集団就職の星

ハリマオ65

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19話:子供たちのアメリカ留学1

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 そして、少しして智惠さんが電話を置いた。智惠さんが落ち着くのを待って、海藤努が何を話してたんだいと聞くと成田空港で渡した手紙を読んだ話よと言った。詳しく教えてくれよと言うと、ちょっと恥ずかしいなと言い、話し始めた。
「智惠さんが結婚して仕事と家庭で大変な時、なんで、こんなに苦労をしなければならないのか悩んでいた」。
「その頃、一郎と和子の双子を宿してから、悩みが吹っ飛んだ」。

「そして何としても元気な赤ちゃんを産まなければと、それ以外は何も考えられなくなった」。
「そして元気に生まれた時、今迄、経験した事のない、充足感というか満足感、幸福感に包まれた」。
「だから、この子供達には、絶対に危険な目に遭わせたくないと小さい頃は注意を払っていた」。
「それが大きくなり自分からアメリカ留学という冒険の旅に自分の責任で出て行った」。

「その話を便せんに書いたのよと教えてくれた」。
「それに対して娘の和子も共鳴する所があったようで思わず、読みながら涙が流れて止まらなくなった」。
「2人で電話しながら泣いたという訳ですと説明した」。
「この感情は、多分、男性には実感としてわからいでしょうねと、冷ややかに言った」。
「そうだね、でも、和子が、自分達の手の中から飛び立っていったと言う感情は、良くわかるよと伝えた」。

「その時、智惠さんが海藤努に抱き付いて、あなたと結婚して本当に良かった」。
「こう言う感情を共有できるって素晴らしいことなのよと言い、また、泣いた」。
「そして、子供が生まれた頃から、大学に入るまでの昔話を、遅くまでして、床についた」。
 その後、毎週、和子から電話が入り、海藤努と智惠さんと、一郎が交代して話した。

 そして、4週間後、1997年8月19日深夜、成田空港に到着すると連絡が入り、海藤努と智惠さんと、一郎の3人で迎えに行った。帰りの車の中では和子さんが興奮してしゃべりっぱなしで海藤努が運転して、1時間で自宅に着いた。その後も和子が米国内を旅行して回った話をいろいろ聞かされ、特に驚いたのがシアトルの料理の美味しかったこととボーイングの工場ので大きかった事。

 その他、アメリカの優秀な大学を訪問したときの話。訪問希望していた大学は、アメリカ東海岸のハーバード、プリンストン、コロンビア、マサチューセッツ工科大学・MIT,イエール大学。それに、西海岸のイエール、スタンフォード、カリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校・UCLAだった。

 しかし、残念ながら実際に訪問できたのハーバード、プリンストン、コロンビアだけだと言った。そして、来年は、出来たら西海岸の大学の短期留学に行きたいと言った。カリフォルニア大学サンディエゴ校UCSDエクステンションの4週間コースで約50万円なので、一生懸命に家庭教師のアルバイトして、お金貯めるから、来年も行かせて欲しいと言った。

 なぜ、そんなに安いのと智惠さんが聞くと、まず学生寮でなく、ホームステイである事。旅費が入ってない事。授業が英語力をつけるプログラムだけで見学、見物や短い旅行が全く入っていないと説明した。それで、いくら欲しいのと、聞くと、日本円で50万円と言った。すると、海藤努が、俺のへそくりで出してやるかと言うと、智惠さんが駄目、自分の計画を優先すべきと言い放った。

 智惠さんが30万円は出しますが、後は、アルバイトで稼ぎなさいと言った。もし、それでも難しい時は、要相談だねと笑いながら言った。すると和子が笑いながら了解ですと答えた。そして9月から家庭教師のアルバイトを土日中心に、かけ持ちしてするようになった。冬休みも忙しそうに出かけて行った。そして1997年が終わり1998年を迎えた。

 一郎の方は、就職口を探すため、1998年から夏休みにソニー、冬休みにNECへのアルバイト希望の書類を出し、了解されたようで3週間ずつアルバイトで出かけた。
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