龍神様の住む村

世万江生紬

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季節話

龍神様と甘味

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 桜が咲き出した暖かい日、龍平は龍神様の御屋敷の縁側でのんびりとしておりました。

「あ~こののんびりとした雰囲気、和むな~。ずっとこんな時間が続けば」

「龍平、甘味を作ったから一緒に食べようぞぉ。」

「一瞬で終わりましたね。」

「?何がだぁ?」

「いえ、なんでも。甘味ですか?頂きます。」

「そうかそうかぁ。で、何が食べたい?」

「え?あー、じゃあぜんざい、とか?」

「ぜんざいだなぁ。ほら。」

龍神様の手からぜんざいの入った椀を渡された龍平は、少し魔が差しました。

「あー、すみません龍神様、やっぱり俺団子が食べたくなりました。餡子のかかったやつ。」

「団子だなぁ。ほら。」

「え、あ、ああー、じゃあ羊羹とか…。」

「羊羹だなぁ。ほら。」

「…じゃあ大福というものも食べたいです!」

「大福だなぁ。ほら。」

「龍神様作ったって言いましたよね!?これだけの甘味を作ってたんですか!?」

「くはははは。龍平、私は未来を見ることが出来るのだぞぉ?龍平が可愛らしいお茶目をしてくることくらい視えておるわい。」

龍神様は龍平の考えなどお見通しとばかりに大きく口を開けて笑います。

「くっ…。何も言い返せない…!」

「ほら、龍平。ぜんざい。団子も羊羹も大福も食べて良いから、一緒に食べようぞぉ。」

「…はい。」

笑い終えた龍神様は優しく龍平にお椀を渡します。龍平はそれを少し悔しそうな、それから罰の悪そうな顔をして受け取りました。

「龍平、私はなぁ、お主がそうやって私をからかおうとしてくれたことすら愛おしく感じるんだぞぉ。だからこれからも、私に可愛らしい意地悪をしてくれ。」

「慰めてくれているのですか。ありがとうございます。ですが龍神様、可愛いは余計です。」

「くはは、それでこそ龍平だなぁ。」


さすがにぜんざい、団子、羊羹、大福、全ては食べられなかったものの、2人はゆっくりと甘味を楽しむのでした。
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