龍神様の住む村

本編

龍神様

　村一番の腕っぷしを持つ龍平は龍神様の住むとされる山を登っておりました。龍平はこの山を登りながら、この山を登るに至った経緯を思い出しておりました。


　龍平がいつものように木を伐りに向かう途中、頭を抱え悩む村長たちがおりました。

『うーん、どうしたものか...。』

『村長様、どうされたのですか？』

『龍平。お前、この村に住む龍神様は知っておるな？』

『山の洞穴の中に住んでいて、昔は厄災から守ってくれていたそうですが、平和になった今では特に何もすることないくせに食料だけは強請ってくるという、あの？』

『そうだ。食料も献上するにはもう限界だったが龍神様の持つ神の力が怖くて歯向かえず、ずっと言いなりだった。しかし、今朝...』

『今朝どうされたのです？』

『村の者を嫁に出せと言ってきたのだ。』

『嫁！？』

『そうだ。村の女子たちはみな龍神様を恐れ嫁に出たいものなどおらん。この村の厄災から村人を守るという役目も行っていないのに村の人間を差し出すなど、こちらとしてもするわけにはいかんのだ。しかし龍神様には』

『歯向かえない、というわけですね。分かりました、村長。その龍神この俺が退治してきましょう。』

『なんだと？』

『今の話を聞いて、龍神とは名ばかり、助けるどころか村をつぶしかねない存在ではありませんか。私は村一番の腕っぷしを持ちます。私がこの命に代えてでも龍神を退治して参ります。』

『なんと、龍平...。村のみなに変わって感謝を。』

こうして龍平はこの日のうちに龍神様を退治すべく山を登りました。