を埋め立てられてしまったそうな。
「龍平、こっちに来てみろぉ。」
「なんですかー?」
龍神様に呼ばれるがまま裏庭に来た龍平の目の前には、ほかほかと湯気の上がる白濁の温泉が構えて居りました。
「えっ!?温泉!?昨日までこんなの無かったのに!」
「くはは、当然だぁ。今しがた掘り出したのだからな。」
「なぜ!」
「そりゃぁ、龍平と共に入りたかったからだなぁ。」
「さ、埋め立てますかな。良い鍛錬になりそうだ。」
龍平は自慢の筋肉をモリッと起こすと袖をまくり、温泉を埋め立てる準備は万全とばかりに意気揚々と温泉に向かって歩き出しました。
「ま、待て待て待て龍平よぉ。分かった、悪かった。一緒に入るのは諦めようぞぉ。埋め立てたいというのであればそうしても構わん。だがせめて一度くらいは入ってくれ。これでも龍平の体を癒してほしいという気持ちに嘘はないのだぁ。」
「...別に疑ってなんていませんよ。確かに一度も入らずに埋め立ててしまうのは勿体ないですし、一人でなら入りますよ。」
「おお、では早速、」
「でも俺の前に龍神様です。」
「なにぃ?」
龍平は龍神様に顔をぐっと近づけ、有無を言わせぬ強い口ぶりでまっすぐに言います。
「これ掘り起こすの、大変だったでしょう?神の力を使えば大したことないのかもしれませんが、お疲れな龍神様が先に体を癒してください。」
「龍平...。」
「それに、俺の後に龍神様が入るとなると、何か変なこと考えそうで嫌です。」
「龍平お主私を何だと思っておるぅ。そのような変態な真似をするものか。」
龍神様は気を悪くしたように少し怒って言います。でも龍神様は龍平を本気で怒ることは無いので、心の中では怒ってなどいません。そしてそれを龍平も分かっているので、遠慮なく本心もとい冗談も言えます。
「冗談です。さ、入ってください、一緒には入りませんが背中くらいは流しますよ。」
「なっ!それは本当か龍平。ならばそのまま...」
「あ、なんかやましいこと考えてそうなのでやっぱりやめます。」
「龍平ぃ!」
結局この日、龍神様は一人で露天風呂に入り龍平も一人で入りました。龍平が入っている間、欲求に抗えず覗いてしまった龍神様ですがあっさり龍平に気づかれてしまい、次の日にはせっかく掘り出した露天風呂を埋め立てられてしまったそうな。
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