龍神様の住む村

世万江生紬

文字の大きさ
上 下
22 / 66
季節話

龍神様とみどり

しおりを挟む
 龍神様の住む屋敷には大きな庭があり、春には花が咲き、夏には緑の葉が生い茂ります。そんな木々が緑に染まった頃、龍平は眩しそうに空を見上げておりました。


「おお、なんだ龍平、木の下で空を見上げて。木漏れ日がかかって最高に美しいぞぉ。」

「木漏れ日が、美しいんですよね。」

「いや、木漏れ日を浴びているお主が美しいぞぉ。」

「はいはい。」

龍平は、龍神様の愛の言葉を軽くあしらいながらまた上を見あげます。

「なんだぁ?上に何かあるのかぁ?」

「いえ、何も無いですよ。心地よい緑色だと思っただけです。」

「緑…確かに、爽やかで美しい緑だなぁ。」

龍神様は龍平と同じように空を見上げて言います。

「この木は、龍神様がお手入れされているのですよね?」

「むぅ?まあそうだなぁ。でもお主もたまに立派な木だ、良い木だと幹にその手を当てているではないかぁ。」

「え?まあ、思ったことなので。それが何か?」

「くははは。木だって生きている。温もりを感じれば愛を知り、褒められれば嬉しいものよぉ。立派だと言われればより立派にもなる。お主もこの木を育てているのだぁ。」

龍平は少し目をぱちくりとさせた後、柔らかく目元を緩めました。

「そうなんですね…。龍神様、これからも庭の木々や花たちを大事に育てましょうね。」

「…そうだなぁ。植物は優しい言葉をかければその通りに育つものだ。よって私も言葉掛けは大切にしておるぅ。」

「そうなんですね。だからこんなにも美しい植物が咲き誇っているんでしょうね。」

「それもあるが、龍平に、可愛いと言い続けたら本当に愛いやつになった。言葉掛けは大切だなぁ。」

「今は植物の話をしていたんです!台無しです!」


 少し日差しが強くなってきた日の日向ぼっこ。立派な木の下、緑の下で木漏れ日を浴びながら、2人は他愛もない会話を楽しむのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

一人じゃ物足りなくなったドMなガチムチが、抱いてもらえるように頑張る話。

ノア
BL
皆から慕われている騎士団長のバートン。彼には裏の顔があった。それは…「誰か俺をいじめて♡」苛められたい願望を持つドMだった。※副団長×団長のお話です ※予告なくエロ描写入ります

笑って誤魔化してるうちに溜め込んでしまう人

こじらせた処女
BL
颯(はやて)(27)×榊(さかき)(24) おねしょが治らない榊の余裕が無くなっていく話。

処理中です...